振込指定に関する最高裁・高裁の裁判例を網羅しています。
振込指定(ふりこみしてい)とは、民法に規定がない、非典型担保の一つです。
振込指定は、民法、担保法、債権回収法、金融法の論点の1つです。
銀行などの金融機関が債務者に融資する際に、債務者が第三債務者に対して持っている債権の弁済について、第三債務者が債務者の融資元である金融機関の債務者の口座への振り込みを指定し、融資元である金融機関が融資債権と預金債権を相殺することで回収するという担保の方法です。
目次
第1章 1 債権者代位訴訟の原告である債権者が被告である第3債務者の提出した抗弁に対し自己独自の事情に基づく再抗弁を提出することの可否
2 主位的請求を棄却し予備的請求を認容した控訴審判決に対し第1審被告のみが上告した場合と上告審の調査・判断の範囲
第2章 振込指定の合意に基づく銀行への振込義務が否定された事例
第3章 債権者、債務者および第3債務者間において、第3債務者の債務者に対する支払いは債務者指定の口座に振り込む旨の合意が成立したにかかわらず、第3者債務者が債務者に直接支払ったため、債権者の債務者に対する債権が満足を受けられなくなった場合において、第3者債務者が右合意のさい、債権者債務者間の債権担保目的利用関係を知っていたなど判示事情があるときには、第3債務者は、債権者に対し過失による不法行為責任を負うとした事例
第4章 1、信用金庫の商人性
2、信用金庫取引約定書4条4項の趣旨
3、破産債権者が支払停止または破産申立前にされた取立委任に基づき支払停止または破産申立のあったことを知ってした手形の取立と破産法104条2号但書
第5章 信託契約の委託者兼受益者である会社が解散した場合、受託者である信託銀行は、信託契約を解除した上、信託財産につき留置権を行使し、信託財産を換価するなどして、委託者兼受益者に対する貸金債権に弁済充当等することができる
第6章 第3債務者が、仮差押命令の送達を受けた時点で、仮差押えの対象となった債権の弁済のために取引銀行に対し先日付振込みの依頼をしていた場合において,上記送達後にされた振込みによる弁済を仮差押債権者に対抗することの可否
第7章 再生債務者が支払の停止の前に再生債権者から購入した投資信託受益権に係る再生債権者の再生債務者に対する解約金の支払債務の負担が,民事再生法93条2項2号にいう「前に生じた原因」に基づく場合に当たらず,上記支払債務に係る債権を受働債権とする相殺が許されないとされた事例
第8章 破産申立前の指定振込の約定に基づいて破産申立後に破産者の預金口座への振込により生じた銀行の預金債務の負担が、破産法104条2号但書にいう「前ニ生ジタル原因」に基づく債務の負担にあたるとされた事例
第9章 厚生年金受給権について貸金担保のために振込指定契約を締結した場合の普通預金不解約特約の効力
第10章 複数の車両を所有権留保付で売り渡した場合、買主が代金の支払を怠ったため約定に従って契約を解除、査定して残代金に充当した結果売主が負担した剰余金債務が破産法104場2号但書所定の前に生じた原因によるものとして他の車両の残代金債権(損害賠償債権)と相殺することは許されるか
第11章 甲社株売買は、納税者自身が、取引の当事者として、いったん放出5社から買い受けて、これを譲受人に売却したものと解するのが相当であるとして、甲社株の売買は、放出5社と譲受人との間で直接売買されたものであるとの納税者の主張が、排斥された事例
東京高等裁判所判決/平成15年(行コ)第5号
第12章 債務者の売掛金の集合債権に譲渡担保を設定した金融機関に、右売掛金の譲渡禁止特約の存在を知らなかったことに重過失があるとして、その効力が否定された事例