有料老人ホームに関する最高裁・高裁の裁判例を網羅しています。
目次
第1部 民事訴訟事件
第1章 賃借人が契約当事者を実質的に変更したときは賃貸人は違約金を請求することができるなどの定めのある賃貸借契約において,当該賃借人が吸収分割の後は責任を負わないものとする吸収分割により契約当事者の地位を承継させた場合に,当該賃借人が上記吸収分割がされたことを理由に上記定めに基づく違約金債権に係る債務を負わないと主張することが信義則に反し許されないとされた事例
第2章 有料老人ホームの入居者死亡による終身入居金等の返還金の受領権限を有する者
第3章 賃料債権に対する差押命令を受けた後に差押債務者である賃貸人が第3債務者である賃借人に賃貸借建物を売買したために賃貸借契約が終了するに至った場合に、第3債務者において、以後、賃料債権が発生しないことを差押債権者に対して主張することが信義則上許されないなどの特段の事情があると認めることはできないとされた事例
第4章 提訴から10か月近く経過した第5回口頭弁論期日において主張された相殺の抗弁につき、時機に後れた攻撃防御方法であるとして却下した原審の判断が違法であるとされた事例
第2部 消費者契約法
第1章 介護付有料老人ホームの「入居一時金」の初期償却の合意について,入居時の初期償却は,消費者契約法10条により無効にならないとされたが,居室を転居する際に締結した転居契約における入居一時金についての再度の初期償却が消費者契約法10条により無効であるとされた事例
第2章 契約条項を改訂している事業者が将来にわたって改訂前の契約条項を一切使用しないとすべき状況にはないと主張している場合において、第1審が、事業者に改訂前の契約条項を含む意思表示を行うおそれがあるとした上で、消費者契約法10条前段の規定する要件に該当しないとして、適格消費者団体の差止請求を棄却したのに対し、控訴審が、事業者に改訂前の契約条項を含む意思表示を行うおそれがあるとは認められないとして、第1審判決を結論において正当であるとした事例
第3章 原告消費者団体が被告に,被告が入居者との間で一括払方式の入居契約締結の際に前払金を徴収し,その一部を居住期間に関わらず返還しないのは消費者契約法10条により無効であり,当該消費者契約の申込み,承諾の意思表示を行う等の行為の差止め等を求め,これを棄却した原審の判断に対する控訴事案
第3部 介護事故
第1章 介護施設利用者が食事中の誤嚥で死亡した事故
第2章 白玉団子事件
第4部 名誉毀損
第1章 老人ホームの寮母の横領・暴力に関する新聞及び雑誌の記事について名誉毀損の成立を認めた事例
第2章 控訴人が発行する新聞記事につき,記事の対象となった社会福祉法人の代表者であった被控訴人及び同人が代表者を務める1審原告会社が,控訴人新聞社及び記事を執筆した控訴人記者らに対し,名誉毀損を理由に賠償請求等をし,原審が被控訴人の賠償請求の一部を認容したのに対し,控訴人らが控訴,被控訴人が敗訴部分につき付帯控訴をした事案
第5部 特別縁故者としての相続財産分与の申立てが却下された事例
第6部 遺言の有効・無効
第1章 亡Aの子である控訴人Xが,同じく子である被控訴人Y1,Y2,Y3に対し,亡Aの遺言書はY2が偽造したとし,遺言無効確認,Y2が相続権を有しないことの確認を求め,原審が,本件遺言書につき亡Aの自筆及びY2の偽造を否定して無効確認請求を認容し,Y2の相続権不存在確認請求を棄却したのに対し,控訴人がY2の相続権不存在確認請求の棄却を不服として控訴した事案
第2章 固有必要的共同訴訟において合一確定の要請に反する判決がされた場合と不利益変更禁止の原則
第3章 遺言無効確認訴訟における遺言者の遺言意思能力の有無について,診療記録,介護記録等を精査して遺言者の精神状態及び日常生活の状況を詳細に認定して,極めて単純な本件遺言の内容について遺言意思無能力を認めることができないとして,これを認めた原判決を取り消して請求を棄却した事例
第7部 破産事件
第1章 時価7億円以上の未完成不動産(建築中の大型老人ホーム)を有していても、即時換金が困難であるとして支払不能を肯認した事例
第8部 知的財産権訴訟
第1章 原告が,被告の有する本件商標に係る商標登録の無効審判請求を不成立とする審判の取消しを求めた事案。
第9部 行政事件訴訟
第1章 1、消防法11条1項に基づく火力発電所石油移送取扱所(パイプライン)設置許可処分につき、第3者である周辺住民も一定の条件を充足するときは取消訴訟を提起することができるとされた事例
2、右取消訴訟の原告適格は、危険物の規制に関する規則に基づき制定された危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示32条14号の25メートル以内に住居を有する住民については、当然認められるが、右以外の住民については、右処分に瑕疵があった場合に想定される事故によって、生命、身体、財産に被害を受ける蓋然性につき具体的に立証しなければ認められないとされた事例
第10部 課税処分取消訴訟
第1章 処分行政庁が,有料老人ホームを運営する控訴人(1審原告)に対し,控訴人の確定申告(平成15年度ないし17年度)には,入居一時金の税務処理に誤りがあり,所得金額が過少に又は欠損金額が過大に申告されているとして,各事業年度の法人税の更正処分及び16年,17年度の過少申告加算税の各賦課決定処分をしたところ,控訴人が,税務処理には誤りがなく,上記各処分には処分行政庁の税務処理の誤り及び理由付記の不備の違法があると主張したが,原判決は,請求を棄却し,控訴裁判所も,控訴人の請求には理由がないとして,控訴を棄却した事例
第2章 被相続人の相続人である控訴人らが,被相続人の相続の開始に係る各相続税について受けた各相続税の各更正処分等の取消しを求めた事案の控訴審。
第3章 被控訴人(1審原告)所有の本件各土地のうち駐車場として使用する部分につき,地方税法に規定する固定資産税等の課税標準の特例の適用を受ける住宅用地に該当しないとして同税の賦課決定を受けた被控訴人が,本件各処分の一部取消しを求め,原審が請求を認容したのに対し,課税した東京都(1審被告・控訴人)が控訴した事案
第11部 刑事事件
第1章 住宅型有料老人ホームで介護士として稼働していた被告人が,大型商業施設において,不正に窃取した同ホーム入所者管理のクレジットカードを呈示して商品の購入方を申し込み,同カード名義人の氏名を冒書して偽造したクレジットカード売上票を行使して商品を詐取した窃盗,有印私文書偽造,同行使,詐欺の事案