東京高等裁判所判決平成22年11月25日
保険金等請求控訴事件
『平成23年重要判例解説』商法6事件
【判示事項】 1 生命保険契約の保険契約者が死亡保険金受取人の承諾を得ないで保険金請求権に質権を設定した場合と被保険者の死亡によって発生した保険金請求権の帰属
2 生命保険契約の保険契約者が死亡保険金受取人の承諾を得ないで保険金請求権に質権を設定した場合と被保険者の死亡によって発生した保険金を保険金受取人に支払った保険会社の免責
【判決要旨】 死亡保険金の受取人の指定を変更するということは、それに伴い死亡保険金請求権の帰属を変更して、従前の受取人から新たに指定された受取人に変更することにほかならなく、保険契約者の死亡保険金請求権に係る処分権の一内容となっている。したがって、受取人の指定を撤回、変更して死亡保険金請求権のすべての帰属を他に変更するのではなく、保険契約者の債権者が有する債権額の範囲で死亡保険金請求権を債権者に帰属させる質権の設定も、同様に保険契約者の処分権に属し、保険契約者は、死亡保険金の受取人として指定した者の承諾がなくとも死亡保険金請求権について質権を設定することができる。
【参照条文】 商法(平20法57号改正前)674
商法(平20法57号改正前)675
民法362
民法366
民法538
民法478
【掲載誌】 判例タイムズ1359号203頁
金融・商事判例1359号50頁