日照権とは、建築物の日当たりを確保する権利です。近隣に、マンションなど高層の建築物が立てられ、日当たりが阻害されることが予想される場合に、差止訴訟・仮処分申請や損害賠償訴訟を起こす根拠となります。
日照権に関する最高裁・高裁の主な裁判例を網羅しています。
日照権は、民法、不法行為、民事法、環境法の1つです。
目次
第1部 最高裁判例
第1章 隣接居宅の日照・通風を妨害する建物につき不法行為の成立が認められた事例
第2章 ある行為が良好な景観の恵沢を享受する利益に対する違法な侵害に当たるといえるためには,少なくとも,その侵害行為が,刑罰法規や行政法規の規制に違反するものであったり,公序良俗違反や権利の濫用に該当するものであるなど,侵害行為の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くことが求められる。
注、この最高裁判例は、国立市のマンション建設にかかる事案ですが、景観利益・景観権に関する裁判例です。
第2部 高裁判例
第1章 建築請負人に対する日照権妨害による損害賠償請求が排斥された事例
第2章 日照権侵害に基づく建築差止の仮処分申請が却下された事例
第3章 日照妨害を理由として5階建マンションの4階以上の工事禁止の仮処分申請が抗告審で認容された事例
第4章 日照阻害を理由として8階建店舗付共同住宅のうち4階以上の工事禁止の仮処分申請を却下した第1審判決とこれを支持した控訴審判決
第5章 日照権侵害を理由として5階建ビルを境界線より11.86米の距離を保つように移築することを求める仮処分申請が拒けられた事例
第6章 高層住宅の建設により生活上の不利益を受ける付近住民が行った右建設に反対する示威行動などが不法行為を構成しないとされた事例
第7章 1、境界線から1米未満の位置に設置された屎尿浄化槽と民法237条の適用の有無(消極)
2、建物(共同住宅)の建築により生じた日照・通風の阻害が隣地居住者の受忍限度を越えるものでなくてもその他の事情と相俟って隣地居住者の生活上の利益を侵害するものとされた事例
3、日照・通風の阻害についての違法性の判断基準
第8章 1、9階建マンションの7階以上の部分についての建築妨害禁止仮処分申請が隣地居住者の天空光享受利益等を考慮して棄却された事例
2、右判断にあたり建築確認時以後に施行された土地利用に関する行政法規の内容を考慮に入れることの当否
第9章 高層住宅の建築に対する反対運動において、建築を続行するならば建築禁止の仮処分を申請する旨述べたことが不法行為に該当しないものとされた事例
第10章 ビル6階居住者からする日照権の侵害を理由とする建築工事禁止等の仮処分申請が却下された事例
第11章 日照阻害が受忍限度の範囲内にあるとして建築差止請求が棄却された事例
第12章 隣家に3階建の家を建てたため生じた日照権妨害に基づく慰謝料請求事件において、建物完成後3年を経過しても、不法行為は加害建物が存続する限り継続するもので建物完成とともに不法行為は終了するものでないとされた事例
第13章 副都心地区に近い住居地域における日照妨害を理由とする3階建建物の一部撤去の請求が棄却され、損害賠償請求が一部認容された事例
第14章 近隣商業地域内の3階建共同住宅による日照阻害等が受忍限度の範囲内であるとして、日照阻害等を理由とする建築差止め、損害賠償、目隠し設置の請求がいずれも棄却された事例
第15章 マンション建築に反対する附近住民が行った工事妨害、ビラ・看板の掲出行為などが不法行為を構成するとして損害賠償の支払が命ぜられた事例
第16章 別荘の眺望、通風、日照被害、電波障害を理由とする7階建マンションの建築禁止の仮処分申請
第17章 日照権侵害を理由とする損害賠償請求が棄却された事例
第18章 日影規制対象外建物に対する日照被害等を理由とする建築工事禁止仮処分申請につき日影被害の増大の程度が極めて大きい一部の者についてこれ認容した事例
第19章 建築物制限条例施行時点において「現に建築の工事中」の段階に至っていなかったとして、マンションが建築基準法上違法であるとされた事例
第20章 控訴人の建物一部撤去等の請求につき、被控訴人中下に対し,本件マンションのうち,3階屋外階段の庇部分及び3階廊下の庇部分の撤去と同撤去済みまでの損害賠償金及び弁護士費用相当損害金の各請求を認容し、控訴人の請求を棄却した原判決を前記のとおり変更した事例
第21章 第1種低層住居専用地域において、日影規制の対象外の建物による日照被害が社会通念上の受忍限度を超えているものの、その逸脱の程度が著しいとまではいえないとして、同建物の一部撤去請求が棄却され、損害賠償請求が一部認容された事例
第22章 申請者らが,敷地上に共同住宅・保育所用ビルである建築物の建築を計画し,東京都知事が,申請者らに対し,建築基準法59条の2第1項に基づく許可処分をしたため,敷地の近隣に事務所を構える宗教法人及び近隣に居住する住民は,本件総合設計許可処分は,本来許容され得る範囲を超えて容積率の緩和を許可している点で違法であるとして,処分の取消しを求めた。
第23章 高速道路建設工事による自宅建物の日照権被害について,受忍限度を超えるものと判断し,被控訴人に対する慰謝料及び弁護士費用の請求を一部認容した事例