預金等に係る不当契約の取締に関する法律に関する裁判例をすべて網羅しています。
裁判例の配列の順序は、最高裁・高裁・地裁の順で、判決の年月日の順です。
預金等に係る不当契約の取締に関する法律(昭和32年法律第136号)の概要として、預金者が特別の利益を得る目的をもって、あるいは預金の媒介を行う者が預金者に特別の利益を得させる目的をもって、その預金を担保とすることなく、銀行などの金融機関をして特定の第3者に対して資金の融通をさせるような契約を結ぶことを禁止する。
同法の禁止する導入預金とは、特別の金銭上の利益(裏利)を得る目的で,特定の第3者と通謀して,預金者が銀行に対し預金する代りに銀行からその者に融資することを約束させたり,または銀行がその第3者のために債務の保証をすることを条件に預金者が銀行に預金すること。預金者がなんの危険も負担しないで謝礼などをとるのに反し,銀行が自主的判断によらずに貸付けざるをえない欠点があるので、同法で禁止されている。
目次
第1章 中小企業等協同組合法による信用協同組合と経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第2条
第2章 信用金庫の専務理事が株式払込の仮装につき請託を受けその費用と謝礼とを不可分的に一括して収受した場合の追徴の範囲
第3章 預金等に係る不当契約の取締に関する法律2条1項にいう「特定の第3者と通じ」の意義
第4章 預金等に係る不当契約の取締に関する法律2条1項に違反する導入預金契約であっても、右預金契約自体は民法90条に該当する無効のものということはできない。
第5章 預金等に係る不当契約の取締に関する法律2条1項に違反する預金契約の効力
第6章 預金等に係る不当契約の取締に関する法律2条1項に違反する導入預金契約であっても、右預金契約自体は民法90条に該当する無効のものということはできない。
第7章 背任罪と預金等に係る不当契約の取締に関する法律5条1項1号、3条の罪とは法条競合か
第8章 1、預金等に係る不当契約の取締に関する法律2条、4条1号と金融機関に預金等をする者または預金等をすることについて媒介をする者と通じた特定の第3者の処罰
2、預金等に係る不当契約の取締に関する法律2条2項にいう「金融機関に預金等をすることについて媒介をする者」にあたらないとされた事例
第9章 被告人Aに対する法人税法違反、恐喝、公正証書原本不実記載、同行使、詐欺、預金等に係る不当契約の取締に関する法律違反、強要、所得税法違反被告事件
第10章 銀行の裏預金につき、相手方に相当な過失があった事案において、重大な過失を認めた原審の判断を違法とすることによって、使用者が責任を免れる「重大な過失」を認めるについては慎重であるべきことを確認した事案
第11章 預金等に係る不当契約の取締に関する法律に違反する導入預金は不法原因給付ではない
第12章 導入預金による貸付が金融機関による貸付として有効と認められた事例
第13章 導入預金資金としての金員貸付と民法90条の適用
第14章 1、預金等に係る不当契約の取締に関する法律第2条第1項にいう「特定の第3者と通じ」の法意
2、同法第2条第1項違反の罪が成立するものとされた事例
第15章 導入預金の用に供する資金は横領罪の目的物となるか
第16章 1、架空名義定期預金の預金者の認定
2、導入預金の私法上の効力
第17章 無記名定期預金の預金者の判定
第18章 1、導入預金の私法上の効力
2、預金契約に基づく導入預金の返還のみを請求している場合、予備的に不当利得返還請求しているものと解しうるか
3、導入預金の無効を理由とする不当利得返還請求に対し、双方の不法性を同等と判断した上、預金額の2分の1の限度において認容した事例
第19章 (1) 貸付金利息および導入預金の謝礼金(いずれも雑所得)を収受したものと認定された事例(原審判決引用)
(2) 導入預金の謝礼金につき隠ぺいかつ仮装したところに基づき過少の確定申告をなした場合、重加算税の賦課決定は適法であるとされた事例
第20章 1 導入預金の無記名定期預金において出捐者を預金者と認定した事例
2 無記名定期預金の払戻しにつき金融機関が相当の注意を欠いたとされた事例
第21章 預金等に係る不当契約の取締に関する法律3条、5条1号の罪の成立が認められた事例
第22章 預金等に係る不当契約の取締に関する法律2条2項の自己媒介の行為に当たるとした事例
第23章 銀行の行員が建築工事の斡旋を口実に預金名下に建築業者に多額の金員を交付させた行為について、右行員の行為が右銀行の本店営業部内の応接室で他の行員立会いのもと行われたとしても、銀行の使用者責任は否定されるとした事例
第24章 甲銀行が、その取引先の乙に要請して乙から「協力預金」として預入れを受けた定期預金につき、その要請に係る目的達成後、乙の申し出た解約を理由とする返還を拒絶したうえ、当該定期預金債権を受働債権とし、乙に対してその協力要請前に有していた貸付債権を自働債権として行った相殺がその全部について有効と認められた事例
第25章 預金等に係る不当契約の取締に関する法律2条1項、2項、3条各違反罪の成立を認めた事例
第26章 預金等に係る不当契約の取締に関する法律2条、3条により禁止される不当契約の意義
第27章 1、架空人名義の記名式定期預金の預金者の認定
2、導入預金契約の効力
第28章 1、架空名義による記名式定期預金の出捐者が預金者であると認定された事例
2、定期預金について銀行がその払戻につき遅滞に陥入る時期
第29章 導入預金を媒介することを内容とする契約が民法90条により無効とされた事例
第30章 1、店頭入金における定期預金契約は、出納係が計算確認をしなくても、預金を受け入れる権限を有する者が預金とする趣旨で顧客から金員を受領した時に成立するとされた事例
2、導入預金につき、それが「預金等に係る不当契約の取締に関する法律」2条、3条に違反し、かつ、預金者がそれを知りまた知り得べきであったとしても、それだけでは定期預金の成否に影響がないとされた事例
第31章 (1) 導入預金の手数料につき、双方申請の証人調べが完了した後になされた被告の予備的主張および証拠の提出が原告の反証活動に照らして、時期に遅れた攻撃防禦方法には当たらないとされた事例
(2) 導入預金が定期預金と認められることから導入預金の手数料率は5%ではなく7%であるとされた事例
(3) 納税者が収受した手形割引料22万円は、争いのない100万円の手形割引料収入に含まれているか否かが明らかでないから、当該額は収入金額に含めないことが相当であるとされた事例
(4) 課税庁は導入預金の手数料収入につき、主位的主張を上回る主張をしているのであるから、当該預金の金主に対し支払った手数料の額もそれに比例して増加するものであるとする納税者の主張が排斥された事例