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新着情報
2020年10月12日
『放送法に関する裁判例』をアマゾンで出版しました。

放送法に関する最高裁・高裁の裁判例を網羅しています。

放送法(昭和25年法律第132号)は、日本放送協会・放送・放送事業者について定めた法律です。所管官庁は、総務省です。

目次

第1部 人格権、名誉権、プライバシー権の侵害

第1章  1、氏名を正確に呼称される利益の性質

2、NHKがテレビ放送のニュース番組において在日韓国人の氏名を日本語読みによって呼称した行為が違法ではないとされた事例

(氏名人格権訴訟)

第2章 放送事業者がした真実でない事項の放送により権利の侵害を受けた本人等が放送法4条1項の規定に基づく訂正または取消しの放送を求める私法上の権利の有無

第3章  1 放送事業者等から放送番組のための取材を受けた者において,取材担当者の言動等によって当該取材で得られた素材が一定の内容,方法により放送に使用されるものと期待し,信頼したことが,法的保護の対象となるか

2 放送番組を放送した放送事業者および同番組の制作,取材に関与した業者が取材を受けた者の期待,信頼を侵害したことを理由とする不法行為責任を負わないとされた事例

第4章  台湾統治中の日本がXの父親を含む台湾の1民族の暮らしぶりを博覧会で見せ物として展示したという内容を含むテレビ番組が,Xの名誉を毀損するものではないとされた事例

第5章  選挙に関する報道テレビ番組において、有力候補者の選挙活動のみを放送したとしても、公職選挙法や放送法に違反しないとされた事例

第6章  「原発バイバイ」のテロップを含むテレビスポットコマーシャル放映契約の解除が公序良俗に反しないとされた事例

第7章  1 放送法(平成7年5月改正前)5条所定の放送内容確認の主体(同法4条1項の訂正または取消しの放送の関係者)には、時事に関する放送については、訂正・取消しの放送またはその請求が行われる前の段階において、一応の合理的な理由に基づいて、真実でない事項が放送されて、それによる自己の権利侵害を危惧し、その有無を確認する必要を有している者も含まれる

2 放送法4条1項の訂正または取消しの放送の関係者は、同法5条に基づき、放送事業者に対し、当該放送内容の確認(閲覧)請求権を有し、放送事業者は、右関係者から請求があった場合は、これに応ずべき義務がある

第2部 日本放送協会の受信料債権

第1章  日本放送協会の放送の受信についての契約に基づく受信料債権の消滅時効期間

第2章  1 放送法64条1項の意義

2 放送法64条1項の合憲性

3 日本放送協会の放送の受信についての契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により同契約が成立した場合に発生する受信料債権の範囲

4 日本放送協会の放送の受信についての契約に基づき発生する,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権の消滅時効の起算点

第3章  日本放送協会の放送の受信についての契約に基づく受信料債権と民法168条1項前段の適用の有無

第4章  1 NHKの放送受信料請求訴訟の控訴審において,控訴人らは,契約と支払いを強制されることは,思想良心の自由などを保障した憲法に違反すると主張したが,契約義務を定めた放送法には合理性があるとして退けた上で,請求を認容した原判決を相当として控訴を棄却し,被控訴人の附帯控訴に基づく,拡張請求を認容した事例

2 受信者の妻による夫名義の放送受信契約の締結について,民法761条規定の日常家事債務に該当するとした事例

第5章  受信者の妻による夫名義の放送受信契約の締結が民法761条の日常家事行為に含まれるとした事例

第6章  日本放送協会(NHK)の放送受信料債権を巡り、改正前の放送法の下でもケーブルテレビ加入者に受信契約の締結義務があるとされ、同債権について、民法169条により5年の短期消滅時効が認められた事例

第7章  NHKがテレビジョン受信機を設置した者に対し受信契約締結の申込みをしたときは,特段の事情のない限り,申込みから2週間を経過したときに受信契約が成立するとした事例

第8章  控訴人(1審原告)である日本放送協会(NHK)による受信契約の申込みにつき契約締結を拒否する受信機設置者に対し,同申込みの意思表示(形成権の行使)から相当期間経過後に受信契約成立の法律効果が生じたと主張する控訴人の受信料請求に係る主位的請求を棄却し,同申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決を求める予備的請求を認容した原判決部分を相当として控訴を棄却し,受信料請求に係る予備的請求について受信機設置の後に受信規約が改定されて減額された受信料額による請求を認容してその余の請求を棄却した原判決部分を取り消し,改定前の受信規約の定めに応じた受信料額を更に支払うことを命じた事例

第9章  1 テレビジョン放送の受信設備設置者の承諾なしにNHKの申込みのみによって放送受信契約が成立するとはいえないとした事例

2 NHKは、放送法64条1項に基づき、テレビジョン放送の受信設備設置者に対して放送受信契約締結の承諾の意思表示をすることを求めることができ、当該契約は、当該意思表示を命ずる判決の確定により、受信機の設置の日に遡って成立するとした事例

3 テレビジョン放送の受信設備設置者は、放送受信料の支払を求める訴訟の口頭弁論終結前に受信機を撤去した場合には、NHKに対し、その設置から撤去までの期間の放送受信料に相当する金員を不当利得として返還する義務を負うとした事例

