最2小判平成29年7月7日― 医療法人社団康心会事件
地位確認等請求事件
【判示事項】 医療法人と医師との間の雇用契約において時間外労働等に対する割増賃金を年俸(約1700万円)に含める旨の合意がされていたとしても,当該年俸の支払により時間外労働等に対する割増賃金が支払われたということはできないとされた事例
【判決要旨】 同族会社の関係にある親会社が子会社に医療法人と医師との間の雇用契約において時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意がされていたとしても,当該年俸のうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分が明らかにされておらず,通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができないという事情の下では,当該年俸の支払により,時間外労働等に対する割増賃金が支払われたということはできない。
【参照条文】 労働基準法37
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事256号31頁
判例タイムズ1442号42頁
判例時報2351号83頁
労働判例1168号49頁