関税定率法に関する最高裁・高裁の裁判例を網羅しています。
関税定率法では、平成18年(2006年)6月の法改正以前は、当時の第21条に輸入禁制品の規定がありましたが、改正により該当規定は関税法に移されました。
関税定率法に関する裁判例は、改正後の関税法の解釈にあたっても、参考となります。
目次
第1部 知的財産権関係事件
第1章 真正商品の並行輸入につき差止請求権を行使していたが、専用使用権設定契約が解除されたときは、差止請求権を失う。
第2章 1、絵画が、世界的に著名な画家の作品の複製物または2次的著作物に当たるとされた事例
2、輸入申告に係る絵画が関税定率法(平成6年法律第118号による改正前)21条1項4号所定の著作権侵害物品に当たるとしてされた積戻し命令が有効とされた事例
第2部 行政事件訴訟
第1章 関税定率法21条3項の規定による税関長の通知または同条5項の規定による税関長の決定およびその通知と抗告訴訟の対象
第2章 関税定率法21条1項3号に掲げる貨物に関する税務検査は,憲法21条2項にいう検閲には当たらないとし,同号の定める基準による輸入規制は,憲法21条1項,29条および31条に違反するとの主張および郵便物についての税務検査は,憲法21条2項後段に違反するとの主張をいずれも退け,本件貨物がいずれも猥褻性を有し,関税定率法21条1項3号にいう「風俗を害すべき書籍,図画」に該当するとした原審の判断は,正当として是認できるとした事例
第3章 税関検閲大法廷判決
第4章 郵便物中の信書以外の物についてわいせつ表現物の流入阻止の目的で行われる税関検査と憲法13条
第5章 1、郵便物中の信書以外の物についてわいせつ表現物の流入阻止の目的で行われる税関検査と憲法13条
2、郵便物中のわいせつ表現物の輸入規制に伴うその留置の措置と憲法29条、31条
第6章 輸入写真集が関税定率法(平成6年法律第118号による改正前のもの)21条1項3号に掲げる貨物に該当する旨の税関長の通知が適法とされた事例
第7章 1 我が国において既に頒布され,販売されているわいせつ表現物を関税定率法(平成17年改正前)21条1項4号による輸入規制の対象とすることと憲法21条1項
2 輸入しようとした写真集が,関税定率法(平成17年法律第22号による改正前のもの)21条1項4号にいう「風俗を害すべき書籍,図画」等に該当しないとされた事例
第8章 課・徴税処分の違法性が無効事由とまではいえないとされた事例
第9章 浮世絵春画を撮影した輸入映画フィルムが猥褻出版物であり、関税定率法21条1項3号の「風俗を害すべき」物品に当たるとされた事例
第3部 刑事事件の訴訟条件
第1章 北緯29度以南,北緯27度以北の南西諸島が外国とみなされていた当時,免許を受けないで日本内地から同地域へ,もしくは同地域から日本内地へ貨物を密輸出しもしくは密輸入した罪については,その後,右地域がわが国に復帰し,外国とみなされなくなっても,刑の廃止があったものといえないことは,既に当裁判所の判例の趣旨とするところであるとした事例
第2章 関税法の適用について,外国とみなされていた地域において,免許を受けないで日本内地から同地域へ,もしくは,同地域から日本内地へ貨物を密輸出しもしくは密輸入した罪,または同地域から日本内地へ密輸入した貨物の関税を逋脱した罪については,その後,右地域が外国とみなされなくなっても,犯罪後の法令により刑の廃止があったものとはいえないことは当裁判所の判例の趣旨とするところであり,これと相反する判断をした原判決は破棄を免れないとした事例
第3章 訴訟条件の存否についての挙証責任
第4部 紙幣が関税定率法にう「貨物」に該当するか
第1章 米国ドル弗表示軍票は旧関税法第1条の貨物か
第2章 1 関税法3条によれば輸入貨物には関税定率法により関税を課す旨定めているが、同法別表輸入税表1140は「紙幣、銀行券」を無税としている。紙幣銀行券は無税ではあるが関税法上貨物であることはこれによって明らかである。紙幣銀行券が外国為替および外国貿易管理法において支払手段として取扱っているからといって、右関税法並びに関税定率法の適用を排除すべき謂われはない。銀行券を関税法に規定する貨物に当るとする原判示は正当である。
2 原判決が所論出入国管理令違反罪と関税法違反罪を併合罪の関係にあるとしたのは正当である。
第3章 韓国銀行券は関税法上の貨物か。
第4章 関税法にいわゆる貨物と日本銀行券
第5部 刑事事件
第1章 台湾製パイン・アツプル罐詰の輸入税率
第2章 関税法違反の犯意は,学童給食用の輸入脱脂ミルクであることを知って,学童給食用以外の用途に供するために譲渡することの認識があれば足り,右輸入脱脂ミルクが,免税品であることの認識を必要としないとした原判決の判断は正当であり,上告趣意は,法令違反,事実誤認の主張であり,上告理由に当らないとして上告を棄却した事例
第3章 輸入貨物について虚偽の申告により免税輸入の許可を受けその後用途外使用の申請をして関税および物品税を納付した場合における関税および物品脱逋脱罪の成否
第4章 関税定率法(昭和34年改正されたもの)別表第14類1405号の3の「軌条」に当るとされた
第5章 関税法109条1項違反の罪と麻薬取締法12条1項違反の罪との罪数関係について意見が付された事例
第6章 事実の錯誤~麻薬を覚せい剤と誤認して輸入した場合とその罪責
第7章 1、いわゆる差額関税事件について関税法(昭和42年法律第11号による改正前のもの)118条2項の規定にしたがい輸入貨物全体の価格に相当する金額を追徴することと憲法36条、29条、31条
2、関税定率法(昭和41年法律第37号による改正前のもの)4条3項にいう「最近に輸入港に到着した」の意義
第8章 関税法(平成6年改正前のもの)109条の規定と憲法13条、31条
第9章 船舶から海上に投下し回収する方法により覚せい剤を輸入しようとした行為につき,覚せい剤取締法41条の輸入罪および関税法(平成17年法律第22号による改正前のもの)109条1項,3項の禁制品輸入罪の実行の着手があったとはいえないとされた事例
第10章 学童給食用輸入脱脂ミルク横流しの関税法違反罪の犯意として、それが、免税品であることの認識を必要とするか
第11章 1、関税定率法4条1項にいう「過税価格」の意義
2、関税法118条2項にいう「価格」の意義
3、外国為替および外国貿易管理法6条1項6号にいう「非居住者」に当るとした事例
第12章 麻薬(ジアセチルモルヒネ塩酸塩)を覚せい剤であると誤信して輸入した場合の擬律
第13章 あへんの密輸入および所持事犯につき、検察官控訴を認容し、営利目的を積極に解した事例
第14章 個人鑑賞のための単なる所持が目的だとしても、関税定率法所定のわいせつ表現物を輸入する行為につき、関税法109条の禁制品輸入罪が成立するとした事例
第15章 大量の覚せい剤を密輸入した事案につき、覚せい剤運搬の実行犯の最高責任者に対し無期懲役および罰金800万円を、密輸船の船長に対し懲役13年および罰金400万円をそれぞれ科した原判決の量刑を支持し、控訴を棄却した事例