東京高等裁判所判決平成22年7月7日
株主総会決議取消請求控訴事件
『平成22年重要判例解説』商法2事件
【判示事項】 1 株主総会決議により株主の地位を奪われた株主の当該決議取消訴訟の原告適格
2 株主総会決議により株主の地位を奪われた株主が提起した当該決議取消訴訟について、決議後の会社の吸収合併による消滅等により訴えの利益が消滅したとされた事例
【判決要旨】 1 株主総会決議により株主の地位を奪われた株主は、当該決議取消訴訟の原告適格を有する。なお、取消を求められた決議(本件決議)は、普通株式の全部取得条項付種類株式ヘの転換決議および当該全部取得条項付種類株式の会社による取得の決議(取得対価として交付を受ける株式が、1審原告らについては1株未満であるため、1審原告らは株主の地位を失う。スクィーズ・アウト)であり、決議のねらいは、会社の株主から小規模株主である1審原告らを締め出すことにあるとみられる。
2 株主総会決議により株主の地位を奪われた株主が提起した当該決議取消訴訟について、決議後に会社が吸収合併されて消滅し、合併無効の訴えの提起がないなどの判示の事情の下においては、当該決議取消訴訟の訴えの利益は消滅する。
【参照条文】 会社法171
会社法831
民事訴訟法第1編第3章(当事者)
民事訴訟法第2編第1章(訴え)
【掲載誌】 金融・商事判例1347号18頁
判例時報2095号128頁