大規模小売店舗立地法に関する裁判例を網羅しています。
従前、大規模小売店舗法は、店舗面積500平方m以上の大規模小売店舗の出店に伴い、周辺の中小小売業者の事業活動の機会を保護することを目的に、出店規模や営業時間・日数等について調整する法律でした。略称は大店法。1973年施行。1994年5月に出店調整に関する規制緩和措置がとられましたが、一部で大型店の保護にもつながるなど批判が大きく、2000年5月に廃止されました。
2000年6月より地域社会との融和促進を目的とした「大規模小売店舗立地法」(だいきぼこうりてんぽりっちほう)(平成10年法律91号)が施行されています。
同法は、大規模小売店舗の出店によって,周辺地域の交通混雑やごみ問題など生活環境に及ぼす影響を抑え,小売業の健全な発展をはかる法律です。
1998年6月成立。
同法は、行政法、事業法、産業法、不動産法の1つです。
中心市街地活性化法,改正都市計画法とともに、「まちづくり関連3法」として公布されました。
大規模小売店舗立地法 (大店立地法) の施行に伴い,大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律 (大規模小売店舗法) は廃止されました。
店舗面積1000m2をこえる大型店舗の出店は,従来国が規制していましたが,大店立地法の施行により,都道府県や政令指定都市などの自治体が調整権限をもつことになりました。
これまでの大規模小売店舗法が中小小売業の保護を目的とし,大規模店舗の立地を規制していたのに対し,大店立地法は生活環境保持の観点から地域の実情を自治体が考慮して出店を調整することに主眼がおかれます。
目次
第1章 第1種低層住居専用地域と近隣商業地域にまたがって存する一団の土地のうち、第1種低層住居専用地域に属する分部の土地の一部を分筆し、近隣商業地域に属する部分が過半を占める結果となるようにした上で、分筆後の土地上に、第1種低層住居専用地域においては建築が禁止されている大規模店舗を建築しても、周辺住民の権利、利益を侵害し、違法ということはできない
第2章 基本賃料と歩合賃料とから構成される百貨店の店舗用建物および駐車場建物の賃料のうち基本賃料に係る減額賃料の確認請求を一部認容した第1審判決が取り消され、賃借人の請求が全部棄却された事例
第3章 本件は,原告が,被告株式会社Y1(以下「被告Y1」という。)に対しては千葉県成田市所在の建物の賃貸借契約に基づき,被告Y2(以下「被告Y2」という。)および被告株式会社Y3(以下「被告Y3」という。)に対しては連帯保証契約に基づき,未払賃料および遅延損害金の支払を請求する事案である。
原告は,百貨小売業等を目的とする会社,被告Y1は,輸入医薬品販売業等を目的とする会社,被告Y3は,不動産賃貸業等を目的とする会社,被告Y2は,被告Y1の代表取締役である。
第4章 建築予定の店舗等の賃貸借の予約について、貸主である店舗の所有者が第3者に賃貸したことにより、履行不能となったとして、貸主の債務不履行責任が認められた事例
第5章 本件は,原告(X1株式会社〔以下「X1」という〕を承継)が,被告に対し,X1が平成10年3月20日に被告との間に締結した仮称Aショッピングセンター(以下「本件施設」という)のテナント斡旋および開発企画・調査の業務委託契約(以下「1契約」という)が契約上の事由該当により白紙撤回されたことに基づき,被告に対し,既に交付済みの業務報酬の返還を求めた事案である。
第6章 1 基準年度の再建築費評点数が前基準年度における再建築費評点数を基礎として算定される場合,前基準年度に至るまでの再建築費評点数の算出は,各年度における固定資産評価基準に適合するものであったと事実上推定されるとされた事例
2 固定資産評価基準に従って決定された家屋の価格が適正な時価と認められた事例
第7章 パチンコ店の出店を計画していた業者(上告人)が,妨害目的で出店予定地近くに児童遊園を設置されたとして,地元業者らに損害賠償を求めた上告審
第8章 青森市が郊外型大規模施設の建設を規制する条例を制定したため,土地の売却代が安くなったとして,味噌醸造会社の市に対する損害賠償請求訴訟において,条例は,今回の商業施設の建設計画とは関係なく制定されたもので,規制は違法とはいえないとして,請求を棄却した事例
第9章 1 公有地に係る土地信託契約において、受益者に対する費用補償請求権を定めた旧信託法(平成18年法律第109号による改正前のもの)36条2項本文の適用を排除する旨の合意が成立していたとは認められないとされた事例
2 公有地信託の受託者である信託銀行について、大阪市に対する事業計画の提案、遂行、報告・説明等の義務を怠ったものとは認められないとされた事例
3 信託銀行が提出した提案計画が大阪市交通局により最優秀提案に選定された時点で、①信託事業の結果として地方公共団体に借入金債務等の負担を及ぼさない旨の合意、および、②同計画に基づいた一定の経済的利益が地方公共団体に与えられる旨の合意を含む基本契約が成立したとは認められないとされた事例
第10章 駐車場法および札幌市の条例では,一定以上の規模の建築物を新築しようとする場合,当該建築物の敷地に駐車施設を附置しなければならないとされているところ,札幌市の条例では,例外的に市長がやむを得ないと認める場合には当該建築物の敷地外に駐車施設を設置することを認めている。