東京地方裁判所判決平成23年5月19日
遺族補償給付不支給処分取消等請求事件
『平成23年重要判例解説』労働法6事件
国・船橋労基署長(マルキカイ)事件
【判示事項】 1 労災保険法上の「労働者」に当たるか否かは,使用者の指揮監督の下において労務を提供し,使用者から労務に対する対償としての報酬が支払われる者であるかという観点から,実態に即して実質的に判断するのが相当であるとされた例
2 建設機械の卸売販売を営む会社において,一般従業員を退職して退職金を支払われた後,理事,取締役を経て執行役員となったKにつき,Kが理事・取締役・執行役員になってからも一般従業員であったときと同じ業務に従事しており勤務場所も同一であったこと,Kの担当していた業務は経営担当者が行うものというよりは一般従業員の管理職が行うようなものであったこと,Kは理事・取締役・執行役員として独自の権限を有してはいなかったこと等の事情からすれば,Kは労災保険法上の労働者に該当するものであると判断された例
3 Kの遺族である原告Xによる遺族補償給付等の請求につき,Kは労災保険法上の労働者には当たらないものであるとして不支給決定を行っていたY労基署長の行政処分が取り消された例
【掲載誌】 労働判例1034号62頁
労働経済判例速報2115号3頁