温泉法に関する裁判例で、主要な裁判例を網羅しています。
目次
第1部 温泉法第3条第2項(土地の掘削の許可)・温泉法第4条(許可の基準)
第1章1、温泉法第4条(許可の基準)の趣旨
2、温泉法第3条第2項(土地の掘削の許可)にいう「掘さくに必要な土地を掘さくのために使用する権利」の意義
第2章 新規温泉の掘さくがなされる前と後とにおいて既存の温泉井の温泉成分に変化があった事実は認められず、その水位・ゆう出量・温度については軽微な変化は認められるとしても、新規掘さくがその主たる原因とは断定できず、しかもこの変化はポンプ座の位置を下げ、モーターを若干強力なものに取り替える等の措置により容易に既存の温泉井の利用・経営に支障を来さないよう補い得る程度のものである場合には、新規温泉の掘さくが権利の濫用にわたるということはできない。
第3章 温泉掘さく許可処分に基づく掘さくにより自己の温泉湧出量に影響を受けたことを主張して、右許可処分の取消を訴求するような場合においても、その訴えの提起が右許可処分の日から1年を経過した後であるときは、出訴の遅延につき正当な事由の主張も疎明もないかぎり、不適法な訴えと認むべきである。
第4章 温泉法による知事の掘さく許可処分の性質
第5章 1、福岡県筑紫郡二日市町地方における温泉に関する権利の性質
2、温泉法第4条(許可の基準)の解釈
第6章 1、温泉の掘さくに関する知事の許可または不許可の処分の性質
2、伊東温泉における新たな温泉の掘さくを不許可とした処分が適法とされた事例
第7章 1 温泉法(平成19年法律第31号および同第121号による改正前)3条1項(土地の掘削の許可)に基づく温泉の掘削許可申請を,法4条1項2号(許可の基準)に該当するとして不許可とした処分行政庁である県知事の処分が,裁量権の範囲を超えて違法であると判断された事例
2 上記申請については,合理性のある裁量判断として法4条1項所定の不許可事由が存在すると認めることができる場合ではなく,処分行政庁がこれを許可しないことは裁量権の範囲を超えており,処分行政庁は,上記申請を許可しなければならないとして,行政事件訴訟法3条6項2号の義務付けの訴えが認容された事例
第2部 温泉審議会
第1章 知事の聴取した温泉審議会の意見が持廻り決議の方法によった場合における知事の動力装置許可処分の効力
第2章 温泉法3条(土地の掘削の許可)に基づく温泉堀さく許可申請に対して、既設温泉からの距離制限内規を適用して不許可とした審議会の答申を受けた都道府県知事が、答甲のとおりに不許可とした処分は適法であるとして右処分の取消請求を棄却した事例
第3章 温泉審議会の許可基準内規に適合しないから不許可を相当とする旨の同審議会の意見を受けて県知事のした新規温泉掘さく不許可処分が、前記内規は温泉法に基づく裁量を逸脱するものではなく、当該処分には手続的違法があるとはいえないなどとして、適法とされた事例
第3部 温泉法8条(注、現11条(増掘又は動力の装置の許可等))による増掘および動力装置の許可
第1章 温泉源枯渇化防止の見地から、掘さく許可既得権者からの温泉法8条(注、現11条(増掘又は動力の装置の許可等))による増掘および動力装置の許可申請に対しては、許可揚湯量の80パーセントを限度として許可を与え、他方、新規掘さく者からの同法3条(土地の掘削の許可)による温泉ゆう出目的の土地掘さくの許可申請に対しては許可を与えないという行政指針に基づいて、県知事が新規掘さく者からの右申請を不許可とした処分に、裁量権の逸脱は認めないとされた事例
第2章 1、温泉堀削工事完了後において温泉堀削許可処分の取消しを求める訴えの利益(行政事件訴訟法9条)
2、温泉法12条(注、現・15条(温泉の利用の許可))による公共的利用許可は、温泉の成分が衛生上有害であると認める場合を除いては与えなければならず、たとえ、右許可により揚泉料の増加が生じるとしても、それを理由に右利用を不許可とすることは許されないとした事例
3、県知事のした温泉堀削許可処分、温泉動力装置許可処分等が、温泉法4条(許可の基準)、8条2項所定の裁量権の限界を超えたものとは認められず、また、右処分等の結果既存温泉の泉温が低下したとしても、その一事だけでは右処分等が違法になるものではないとして、適法とされた事例
第4部 源泉権・温泉権の対抗要件
第1章 源泉権の対抗要件としての公示方法
第2章 一、源泉権(温泉権)は源泉の所在する地盤たる土地の所有権とは別個の物権的権利でその取引による権利移転の対抗要件たる明認方法(判文参照)が施されたものとされた事例
二、源泉権と地盤たる土地使用の妨害禁止請求権の有無
第5部 温泉台帳
第1章 1、温泉権の所有者から温泉台帳上権利者と表示されている者に対して温泉権の真正な帰属を台帳に登録するための申請手続を求める訴えの利益の有無
2、右の場合において無効な登載の抹消に代え名義変更の認可を求めることの可否
第6部 固定資産税(地方税法)
第1章 1、固定資産税の課税対象たる「鉱泉地」と一時的涸渇
2、旧孔が、涸渇し、新孔が噴出したのに、旧孔につき課税した違法が重大且つ明白でないとされた事例
3、「観賞用鉱泉地」の課税基準
第2章1 いわゆる温泉利用権および温泉源利用のための機械装置(以下「温泉利用権等」という。)は、地盤利用のための権利とは別個独立の譲渡所得税の対象となる権利であって、河川敷占有権等と一体不可分なものとして、単一的に評価、把握されるべきものではないとされた事例
2 温泉利用権等は、租税特別措置法31条に規定する「土地の上に存する権利」に当たるか(消極)