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2020年08月09日
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耐震改修促進法に関する裁判例

耐震改修促進法の正式名称は、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(平成7年法律第123号)です。

目次

第1部 耐震改修促進法の概要

第2部 立退き以外の民事訴訟

第1章 定期建物賃貸借契約終了に基づく明渡請求を認容した事例

第2章 1 耐震壁のモデル化の審査等について,建築確認審査に当たった建築主事の注意義務違反が否定された事例

2 経営指導契約を締結していた経営コンサルタント業者が信義則上の具体的注意義務に違反して不法行為責任を負うとされた事例

第3章 賃貸人が,賃借人に対し,未払賃料および賃借人からの解約申入れによる賃貸借契約の終了に基づく建物明渡しおよび明渡未了の間の賃料相当損害金356万1000円の支払を求め(本訴),被告が,建物が耐震基準を満たしていないとして改修を原告に求めたのにこれを行わなかったため,修繕義務の不履行ないしは目的物の瑕疵を理由に賃貸借契約を解除せざるを得ないこととなり,移転費用を損害として被ったとして移転費用の一部についての損害賠償請求等をした(反訴)事案で,本訴を認容した事例

第4章 東京都世田谷区に所在する本件マンションの買主である原告らが,被告ら(売主および仲介業者ら)に対し,売買契約時に耐震性に問題があり,今後建替え・耐震改修工事による費用負担が生じる状況にありながら,説明義務違反があったとし,債務不履行または不法行為に基づき,大規模修繕工事費用等相当額の損害賠償を求めた事案。

裁判所は,原告らは,本件売買契約当時,重要事項説明書の記載と本件マンションの属性(旧耐震基準下の建築物)の認識から建替え・耐震工事により区分所有者らに工事費用負担の事態が生じ得る可能性があることを認識できたとし,原告らから詳細な説明の求めがない中で,被告らが説明等すべき法的義務があるとはいえず,今後の費用負担を被告らに負わせることはできないとして,いずれの請求も棄却した事例

第3部 立退料をもって正当事由をみたすとした裁判例

第1章 神戸市中央区△△△△アーケード街という繁華街に所在する建物につき、立退料2000万円が支払われることをもって,解約申入れの正当事由が具備されるとした事例

第2章 東京都台東区の上野駅前の建物の所有者である原告が,本件建物の一部を,それぞれ賃借している被告らに対し,主位的に,建物の老朽化による賃貸借契約解約の正当事由が存在するとして,予備的に,正当事由の補完として,被告らに対し,立退料の支払を申し出て,解約による賃貸借終了に基づき,各賃貸部分の明渡を求めるとともに,被告Y1に対し,本件建物中の使用貸借部分の明渡を求めた事案

裁判所は,原告の建物部分明渡請求の必要性が,被告らの使用の必要性を上回るものとは認められないとして,主位的請求を棄却し,正当事由の補完として,被告らに支払うべき立退料の相当額(被告株式会社Y1につき、3億1000万円

被告株式会社Y2につき、1億2500万円)を認定し,その支払と引換えに明渡請求を認容した事例

第3章 原告が,被告に対し,東京都中央区銀座に所在する1棟の建物内の建物部分の賃貸借契約の解約申入れによる終了を主張して,その明渡および約定損害金の支払を求める訴えを提起した後,原告から本件建物を購入した参加人が,この訴訟に参加し,被告に対し,建物部分の明渡および約定損害金の支払を求めた(原告は,建物部分明渡および参加人への所有権移転後の約定損害金請求の訴えを取下)事案

第4章 原告が,東京都中央区東日本橋地区に所在する建物賃貸借契約の借主および連帯保証人に対し,建物の明渡し等を請求した(予備的に,立退き料による正当事由の補完申出)事案について,原告が正当事由の補完として立退料を提供すれば、正当事由が充たされると認めて,認定した立退き料1億2000万円の支払いと引換えに建物明渡しおよび立退き料提供後明渡しまでの使用損害金の支払いを認容し,その余を棄却した事例

第5章 被告は,原告に対し,原告から立退料300万円の支払を受けるのと引換えに,東京都中野区に所在する別紙物件目録記載の建物を明け渡せ。と命じた事案

第6章 耐震性に問題のある賃貸建物(東京都渋谷区恵比寿の恵比寿ガーデンプレイスに所在する)を取り壊し、分譲マンションを建築すること等を理由とする借家契約の解約申入れについて、立退料6000万円の提供を条件とする正当事由が肯定された事例

第7章 建物の耐震性能等に関する関係法規等から耐震性が問題とされた東京都日野市に所在する建物について,耐震改修工事を断念し除却する旨を決定した原告(独立行政法人都市再生機構、UR機構。旧・日本住宅公団)が,本件建物の賃借人である被告らに対し,賃貸借契約終了に基づき,建物の明渡しを求めた事案で,主に原告の更新拒絶に正当事由があるか否かが争われた。裁判所は,耐震改修をしない限り耐震性に問題がある場合に,どのような方法で改修工事を行うべきかは,基本的には賃貸人(原告)が決定すべき事項であり,その結果,耐震改修が経済合理性に反するとの結論に至り,耐震改修を断念したとしても,その判断過程に著しい誤びゅうや裁量の逸脱がなく,また移転先のあっせんや移転費用の補填額,移転先の家賃減額ないし補助等,賃借人らに対する相応の代償措置が取られている限りは,賃貸人の判断が尊重されるとして,建物明渡等を認容した事例

