宮下 央、田中健太郎、木宮瑞雄 (編集)
404ページ
4,620円
法務デュー・ディリジェンスで調査しなければならない内容は、M&A取引の目的・手法、対象会社の規模や業種により千差万別です。
本書は、業種という特殊性にフォーカスし、法務デュー・ディリジェンスにおいて重視すべきポイントを実務的観点から詳しく解説したものです。
全12業種をピックアップし、各業種の調査項目をチェックリスト形式にまとめています。
各種関連法令・ガイドライン等を横断的に整理。
【目次】
第1部 法務デュー・ディリジェンスの概要
第2部 共通の調査項目
組織/株式・株主/役員/事業/資産/知的財産/負債/許認可・コンプライアンス
労務/訴訟・紛争・事故等/保険/環境
第3部 業種特有の調査項目
製造業/小売業/物流業/システム開発業/Eコマース事業/製薬業・医療機器製造業/介護事業/旅行業/ホテル・旅館業/飲食業/労働者派遣事業/農業法人
編著者らは、TMI総合法律事務所・弁護士。
【感想】
TMI総合法律事務所は、日本のビッグ5に入る大規模な法律事務所である。
各業界の実情と法務の留意点が簡潔に記述されている。
業種別になっており、各業種の商流や法律に則って書かれているため非常にわかりやすい
この本が共著であることからも明らかなとおり、1人だけでは、各業界の特殊性を経験できないであろう。私が本書を購入したゆえんである。
各業界の法務の留意点といっても、概観であって、裁判例への言及や解釈論が展開されているわけではない。
そのような深堀りは、読者に任されている。
このような知識は、デュー・ディリジェンス以外の用途(契約実務、訴訟、コンプライアンス)にも応用できる。
各論について深く理解した方向けには、著者は違うが、同じ中央経済社から『【Q&Aでわかる業種別法務】』2019年~が業種ごとに刊行中である。
実は、私は、2006年ころに、中央経済社の「月刊ビジネス法務」編集長のT氏から、「良い企画のアイディアがありませんか」と聞かれて、「業種ごとの法務を特集するのが良いでしょう。その業界の人は必ず読むでしょうから」と答えた経験がある。このアイディアが、その後採用されて、「月刊ビジネス法務」でも業種別法務が特集されたり、本書や『【Q&Aでわかる業種別法務】に結実したものと思われる。