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新着情報
2020年07月03日
野村創『失敗事例でわかる! 民事保全・執行のゴールデンルール30』

2020/3/4
205ページ
出版社: 学陽書房

内容説明
こうすれば上手くいく! 弁護士が身につけておきたい、民事保全・執行30の鉄則!
苦手意識を持つ弁護士が多い民事保全法・民事執行法。
知識不足や見通しの甘さが原因となって、様々なしくじりが起こる。
本書は、「裁判官に間違いを指摘されて恥を掻いた」という小さな失敗から、
「予想外の費用がかかって依頼者の不興を買った」という苦い失敗、
さらには「間違った知識のため、お金を全額回収できなかった」という弁護過誤レベルの大失敗まで、
弁護士が気をつけたい失敗事例を示しながら、保全・執行の実務を解説!
そして、同じ失敗をしないために、これだけは知っておきたい心構えを、30のゴールデンルールとして紹介した!
申立ての不備、回収不能を防ぐ実務の極意!

【感想】
民事保全法・民事執行法に関して、弁護士の間で広く読まれている最近の実務書である。

p72 
「固定資産税評価額は、実勢価額の60%程度」という記述がある。
しかし、固定資産税評価額は、公示価格の70%である。コロナ後では、もっと安いであろう。

p99
(開始決定に対する執行抗告等)
民事執行法第182条  不動産担保権の実行の開始決定に対する執行抗告又は執行異議の申立てにおいては、債務者又は不動産の所有者(不動産とみなされるものにあつては、その権利者。以下同じ。)は、担保権の不存在又は消滅を理由とすることができる。
平成15年改正により、執行抗によっても、不服申し立てできるようになった。
なお、以下の判例は、法改正前のものであり、現在は先例としての価値はないことに注意が必要である。
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷決定/平成12年(許)第52号
【判決日付】 平成13年4月13日
売却許可決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
【判示事項】 抵当権に基づく不動産競売において抵当権の不存在又は消滅を売却許可決定に対する執行抗告の理由とすることの可否
【判決要旨】 抵当権に基づく不動産競売においては、抵当権の不存在又は消滅を売却許可決定に対する執行抗告の理由とすることはできない。
【参照条文】 民事執行法71-1
       民事執行法74-1
       民事執行法74-2
       民事執行法182
       民事執行法188
【掲載誌】  最高裁判所民事判例集55巻3号671頁
       裁判所時報1289号233頁
       判例タイムズ1064号138頁
       判例タイムズ1103号149頁
       金融・商事判例1124号3頁
       判例時報1751号72頁
       金融法務事情1622号43頁

p137
「オプションの転付命令は、債権差押命令と同時に申立てる必要はない」という記述がある。
しかし、転付命令は、債権差押命令と同時に申立てる必要がある。
なお、譲渡命令・売却命令・管理命令は、差押命令の申し立てと同時に申立てる必要はない。著者は、両者を混同したものであろう。

p168
執行補助者について誤解がある。
補助者のうち、執行立会人については、民事執行法で執行官が失効するに際して必要とされている。

本書は執行・保全について幅広い論点を扱っている。
ただし、以下の論点が抜けている。
マンション管理費・修繕積立金の先取特権に基づく不動産執行
借地権付き建物の執行
動産売買先取特権の証拠(準債務名義説vs書証説)
非上場株券の執行
振替株式以外の、株券が発行されていない場合の執行
知的財産権に対する執行
譲渡命令の手続き(具体例として不動産、株券)
担保不動産収益執行
不動産明渡執行の際の残置物についての動産執行
所有権移転登記の処分禁止仮処分
第三者の承諾を要する場合の登記の処分禁止の仮処分
不動産明渡の執行停止の仮処分
ほかに担保物がある場合の被保全権利・保全の必要性
自動車の占有移転禁止の仮処分(断行)
仮登記仮処分
商事仮処分
家事仮処分・執行
など

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