第8章 原告が取得したビル(新宿駅西口前所在ビル)の5区画を被告Y1および被告Y2が前所有者から賃借していたが,原告が賃貸借契約の解約を申し入れ,正当事由を補完するものとして立退料の申出を行い,立退料の支払と引換えに各区画の明渡しなどを求めた事案。

本件の争点は,解約申入れに係る正当事由の有無。

裁判所は,被告らの営業内容に鑑みると,適正な立退料が提供されれば,原告の解約申入れは正当事由を満たすと解されるとして,正当事由を補完するに足りる立退料(被告Y1につき、5120万円、被告Y2につき、180万円)の額を算定し,その支払を受けるのと引き換えに明渡しを認めた事例

第4部 立退きの正当事由をみたさないとした裁判例

第1章 原告が,東京都渋谷区に所在する原告所有の建物の一部を賃借していた被告に対し,賃貸借契約の終了に基づく建物明渡しおよび同契約終了後の賃料相当損害金の支払を求めた事案。裁判所は,(1)原告側は,本件ビルの建て替えの必要性を主張するが,耐震補強工事によって耐震性能を十分に確保できること,(2)そのために必要な費用は本件ビルの賃料収入から十分に賄える程度の額であり,耐震補強工事によることに経済的合理性があること等から,更新拒絶に正当事由はないとし,請求を棄却した。

第2章 東京都中央区銀座に所在する建物賃貸借契約における賃貸人の更新拒絶につき,借地借家法28条の正当事由の有無が争点となった事案。

裁判所は,賃貸人において,本件建物の耐震性不足による建替えの必要性は認められるが,更新拒絶時点で,賃貸借終了後直ちに賃貸目的物の占有を回復して建替えに着手できる程度の具体的な建替計画を有していたとは認められないとして,本件更新拒絶に正当事由は認められないとした事例

第3章 東京都渋谷区表参道に所在する建物につき、被告Y1(建物の賃借人)および同Y2(同転借人)に対し,耐震性能が確保されておらず,取り壊して建替えを行う必要があるとして原告とY1との間の賃貸借契約を解約する旨の申入れをし,借地借家法28条の正当事由があるとして,賃貸借契約の終了に基づき建物の明渡しを求め,予備的に,被告らに対し,立退料の支払を申し出て建物の明渡しを求めた事案。

裁判所は,本件建物が「震度5強で倒壊」のおそれがある建築物に当てはまる可能性があるため,早急に耐震補強等の措置を講ずることが望ましいと判断した耐震診断報告書(CIM報告書)も,早急な取壊しや建替えを求めるものではなく,補強工事を行うことに費用対効果がないということはできず,被告らには本件建物の使用を必要とする合理的な理由があり,賃貸人である原告が被告らに対して相当額の立退料を提示したとしても,本件解約申入れに正当な事由はないとして,請求を棄却した事例

第4章 東京都杉並区に所在する本件ビルを買い受け,賃貸人の地位を承継した原告が,耐震性調査の結果,地震動で倒壊の危険性が明らかになり取り壊すことを理由に賃貸借契約を解約したと主張し,被告に対し,建物部分の明渡し等を求めた事案。

裁判所は,本件ビルは築後50年近く経過し,Is値上は,地震による倒壊の危険性がある建物と言えるが,地震等は将来の予測と可能性の問題で,本件ビルが建築基準法の勧告等の対象になった証拠はなく,本件契約の解除事由には当たらず,同条項に基づく解約はできないとし,請求を棄却した事例

第5部 行政訴訟

第1章 本件は,原告が,その所有する宮城県仙台市に所在する別紙物件目録2記載の建物(以下「本件建物」という。)の平成12年度固定資産課税台帳登録価格が適正な時価を超えるものであるとして,被告が平成13年7月24日付けでした登録価格を5億0405万4305円に修正すべきであるとの決定(以下「本件決定」という。)のうち,価格1億7828万円を超える部分の取消しを求めた事案である。(請求認容)

第2章 本件は,大阪府C市の住民である原告が,同市が平成22年に実施したD小学校E号館(以下「本件校舎」という。)の耐震補強工事(以下「本件工事」という。)は十分な補強をすることができないことがあらかじめ判明していたにもかかわらず行われたものであり,本件工事に係る公金の支出は違法であるなどと主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,本件工事の当時C市長であった補助参加人Aおよび教育長であった補助参加人Bに損害賠償として前記第1記載のとおりの金員の支払請求をすることを被告に対して求める住民訴訟の事案である。

これに対し,被告および被告補助参加人らは,本件訴えは適法な監査請求の前置を欠く不適法な訴えであるとして,これを却下する旨の裁判を求めるとともに,原告の請求をいずれも棄却する旨の裁判を求めた。

 

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