最高裁判所第1小法廷判決平成27年3月5日
損害賠償請求事件
『平成27年度重要判例解説』行政法3事件
【判示事項】 公害紛争処理法に基づく調停において,調停委員会が第1回調停期日で調停を打ち切るなどした措置が国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとされた事例
【判決要旨】 公害紛争処理法26条1項に基づく調停において,調停委員会が,調停期日への出席を求めるに当たり「出席する意志がある場合は,下記の日時・場所へお越しください。」等の記載をした期日通知書を被申請人らに送付し,第1回調停期日において調停を打ち切った措置は,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,その裁量権の範囲を逸脱したものとはいえず,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。
(1) 当該調停に係る紛争は,相当以前に処分された産業廃棄物等に係るもので,それらに対する被申請人らの関与の態様や程度は様々である上,被申請人らはいずれも,調停委員会からの事前の意見聴取に対し,調停に応じない旨の意思を明確にしていた。
(2) 調停委員会が期日通知書に「出席する意志がある場合は,」との文言を含む記載をしたのは,上記(1)の意思を明確にしていた被申請人らに対し手続への参加を強制されたとの誤解を与えないようにとの配慮に基づくものであった。
(3) 被申請人らは,いずれも第1回調停期日に出席しなかった。
【参照条文】 国家賠償法1-1
公害紛争処理法26-1
公害紛争処理法36-1
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事249号141頁
裁判所時報1623号47頁
判例タイムズ1415号73頁
判例時報2264号33頁