保健師助産師看護師法に関する主な裁判例を網羅しています。
保健師助産師看護師法
(昭和23年7月30日法律第203号)は、保健師・助産師・看護師の資質を向上し、もって医療および公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする法律です(同法1条)。
通称は、保助看法(ほじょかんぽう)。
目次
第1部 民事訴訟
第1章 1 メトロイリーゼによる分娩誘発措置継続中の妊婦につき、当直准看護師に、分娩監視装置による胎児心拍数陣痛図上の異常所見を見落とし、医師への適時の連絡を怠った過失があると認められた事例
2 上記過失と結果(出生後の児の死亡)との間の相当因果関係を認めることができず、結局回避の相当程度の可能性のみが認められた事例
第2章 被告との間の身体障害者居宅介護契約に基づき,被告から居宅介護サービスの提供を受けていた原告が,被告が一方的に契約を解除し,居宅介護サービスの提供の打ち切りをしたとして,損害賠償を求めた事案
第3章 当直の看護師らが抑制具であるミトンを用いて入院中の患者の両上肢をベッドに拘束した行為が,診療契約上の義務に違反せず,不法行為法上違法ともいえないとされた事例
第4章 原告の娘は,被告が管理する病院に入院していたが,同病院の看護師であったA子が夫であるB夫に,原告の娘の病状等を漏洩し,B夫が原告にそのことを原告に告知したことにより,原告は,秘密が漏洩されたことを知り,精神的苦痛を受けたとして,被告に対し慰謝料の支払を求めた。
第5章 訴外A病院の救命救急病棟に入院していた原告の母Bが,病室のベッドから転落し骨折および頭部外傷の傷害を負ったのは,看護師Cの過失によるとして,被告Y1(A病院看護部長)に対する民法715条2項または同法709条に基づく損害賠償(甲事件)を求め,A病院を設置運営する被告機構に対し,民法715条1項,同717条1項,または債務不履行に基づく損害賠償(乙事件)を求めた事案。
第6章 刑務所で作業中に足を骨折し,適切な治療が受けられずに障害が残ったとして,元受刑者Xが国に損害賠償を求めた事案
第2部 労働事件
第1章 東京国税局診療所に勤務する者(保健師看護師)が,所属の職員から様々な違法行為を受け,人格権および名誉権を侵害されたとする国家賠償法に基づく慰謝料請求を認めなかった事例
第2章 看護助手が抑制作業に従事していた際に受傷した労災事故に関して、看護助手に抑制作業の補助をさせた点につき、使用者・病院に、安全配慮義務違反が認められた事例
第3章 離職に至る経緯および院長の発言内容に照らし,「看護部を解散する」との言は,業務命令に従わない控訴人兼被控訴人Xらを排する旨を告げたものであって,解雇の意思表示に当たり,解雇処分後に給与減額処分はなしえないから,解雇処分後におけるXらの離職を職務放棄とみることはできないとして,給与減額には根拠がないとした一審判断が維持された例
第3部 知的財産
第1章 「Advanced Midwife アドバンス助産師」の商標につき,原告の登録出願(一部補正)の拒絶査定不服審判請求を「不成立」とした審決の取消訴訟
第4部 行政訴訟
第1章 介護保険法に基づく指定居宅サービス事業者の指定等および生活保護法に基づく指定介護機関の指定(以下,本件各指定)を受けていた控訴人が,被控訴人に対し,処分行政庁のした本件各指定を取消す旨の処分(以下,本件各処分)は,法令の適用を誤り・裁量権の範囲を逸脱・濫用したもので違法であるとして,本件各処分の取消および国賠法1条1項による損害(一部請求)等を求めたところ,原審は控訴人のいずれの請求も棄却したため,控訴人が控訴した事案である。
第2章 本件は,保健師助産師看護師法(以下「法」という。)に基づく助産師免許および看護師免許を有してこれらの業務に従事していた原告が,厚生労働大臣(処分行政庁)から,①業務上過失致死の罪により罰金50万円の刑に処せられたこと(法9条1号),②上記各業務に関し不正の行為があったこと(同条2号),③助産師および看護師としての品位を損するような行為があったこと(法14条1項柱書き)を理由として,同項3号に基づき,助産師免許および看護師免許の取消処分(以下「本件処分」という。)を受けたことから,被告を相手に,本件処分の取消しを求める事案である。
第5部 課税処分取消請求訴訟
第1章 1 知的障害児施設についての児童福祉施設負担金が所得税法73条の医療費控除の対象とならないとされた事例
2 児童福祉施設負担金が医療費控除の対象とされた従前の確定申告における取扱いを変更してされた確定申告の更正処分等が信義則に反するとはいえないとされた事例
第2章 所得税の控除の対象となる医療費の範囲として,「部屋代,食事代」は,「医師等による診療等を受けるため」のものであることを必要とするが,本件施設において医療行為が行われていたとは認められない以上,本件負担金は,「部屋代,食事代」には該当しないとした事例
第3章 所得税法施行令207条5号(医療費の範囲)にいう「療養上の世話」の解釈
第4章 本件は、控訴人が、身体障害者および要介護状態の認定を受けた妻(乙)の通所介護等の費用を、所得税法73条の医療費控除の対象に含めて、平成16年分の所得税の確定申告をしたところ、倉吉税務署長が上記費用を医療費控除の対象と認めないで更正処分(本件更正処分)を行ったため、本件更正処分は違法であると主張して、その取消しを求める事案である。
第5章 本件は、原告が、原告と生計を一にする配偶者の不妊症の治療のために医師の指導に基づき購入したサプリメントの購入費用を、所得税法73条1項所定の医療費控除の対象となる医療費に含めて、原告の平成21年分から平成23年分まで(以下「本件各係争年分」という。)の所得税の確定申告書および修正申告書を提出したところ、千葉南税務署長から、上記サプリメントの購入費用は医療費控除の対象となる医療費に含まれないとして、原告の本件各係争年分の所得税の各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)および過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)を受けたことから、本件各更正処分および本件各賦課決定処分(以下「本件各更正処分等」という。)の取消しを求める事案である。
第6章 助産施設として利用されていた建物の譲渡は、消費税法上、課税資産の譲渡等に当たるとした事例
第6部 刑事事件
第1章 1 体表誘導による心電図検査は,健康診断のために行われる場合であっても,保健師助産師看護師法5条にいう「診療の補助」に当たる。
2 医師が看護師又は准看護師でない者に対し体表誘導による心電図検査を業として行わせた行為につき保健師助産師看護師法43条1項1号の罪(同法31条1項および32条違反)が成立するとされた事例
第2章 長野県安曇野市所在の特別養護老人ホーム利用者・ドーナツ窒息死・業務上過失致死被告事件(准看護師) 被告人は無罪。