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新着情報
2020年06月05日
渡邉 正裕『10年後に食える仕事 食えない仕事: AI、ロボット化で変わる職のカタチ』

2020/2/28
1,650円
334ページ
出版社: 東洋経済新報社

内容(「BOOK」データベースより)

ロボティクス失業―機械やITに置き換わり、失業リスクが高い。手先ジョブ―人間の手先が必要不可欠で、永遠に残り続ける。職人プレミアム―テクノロジーとは無縁で、雇用は安定。AI・ブロックチェーン失業―中核業務は無人化・自動化が不可避。デジタル・ケンタウロス―AIを乗りこなし、人間の強みを発揮。仕事の未来を5カテゴリに分類して解説!

【感想】
全般的に未来の変革が感じられる書物なので、ぜひ手に取って読んでほしい。
ただし、以下のように、私には異論もある。

著者は、未来の仕事に対して、やや楽観的である。
現在でも、味を科学的に分析して、チェーン店のラーメン屋のスープが工場で作られていることは、ご存じだろうか。
回転すしの例にみられるように、調理師の未来に対して楽観的にはなれないのだが。
なお、著者が成功例として掲げる高級な飲食店だが、2020年4月1日から、税法が変わり、資本金100億円以上の大企業(主に上場企業)については、接待交際費で損金算入すること(つまり、経費で落とす)はできなくなった。

ビッグデータを用いて「推論」することが、すべての分野でできるとは思えない。著者も認めるとおり、証券アナリストのように、AIでは取り扱えない「推論」の分野はある。
法律学では、裁判の結果予測のように、AIでは取り扱えない「高次推論」の分野がある。
AIは、具体的なデータを取り扱うのは得意だが、抽象的な概念は苦手なのである。
デジタルケンタウロス、すなわち、デジタルデータを駆使して、人間の脳で考える類型の高度な仕事が、今後はますます必要になってくるだろう。
また、弁護士は「職人プレミアム」として、生き残る職業ということだから、うれしい限りである。

仕事が奪われる「AI・ブロックチェーン」というネーミングは、とっつきにくい名前だが、要はデジタル化によって、AIに仕事が奪われる職業のことである。具体例は、建築士、代書業、税理士などである。

未来の職業は、だれにも予測できないから、著者のいう職業が有望とは限らない。
例えば、最初にシステムエンジニアになってから、後で営業の仕事につけるという著者の主張がある。
しかし、私の知人のシステムエンジニアを見ていると、そのように断定はできないと思う。

銀行の与信審査は、現在でも、AIで自動化されていることをご存じだろうか。
ただし、不正確な与信システムで、不良債権だらけで倒産してしまった新銀行東京のような例はあるが。

AIによる投資ファンドの成功例として、ソフトバンクを著者はあげているが、ソフトバンクは今期、投資損失が1兆円以上である。

コロナ後のビジョンも読んでみたいが、出版がコロナ前なので、これは無理な注文であろう。
著者が成功例として掲げるインバウンド需要の旅行業やホテル宿泊業などは、コロナで大ダメージを受けた。

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