第10章 被控訴人が,不動産会社賃貸の家具家電付き賃貸物件(本件物件)に入居し,控訴人との間で放送の受信契約(本件受信契約)を締結して受信料を支払ったものの,「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」(放送法64条1項)に当たらず,本件契約は公序に反して無効であるとして,控訴人に対し,不当利得返還請求権に基づき,1か月分の受信料等の支払を求めた事案。被控訴人請求を認容した原審判断を不服として控訴した。

第11章 ア 控訴人は,被控訴人との間で,ワンセグ放送(地上デジタル放送の各チャンネルの13セグメントに分割されている放送用帯域のうち,1セグメントを利用して行われる移動体機器向けの放送をいう。)対応の携帯電話機(本件携帯電話機)につき放送受信契約を締結した者である。

   イ 被控訴人は,放送法の規定によって設立された法人である。

  (2) 放送受信契約の締結および解約

   ア 放送受信契約の締結

     控訴人は,平成28年7月14日,被控訴人との間で,ワンセグ放送対応の本件携帯電話機について,受信契約の種別を地上契約とする放送受信契約(本件受信契約)を締結した。

   イ 放送受信契約の解約

     控訴人は,平成28年8月1日付けで,被控訴人に対し,放送受信契約解約届を提出し,本件受信契約を解約した。

  (3) 受信料の支払

    控訴人は,平成28年8月28日,被控訴人に対し,本件受信契約に基づき,受信料1310円を支払った。

  (4) 放送法64条1項

    放送法64条1項本文(本件規定本文)は,「協会(被控訴人のこと)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は,協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」と規定する。また,同項ただし書は,「ただし,放送の受信を目的としない受信設備またはラジオ放送・・・もしくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については,この限りでない。」と規定する(以下「本件規定ただし書」といい,本件規定本文と併せて「本件規定」という。)。

  (5) 本件請求の内容,原審の判断および本件控訴

    本件は,控訴人が,ワンセグ放送対応の携帯電話機を携帯する者には被控訴人と放送受信契約を締結すべき義務がないのに,被控訴人の業務委託先の担当者から,ワンセグ放送対応の本件携帯電話機を携帯する控訴人には放送受信契約を締結すべき義務があるという説明を受け,同義務があるものと誤信した結果,本件受信契約を締結したから,本件受信契約の締結に係る控訴人の意思表示は錯誤により無効であり,本件受信契約に基づいて支払った受信料1310円につき,被控訴人は悪意の受益者であると主張して,被控訴人に対し、不当利得返還請求権に基づき,利得金1310円およびこれに対する受信料支払日の翌日である平成28年8月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による民法704条前段の利息の支払を求めている事案である。

第12章 本件は,控訴人(原告)が被控訴人(被告)との間で,ワンセグ機能付き携帯電話について放送受信契約(受信契約)を締結し(本件契約),受信料を支払ったところ,控訴人は,本来,受信契約の締結義務がないにもかかわらず本件契約を締結したのであり,①放送法64条1項は強行法規であり,本件契約は同条に違反するから民法90条により無効である,または,②錯誤により本件契約は無効であると主張して,被控訴人に対し,不当利得返還請求権に基づき,支払った受信料の残金7375円の支払を求めるとともに,被控訴人は悪意の受益者であると主張して,民法704条に基づき,上記受信料残金に対する受信料を支払った日である平成28年2月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による利息の支払を求めた事案である。

第13章  (1) 被控訴人は,控訴人の放送を含めたワンセグ放送を受信できる携帯電話を所有しているが,控訴人の放送を受信できるテレビジョン受信機を設置した者(放送法64条1項)には当たらないとして,日本放送協会放送受信規約(現行受信規約)を内容とする受信契約締結の手続をせず,受信料を支払っていない。

    なお,被控訴人は,当審係属中に携帯電話の機種を変更し,新たに「GalaxyS8+」を所有・所持している(この変更後の携帯電話を,以下「本件携帯電話2」といい,後記第2・2および第3・1で原判決を引用する場合に原判決中の「本件携帯電話」をいずれも「本件携帯電話2」と読み替える。)。

  (2) 本件は,被控訴人が,被控訴人は,本件携帯電話2を一定の場所に設置せず,それを携帯しているにすぎないから,放送法64条1項所定の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に該当せず,また,仮に前項所定の者に該当するとしても,被控訴人は本件携帯電話2を控訴人の放送を視聴する目的で所有していないから,本件携帯電話2は同項ただし書の「放送の受信を目的としない受信設備」に該当すると主張し,控訴人に対し,控訴人との間で放送受信契約(受信契約)を締結する義務(放送受信契約締結義務)が存しないことの確認を求める事案である。

第3部 行政訴訟

第1章  総務大臣がNHKに対してした放送命令および放送要請は,憲法21条に違反し,知る権利を侵害したなどと主張して,被控訴人国に対し,国家賠償法に基づき,また,被控訴人NHKに対し,不法行為または受信契約上の債務不履行に基づき,精神的損害の賠償を求めた事案について,放送命令および放送要請後のNHKの放送の実情等に鑑みれば,損害賠償の対象となる法的侵害があったものとまではいえない等として,請求をいずれも棄却した原判決を相当とした事例

 

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