犯罪被害者等基本法に関する裁判例を網羅しています。
同法は、刑事政策の1つです。
犯罪被害者等基本法(平成16年12月8日法律第161号)は、犯罪被害者等のための施策に関し、基本理念を定め、ならびに国、地方公共団体および国民の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等のための施策の基本となる事項を定めること等により、犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もって犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的とする(1条)。
2004年(平成16年)に成立。
犯罪被害者等(被害者ならびにその家族と遺族、2条2項)が、その受けた被害を回復し、または軽減し、再び平穏な生活を営むことができるよう支援し、および犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続に適切に関与することができるようにするための施策(犯罪被害者等のための施策、2条3項)をとることを国および地方公共団体の責務として規定し(4条、5条)、また、犯罪被害者等の名誉または生活の平穏を害することのないよう十分配慮するとともに、国および地方公共団体が実施する犯罪被害者等のための施策に協力するよう努めなければならないことを国民の努めなければならない責務として規定しています(6条)。
目次
第1章 1 被告人の着席位置および弁護人の補助者に関する訴訟手続の法令違反の主張が排斥された事例
2 強制わいせつの被害者の氏名を起訴状朗読から判決宣告まで伏せ続けるようにした裁判所の措置が適法とされた事例
第2章 捜査機関,検察官が適正な捜査,公訴提起をしなかったことなどを理由とする犯罪被害者の遺族からの国家賠償請求が認められなかった事例
第3章 1 犯罪被害者およびその親族または遺族にとって個人の尊厳が尊重され,その尊厳にふさわしい処遇を保障されることは法律上保護に値する利益であり,私人との関係でこのような法律上保護に値する利益が侵害されたと評価できる場合には,民法上の不法行為が成立し得るとした事例
2 加害者の両親である被告らが,刑事裁判の際に被害者の遺族である原告らに対し謝罪の申入れをしたり,謝罪や被害弁償をしたい旨を情状証人として証言したが,刑事裁判の確定後に謝罪や被害弁償等の行動をとらなかったことについて,被告らには,原告らの被害者遺族としての尊厳を踏みにじらないよう配慮すべき法的義務があるとまではいえないとした事例
第4章 検察官が被害者等通知制度に基づき被害者およびその母親に公判期日を通知しなかったことが国家賠償法上違法であると判断され同法に基づく請求が認められた事例