ピッキング防止法に関する裁判例を網羅しています。
ピッキング防止法は、特別刑法の1つです。
ピッキング防止法の正式名称は、
特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律
(平成15年6月4日法律第65号)です。
同法は、特定侵入行為の防止対策を推進することにより、建物に侵入して行われる犯罪の防止に資することを目的として、業務その他正当な理由による場合を除き、ピッキング用具を所持・携帯を禁止することを規定しています。
特殊開錠用具所持禁止法、ピッキング防止法などと通称されています。
目次
第1章 1 特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律4条の「業務その他正当な理由による場合」の意義
2 指定侵入工具を隠匿携帯した事例について、「業務その他正当な理由による場合」でないと判断した原判決に誤りはないとされた事例
第2章 指定侵入工具をホテルの駐車場に駐車中の自動車内に隠匿保管している者につき,その者が当該自動車に乗車していなくても,特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律4条が規定する「携帯」にあたるとされた事例
第3章 ホームレス生活をしていた被告人が,指定侵入工具であるバール1丁を携帯していた場合につき,「業務その他正当な理由による場合」に該当しないと認めるには合理的な疑いがある,として無罪とした原判決を破棄し,「業務その他正当な理由による場合」でないことは明らかであるとして有罪とした事例
第4章 ピッキング防止法4条違反が成立するためには,犯人に侵入目的があるか,その疑いが濃厚な場合に限るとの主張(バールを護身用に隠匿携帯したとの被告人の弁解を前提として)を排斥した事例
第5章 原審弁護人が別件(ピッキング防止法違反)による現行犯人逮捕の違法性を強く主張し,その後の身柄拘束下において採取され被告人の犯人性を裏付ける被告人の口腔内細胞に関するDNA鑑定の結果等を含めて違法収集証拠であるとして証拠能力を争っている状況においては,現行犯人逮捕の適法性が,本件の住居侵入,窃盗被告事件の訴訟の帰趨に直接影響を与える重要な争点の1つであって,当事者に攻撃,防御を十分尽くさせるべきであるのに,現行犯人逮捕手続書や現行犯人逮捕に至るまでの状況を目撃した者の供述調書を不同意のまま採用することをもって事足りるとし,原審弁護人からの現行犯人逮捕に関与した警察官等の証人尋問請求をすべて却下した原審には,証拠採用に関する合理的な裁量の範囲を逸脱した審理不尽の違法があるとされた事例
第6章 第1審裁判所が被告人の主張に反する弁護活動を放置したことが,被告人の防御権および実質的な意味での弁護人選任権を侵害するものであるとして,控訴審において第1審判決を破棄した上自判した事例
第7章 警察官がマンション内のゴミステーションに捨てられたごみ袋の任意提出を受けて領置し,これを開封してその内容物を確認するなどした捜査手続が適法とされた事例