市町村合併特例法に関する裁判例をすべて網羅しています。
市町村合併特例法の正式名称は、「市町村の合併の特例に関する法律」である。
略称は、合併特例法である。
市町村の合併の特例に関する法律(平成16年法律第59号)は、市町村の合併に関する地方自治法等の特例を定める。
施行時の法律名は「市町村の合併の特例等に関する法律」であったが、2010年(平成22年)4月1日に現行のものに改正された。
かっての市町村の合併の特例に関する法律(昭和40年法律第6号、旧・合併特例法)は、2005年(平成17年)3月31日に失効している。 “昭和の大合併”の後を受けて昭和40年(1965年)に制定された「市町村の合併の特例に関する法律(合併特例法)」は、合併協議会の設置や住民発議制度の制定、合併する場合の各種の特例(議会議員の定数特例や地方交付税の特例)を定めた法律でしたが、平成11年7月に法の一部改正が行われ、合併特例債を柱とする財源措置が創設されました。
目次
第1部 民事訴訟事件
第1章 電話の自動化、新しい電話局の設置に当り地元住民の意見がまとまらない場合、電話加入局を行政区画と一致させた措置に違法はないとされた事例
第2章 原告は,廃棄物処理施設部分と発電施設部分からなる施設を運営していた団体であるが,廃棄物処理施設部分が所期の機能を発揮できず,発電施設部分の稼働ができないため,本件施設の運営を打ち切り,交付を受けた補助金を返還することになったところ,被告会社Y1及び代表者の被告Y2に対し,基本設計等の義務不履行による賠償を,被告会社Y3に対し,請負契約の瑕疵による賠償を求めた事案
第2部 行政訴訟事件
第1章 町議会議員の被選挙権を認めない旨の町議会の決定を県知事が取り消した裁決について、当該町議会議員以外の議員がこれを不服として、当該裁決取消しの訴えを提起することができないとされた事例
第2章 地方自治法76条3項の規定により執行した市議会の解散請求に係る投票の無効申立てにつき,県選挙管理委員会がした棄却する旨の裁決の取消と市議会解散請求に係る投票無効判決を求めた訴えが却下された事例
第3章 地方自治法76条3項に規定する解散の投票に関する投票事務の執行について仮の差止めを求めた申立てが,差止めを求める対象の特定を欠き,また,対象が処分性を欠くなどとして却下された事例~茨城県桜川市議会
第4章 地方公共団体の新設合併に当たっての人事発令により,合併前の職位が変更された一般職職員X1ら2名の不服申立を,地方公務員法49条1項の不利益処分に当たらないとして却下した市公平委員会の裁決を違法であるとして取り消した1審判決が維持された例
第3部 地方自治法に基づく住民訴訟
第1章 愛知県豊田市の住民である原告が,旧藤岡町の当時の町長が,取得の必要性のない本件中学校用地等を旧藤岡町を代表して違法に買い受けた結果,合併によって旧藤岡町から事務を承継した豊田市に代金額に相当する損害を被らせたと主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被告に対し,旧藤岡町長個人に損害賠償として本件各土地の取得金額全額である3億9442万7880円を請求するよう求めた住民訴訟
第2章 合併に伴う各協議のうち,議員定数に関する協議は法定の告示を欠き無効であるが,在任特例に関する協議は法定の告示を欠くものの効力を生じているから,合併により成立した市の市議会議員は後者の協議に基づき合併時からその身分を有しているとされた事例
第3章 新設合併した青森市において,合併に際してなされた,平成16年法律第57号による改正前の地方自治法91条7項に基づく議員定数に関する協議及び平成17年4月1日失効した市町村の合併の特例に関する法律7条1項1号に基づく議員の在任の特例に関する協議が法定の告示を欠いて無効であり,合併時から青森市の市議会議員としての地位を有しておらず,議員報酬及び期末手当の支給を受ける権利を有しないとする,議員報酬等の支給差止め請求が認められなかった事例
第4章 茨城県土浦市と新治村との合併により,旧新治村議会議員は,土浦市議会議員としての地位を取得しているから,旧新治村議会議員に議員報酬を支出することについて,何ら違法,不当な点はないとした事例
第5章 市と村が合併するに当たり,旧市町村の合併の特例に関する法律(昭和40年法律第6号,平成17年3月31日限り失効)7条1項を適用して旧村議会議員を引き続き合併後の市の市会議員として在任させることとした,合併協議会における決定は,合併前の前記市の市民の投票価値の平等を害し違憲無効であり,同決定に基づき旧村議会議員らに対して議員報酬を支出することが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,旧村議会議員に支給した議員報酬の返還請求をすることを市長に対して求める請求が,棄却された事例
第6章 原告らが,本件トンネル整備事業は違法な起債を財源としているとして,詳細設計費等の既払委託料の損害賠償と公金支出差し止めを求めた事案について,対象区間の峠道は狭隘で勾配・カーブが多く,冬場は通行止めになるなど,従前から本件事業が必要とされ,合併協議会により合併後の市の建設に関する基本的な計画とされたもので,合併特例債を利用して本件事業を行うことは問題がないとされた事例
第7章 原告らが,被告らに対し,市が林道事業に関して林業組合に対し交付した補助金は,寄附又は補助にあたるところ,公益上の必要性を欠いた違法なものであるとして,地方自治法に基づき,市長の職にあった者及び現市長に対しては,不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を,各専決権者らに対しては,賠償命令を求めた住民訴訟の事案
第8章 市が,認定こども園整備事業において,訴外法人へ土地貸与したことにつき,原告らが,同土地は事業用地として不適当である,同法人は適正貸付料を支払っていないとして執行機関・被告(市長)を相手に,①同事業に係る支出等の差止めを,②財産管理を怠る事実(契約不解除)の違法確認を,③同法人への損害賠償等の請求をすることを各求める住民訴訟。~兵庫県川西市公有財産貸借差止等請求事件
第9章 奈良市の住民である原告ら及び参加人ら(共同訴訟参加人ら)が,奈良市が新たな火葬場を建設するために地権者であるB(以下「相手方B」という。)及びC(以下「相手方C」といい,相手方Bと併せて「相手方Bら」という。)との間で別紙物件目録記載1ないし7の土地(以下「本件買収地」という。)の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結したことについて,代金額が高額に過ぎ,また,火葬場の建設に不必要な土地まで購入しているなどの違法があり,更に火葬場の建設工事請負契約の代金額の中に本件買収地に投棄されている産業廃棄物の撤去費用等を含めて奈良市が負担することは違法であるなどと主張して,奈良市の執行機関である被告に対し,(1)地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき,①主位的に,本件売買契約を締結した奈良市長であるA(以下「相手方A」という。)及び相手方Bらに対して,民法709条及び719条に基づく損害賠償請求として,本件売買契約の代金額と同額である1億6772万2252円及び遅延損害金を支払うよう請求することを求め(前記第1の1。以下「請求1」という。),②予備的に,本件売買契約が無効である旨主張して,本件売買契約の売主である相手方Bらに対して,同法703条に基づく不当利得返還請求として,各自8386万1126円(上記代金額の各2分の1相当額)及び同法704条前段所定の利息を支払うよう請求することを求める(前記第1の2及び3。以下,それぞれ「請求2」,「請求3」という。)とともに,(2)地方自治法242条の2第1項1号に基づき,上記請負契約の代金のうち本件買収地の地下に埋設されている産業廃棄物の撤去費用等の支出の差止めを求める(前記第1の4。以下「請求4」という。)事案である。