育児介護休業法の正式名称は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」です。
育児または介護で、ハラスメントをキーワードとして、民事事件を検索しました。
労働判例に掲載されているものが主です。
マタニティハラスメントに続く育児介護ハラスメントもあわせて掲載しています。妊娠・出産と育児は切り離せないからです。
ただし、育児介護休業法26条などの改正により、休業・時間短縮などが法律によって認められる以前の裁判例は、法改正前なので、割愛しています。
なお、不当労働行為に関する裁判例も、割愛しています。
育児介護ハラスメントに関する最高裁・高裁・地裁の主な裁判例を網羅しています。
目次
第1部 育児休業者の処遇
第2章 前年の稼働率によって従業員を翌年度の賃金引上げ対象者から除外する旨の労働協約条約の一部が公序に反し無効とされた事例~日本シェーリング事件
第3章 出勤率が90%以上の従業員を賞与支給対象者とする旨の就業規則条項の適用に関しその基礎とする出勤した日数に産前産後休業の日数等を含めない旨の定めが公序に反し無効とされた事案~東朋学園事件
第4章 最高裁初のマタニティハラスメント事案~広島中央保健生活協同組合事件
第5章 マタニティハラスメント事案~学校法人福原学園(九州女子短期大学)事件
第6章 産休及び育休を取得した労働者に対する解雇~シュプリンガー・ジャパン事件
第7章 育児のための所定労働時間の短縮申出および同措置を理由として解雇その他不利益取扱いをすることは,育児介護休業法23条の2に違反するものとして違法であり,無効であるというべきであるとされた例~フーズシステムほか事件
第8章 妊娠中の退職の合意が否定された事例~TRUST事件
第9章 使用者が出産のため休業中の労働者から退職の意思表示がないのに、退職扱いして、育児休業の取得を妨げた事案~医療法人社団充友会事件
第10章 産前産後・育児休業の取得とその後の育児に関連してなされた原告看護師に対する看護師長解任,夜勤のある病棟勤務への異動命令,深夜業制限請求の拒否,自宅待機命令,病棟への職場復帰などにつき,原告勤務の本件病院を運営する被告による上記各行為は,債務不履行および不法行為に当たるものではないとして,慰謝料および師長解任による減給分等の損害賠償請求などがいずれも退けられた例~みなと医療生活協同組合〔協立総合病院〕事件
第11章 産前産後休業と育児休業からの復職後の給与減額~コナミデジタルエンタテインメント事件
第12章 パタニティ育児休業ハラスメント事案~医療法人稲門会(いわくら病院)事件
第13章 妊娠の報告を受けてから,使用者が業務軽減等の措置を執らなかったマタニティハラスメントの事案~ツクイほか事件
第14章 産前産後休暇及び育児休暇の取得に関する嫌がらせ等の違法なマタニティ育児休暇ハラスメント事案~コメット歯科クリニック事件
第15章 転勤命令によって受ける不利益が通常甘受すべき程度を著しく超える~ネスレ日本(配転本訴)事件
第16章 債権者への転居を伴う転勤命令につき、配転の業務上の必要性は存するが、債権者会社はその人選を誤っており、また、その長女が躁うつ病、二女が脳炎の後遺症による精神運動発達遅延の状況にあり、かつ両親の体調が不良であるため、家業の農業を事実上面倒をみているという債権者の家庭状況からすれば、本件転勤命令は、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を課するものとして、当該転勤命令が権利の濫用に該当するとされた例~北海道コカ・コーラボトリング事件
第17章 債権者が,債務者の発した転勤命令は,業務上の必要性及び人選の合理性もない一方で,改正育休法26条にも反するなど無効であるとして,同命令に基づく就労義務がないとの仮の地位を定める仮処分命令を申し立てた事案について,本件転勤命令は,業務上の必要性を認めた上で,債権者に対し,通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるという特段の事情が存するから,就業規則6条3項の「正当な理由」があり,本件転勤命令は,権利の濫用として無効であるとして,申立人の申立を認容した事例~明治図書出版事件
第18章 大阪の店舗マネージャー職から東京営業部への本件配転命令につき、業務上の必要性は認められず、心臓病三種合併症に罹患した長女の介護に伴う控訴人らの不利益は軽視しがたく解消措置が講じられたとは認めがたいとして、権利濫用に当たり無効とされ、東京で勤務する義務のないことが確認された例~日本レストランシステム事件
第19章 本件配転命令3により生じた損害に関して,個別に考慮すべき事情として,Eにつき実父の介護および実母の世話の必要性,Fにつき糖尿病の食事療法および運動療法への制約,Rにつき肺ガン手術後の妻の援助の必要性を認め(一審維持),これに加えてVにつき妻の両親の介護への差支えを認めた(一審変更)うえで,Eにつき120万円,Fにつき80万円,Rにつき120万円,Vにつき60万円,その余の13名につき各40万円の慰謝料が認容された例~NTT西日本(大阪・名古屋配転)事件
第20章 Eに対する第1次および第2次配転命令につき,業務上の必要性が認められるものの,本件配転命令によって両親の介護を行うEに生じる不利益は通常甘受すべき程度を著しく超えるものであり,Y社は,Eに対する第1次配転命令がEないしその親族に対しそのような不利益を負わせるものであることを認識していたか,またはこれを認識することができたといえるところ,Y社がEに生じた上記不利益を顧慮することなく,Eに本件配転命令を発したことは,権利濫用として違法であり,これによりEに東京への赴任を余儀なくさせたことは不法行為になるとされ、Eの上記不法行為にかかる慰謝料額につき,一審判決の100万円から150万円に増額して認められた例~NTT東日本(北海道・配転)事件
第21章 マタニティハラスメントと認められなかった事案~ネギシ事件
第22章 マタニティハラスメントとは認められなかった事案~ジャパンビジネスラボ事件