高裁判所第2小法廷判決平成25年11月29日
共有物分割等請求事件
『平成25年重要判例解説』民事訴訟法12事件
【判示事項】 1 共有物について遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合における共有物分割と遺産分割の関係
2 遺産共有持分の価格を賠償させる方法による共有物分割の判決がされた場合に支払われる賠償金の性質とその支払を受けた者の保管義務
3 遺産共有持分の価格を賠償させる方法による共有物分割の判決において賠償金の支払等に関し命じ得る事項
【判決要旨】 1 共有物について、遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合、共有者が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり、共有物分割の判決によって遺産共有持分を有していた者に分与された財産は遺産分割の対象となり、この財産の共有関係の解消については同法907条に基づく遺産分割によるべきである。
2 遺産共有持分と他の共有持分とが併存する共有物について、遺産共有持分を他の共有持分を有する者に取得させ、その価格を賠償させる方法による分割の判決がされた場合には、遺産共有持分を有していた者に支払われる賠償金は、遺産分割によりその帰属が確定されるべきものであり、賠償金の支払を受けた者は、遺産分割がされるまでの間これを保管する義務を負う。
3 裁判所は、遺産共有持分を他の共有持分を有する者に取得させ、その価格を賠償させてその賠償金を遺産分割の対象とする方法による共有物分割の判決をする場合には、その判決において、遺産共有持分を有していた者らが各自において遺産分割がされるまで保管すべき賠償金の範囲を定めた上で、同持分を取得する者に対し、各自の保管すべき範囲に応じた額の賠償金を支払うことを命ずることができる。
【参照条文】 民法258
民法907
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集67巻8号1736頁
判例タイムズ1396号150頁
金融・商事判例1434号14頁
判例時報2206号79頁
金融法務事情1995号100頁