加藤 新太郎、高瀬 順久、出張 智己 (編集)
564ページ
第一法規株式会社
内容紹介
現在の保険裁判実務について、当該分野に精通する裁判官と弁護士が解説。実際の保険裁判例をベースに、系統的に整理した項目と設例を作成し、そこにあらわれる重要論点について、現在の判例法理や議論状況を客観的に明示する。
出版社からのコメント
○判例から想を得て作成された設例について、Basic Information 、問題の所在、検討の順に解説し、法律実務家として知っておくべき実体法上、訴訟法上の問題点を明示することにより、本書で完結的に法的情報を得ることができ、さらに、参考文献により深掘りすることも可能となるよう編集。
○具体的な設例を通じて、訴訟遂行上の留意事項がわかりやすく端的に理解できる。
○保険裁判で取り上げるべき判例が的確にわかる。
○保険裁判に精通した「裁判官」「弁護士」両者の視点から、実務の考え方、押さえておくべき論点、訴訟遂行上抜け落ちやすいポイントをバランスよく把握できる。
【感想】
保険法は、司法試験の範囲外であること、保険法や約款の解釈が問題になることなどから、一般の裁判官や弁護士には、なじみが薄い。
学者の保険法の教科書を読んでも、立体的な理解は得られない。むしろ、裁判実務で保険会社がよく主張する抗弁はパターン化されているので、本書のように、要件事実的に整理して学習するほうが理解が早い。
本書で取り上げられている最高裁の判例は、平成の「ジュリスト増刊 重要判例解説」(有斐閣)で読むことができる。
本書に採録されていない最高裁・高裁の裁判例もある。
例えば、生命保険で「偶然の事故」についての明確な記述はない。
死因不明の場合に関する福岡高判平成10・1・22が抜けている。
損害保険での高価品免責の抗弁が抜けている。