2019年2月18日
講師 弁護士 池 本 誠 司
2 特定商取引法の法律・政令・省令・ガイドライン
法律:特定商取引法(平成28年6月3日改正、平成29年12月1日施行)
政令(施行令)
省令(施行規則)
通達「特定商取引に関する法律の施行について」
別添1 インターネットオークションにおける販売業者に係るガイドライン
別添2 法第2条第4項第1号の政令で定める権利の具体例
別添3 特商法3条の2に関する運用指針~再勧誘禁止に関する指針~
別添4 特商法6条の2~不当勧誘・誇大広告の規制に関する指針~
別添5 通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン
別添6 電子メール広告の承諾・表示の取得に係る「容易に認識できるよう表示していないこと」に係るガイドライン
別添7 意に反して申込みをさせる行為の禁止のガイドライン
別添8 施行令16条の2(訪問購入適用除外)で規定する物品の具体例
3 特定商取引法改正の概要
【経緯】
○平成27年3月~12月、消費者委員会特定商取引法専門調査会で審議
○平成27年12月24日報告書、平成28年1月7日消費者委員会答申
<見送りとなった課題>
①書面による事前拒否者への勧誘禁止(お断りステッカー、登録制度等)
②インターネット通信販売における虚偽広告を誤信した契約の取消し
○平成28年6月3日改正法公布、平成29年6月30日改正政省令公布
○平成29年11月1日通達・ガイドライン改正
○平成29年12月1日施行(施行日以降に締結した契約に適用)
【改正事項の概要】
(1)指定権利制から特定権利へ【訪問販売・通信販売・電話勧誘販売】
(2)アポイントメント・セールスの誘引方法等の拡大【訪問販売・通信販売】
(3)金銭借入や預貯金の引出し等に関する禁止行為の導入【訪問販売等5類型】
(4)取消権の行使期間の伸長【訪問販売等5類型】
(5)ファクシミリ広告の送信原則禁止の導入【通信販売】
(6)広告表示義務の追加・申込画面の明確化(定期購入対策)【通信販売】
(7)過量販売規制の対象拡大【電話勧誘販売】
(8)美容医療サービスへの規制対象追加【特定継続的役務提供】
(9)行政規制権限の強化(業務禁止命令、指示事項、罰則、公示送達等)【全般】
4 特定商取引法の規制の構造
(1)行為規制:正確な情報提供と主体的な意思決定を確保する規制
⑴広告規制:虚偽誇大広告の禁止(通販、連鎖、業提、特役)⇒罰則付き
広告表示義務(通販、連鎖、業提)⇒行政規制
迷惑広告メール・FAX禁止(通販、連鎖、業提)⇒罰則付き
⑵勧誘開始段階:勧誘目的等の不明示(訪販,電話,連鎖,業提,購入)⇒行政規制
拒否者に対する勧誘禁止(訪販、電話)⇒行政規制
要請がない者への勧誘禁止(購入)⇒行政規制
⑶勧誘行為規制:
ⅰ)意思形成を直接妨げる不当行為の禁止⇒罰則付き
①不実告知(訪販、電話、連鎖、特役、業提、購入)
②重要事項の故意の不告知(訪販、電話、連鎖、特役、業提、購入)
③威迫困惑行為(訪販、電話、連鎖、特役、業提、購入)
④閉鎖的場所での不意打ち勧誘(訪販、連鎖、業提)
ⅱ)その他の不当行為の禁止⇒行政規制
①債務の履行遅延・拒否(訪販、通販、電話、連鎖、特役、業提、購入)
②過量販売行為(訪販、電話)
③その他事項の故意の不告知(訪販、電話、連鎖、特役、購入)
④迷惑勧誘(訪販、電話、連鎖、特役、業提、購入)
⑤判断力不足に乗じた勧誘(訪販、電話、連鎖、特役、業提、購入)
⑥適合性原則違反(訪販、電話、連鎖、特役、業提、購入)
⑦書面に虚偽記載をさせる行為(訪販、電話、連鎖、特役、業提、購入)
⑧消耗品の使用誘導による解除妨害(訪販、電話、特役)
⑨立ちふさがりつきまとい行為(訪販、購入)
⑩代金調達のため金銭借入れ・預貯金の引出しをさせる不当行為(訪販)
⑪保険契約の同意誘導(訪販)
⑫断定的判断提供(連鎖、業提)
⑷書面交付義務
①概要書面交付(連鎖、特役、業提)
②申込書面・契約書面交付(訪販、電話、連鎖、特役、業提、購入)
③前払式の承諾通知(通販、電話)
④財務内容開示義務(特役)
〇権限主体:国(消費者庁・経産局)、都道府県
〇行政権限の内容:指示(7条等)
業務停止命令(8条等)
役員等への業務禁止命令(8条の2等)
報告徴収権・立入調査権(法66条)
※ 近年の行政処分事例により、適用される事案の類型や違反行為を把握
・消費者庁HP⇒政策⇒取引対策⇒特定商取引法ガイド⇒執行事例の検索
または執行状況