海洋汚染防止法に関する裁判例を網羅しています。
海洋汚染の防止を目的としたマルポール条約の締結により、1970年(昭和45年)、日本で海洋汚染防止法が定められた。
海洋汚染防止法の正式名称は「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」である。
目次
第1部 行政訴訟事件
第1章 義務確認訴訟が抗告訴訟として認められる場合の要件
第2章 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律20条1項に基づく廃油処理事業の許可申請に対する運輸大臣の却下処分につき、右申請に係る事業対象区域内の既存の廃油処理施設の処理能力が右施設の船舶廃油処理の実績量と比べて相当に余裕があり、将来、船舶廃油の要処理量が急速に増大すると予想することもできないので、右申請は、同法23条1号に適合せず、また、廃油処理施設の適正な配置及び運営、公害の防止等といった同法の目的を達成するためには、廃油処理事業を私企業間の自由競争にゆだねることは妥当ではなく、船舶廃油の処理につき需要に適合していると認められない限り、新規業者の3入が阻まれ、一定地域において既存業者に事実上独占的な地位が付与されることとなるのもやむを得ないとして、右却下処分が適法とされた事例
第3章 港湾における浚渫工事について、市が国との協議に応じた行為の取消しを求める請求は、法律上の利益を有しない原告適格を欠く不適法な訴えとして却下した事例
第4章 千葉県土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例に基づき県知事がした残土処理事業の許可処分について,同事業に係る処理場の下流に居住する住民が,上記処理場の設置に伴う土砂の崩落,飛散又は流出による災害の発生によって健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれがある者として,上記許可処分の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例
第5章 我が国に住所を有する個人等及びツバルに住所を有する個人らが電力会社を被申請人として公害紛争処理法26条1項の規定に基づいてした2酸化炭素排出量の削減を求める調停の申請について,公害等調整委員会が,同項所定の「公害に係る被害について,損害賠償に関する紛争その他の民事上の紛争が生じた場合」に当たらない不適法なものであり,かつ,その欠陥は補正することはできないとしてこれらを却下する旨の決定をしたことが適法であるとされた事例
第2部 刑事事件
第1章 船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律(油濁法)36条、5条1項と過失犯
第2章 工場廃液等の海洋投棄行為につき、港則法24条1項および愛知県漁業調整規則32条1項各違反罪の成立を認めた事例