裁判官は裁判の実情をどのように捉え,どのように訴訟運営に努めているのか。その過程でいかに心証形成をし,何を当事者に求めているのか。
世情を反映し複雑困難な事件が増す中にあっても,よりわかりやすく利用しやすい民事裁判であるために,現役裁判官が語る。 .
目次.
1 通常訴訟…………………………………………………永谷典雄・谷口園恵
2 建築訴訟…………………………………………………齋藤繁道・三輪方大
3 医療訴訟………………………………………………渡部勇次・手嶋あさみ
4 知的財産訴訟…………………………………………東海林 保・沖中康人
5 会社訴訟…………………………………………………大竹昭彦・岩井直幸
6 行政訴訟………………………………………………林 俊之・清水知恵子
7 労働訴訟………………………………………………江原健志・西村康一郎
8 控訴審……………………………………………………大段 亨・中西 茂
9 民事保全………………………………………………小川直人・古谷健二郎
*各回,編者と裁判官2名による鼎談
【感想】
本書では、各種の訴訟類型が取り上げられているが、成熟している倒産、交通事故は良いとして、システム開発訴訟、金融関係訴訟、人事訴訟、抗告審などが抜けている。
また、訴訟類型のうち、各論が物足りない。行政訴訟や労働訴訟、会社訴訟などでは、他にも取り上げられるべき典型的な訴訟がある。
司法制度改革で、「よりわかりやすく利用しやすい民事裁判」であるために、裁判官にも「説明責任」が求められている。
しかしながら、控訴審では、一回結審でも、地裁とは逆の結論になる逆転判決があるという。
控訴審では、「説明責任」が無視されているようだ。