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新着情報
2020年04月08日
『裁判官と弁護士で考える 保険裁判実務の重要論点』2018年

加藤 新太郎、高瀬 順久、出張 智己 (編集)
564ページ
第一法規株式会社

内容紹介
現在の保険裁判実務について、当該分野に精通する裁判官と弁護士が解説。実際の保険裁判例をベースに、系統的に整理した項目と設例を作成し、そこにあらわれる重要論点について、現在の判例法理や議論状況を客観的に明示する。

出版社からのコメント
○判例から想を得て作成された設例について、Basic Information 、問題の所在、検討の順に解説し、法律実務家として知っておくべき実体法上、訴訟法上の問題点を明示することにより、本書で完結的に法的情報を得ることができ、さらに、参考文献により深掘りすることも可能となるよう編集。
○具体的な設例を通じて、訴訟遂行上の留意事項がわかりやすく端的に理解できる。
○保険裁判で取り上げるべき判例が的確にわかる。
○保険裁判に精通した「裁判官」「弁護士」両者の視点から、実務の考え方、押さえておくべき論点、訴訟遂行上抜け落ちやすいポイントをバランスよく把握できる。

目次
Ⅰ 損害保険
 1 保険契約の成立
 (1)損害保険契約の成立
 (2)保険契約の錯誤無効
 (3)保険契約の更新と説明義務
 (4)説明義務違反と慰謝料請求
 2 保険契約の効力
 (1)損害保険契約の無効、休止・復活
 (2)保険料分割払特約における滞納保険料の全額支払
 3 保険給付
 (1)火災保険事故の偶然性
 (2)車両総合保険の保険事故の偶然性
 (3)免 責
 (4)地震免責
 (5)被保険利益
 (6)損害発生の通知義務、損害防止費用
 (7)保険者が代位により取得する権利
 (8)弁護士賠償責任保険
 4 保険契約の終了
 (1)告知義務・危険の増加
 (2)自動車の用途変更と危険の増加

Ⅱ 生命保険
 1 保険契約の成立
 (1)遡及保険(承諾前死亡)
 (2)説明義務
 2 保険契約の効力
 (1)保険契約の無効
 (2)保険金受取人の指定及び変更
 (3)保険金受取人の死亡
 3 保険給付
 (1)免責事由(自殺免責期間後の自殺)
 (2)免責事由(精神障害における自殺)
 4 保険契約の終了
 (1)告知義務
 (2)生命保険契約の解除(重大事由解除)
 (3)生命保険契約の失効・復活

Ⅲ 第三分野
 1 保険給付
 (1)給付事由(保険事故)の急激性
 (2)給付事由(保険事故)の偶然性
 (3)重過失の意義・重過失と事故の偶然性の関係
 (4)給付事由(保険事故)の外来性
 (5)嘔吐物の誤嚥の外来性・外来性の検討対象の範囲
 (6)不作為を内容とする監督義務違反と外来性との関係
 (7)保険事故との因果関係
 (8)契約前発病不担保条項
 (9)免責事由
 2 保険契約の終了
 (1)告知義務違反解除
 (2)その他の解除事由
 (3)傷害疾病定額保険の解除

【感想】
保険法は、司法試験の範囲外であること、保険法や約款の解釈が問題になることなどから、一般の裁判官や弁護士には、なじみが薄い。
学者の保険法の教科書を読んでも、立体的な理解は得られない。むしろ、裁判実務で保険会社がよく主張する抗弁はパターン化されているので、本書のように、要件事実的に整理して学習するほうが理解が早い。

本書で取り上げられている最高裁の判例は、平成の「ジュリスト増刊 重要判例解説」(有斐閣)で読むことができる。
本書に採録されていない最高裁・高裁の裁判例もある。
例えば、生命保険で「偶然の事故」についての明確な記述はない。
死因不明の場合に関する福岡高判平成10・1・22が抜けている。
損害保険での高価品免責の抗弁が抜けている。

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