地震保険法に関する裁判例を網羅しています。
地震保険法の正式名称は、
地震保険に関する法律
(昭和41年法律第73号)です。
同法は、地震保険の定義や政府による再保険、地震保険審査会の設置について定めています。1966年(昭和41年)5月18日に公布されました。
同法は、金融法、保険法、行政法の1つです。
同法では、主に以下が定められています。
地震等による被災者の生活の安定に寄与するため、次の要件を備える地震保険を保険会社が引き受けた場合に、政府は再保険を行なうことができる。
居住の用に供する建物または生活用動産のみを保険の目的とすること。
地震もしくは噴火またはこれらによる津波を原因とする火災、損壞、埋没、または流失による損害のみをてん補すること。
特定の損害保険契約に附帯して引き受けること。
保険金額は、附帯される損害保険契約の保険金額の30/100から50/100までに相当する金額を原則とすること。
財務省に地震保険審査会を置き、政府の再保険に関する事項についての保険会社の不服申立に対する審査を行なうほか、財務大臣の諮問に応じ、大災害時の損害額の認定および保険金の削除に関する事項について審議する。
保険会社の地震保険事業に関する共同行為は、独占禁止法の適用を除外する。
関連法令として、特別会計に関する法律、保険法、保険業法、大規模地震対策特別措置法、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律があります。
目次
第1章 地震により同一構内にある物置が損壊した場合において、地震保険普通保険約款(平成8年1月改定前のもの)4条2項に基づく保険金限度額の定めにより当該保険金請求が棄却された事例
第2章 阪神淡路大震災発生後、間もなく発生した火災による損害について、普通火災保険約款の免責条項を適用して保険金支払請求を棄却した事例
第3章 地震保険と保険会社の情報開示説明義務
第4章 第1審被告らとの間で火災共済契約、火災保険契約を締結しその被保険者となった第1審原告らが,阪神・淡路大震災の際に発生した火災により,各契約の目的物が焼失したと主張して,第1審被告ら及び第1審被告第1火災引受人に対し保険金を請求した事案について、第1審原告Bの第1審被告日動火災に対する、第1審原告Cの第1審被告第1火災引受人に対する、第1審原告Dの第1審被告市民生協に対する各請求を認容し、第1審原告A及び第1審原告西洋建物の各請求を棄却した原判決を相当とした事例
第5章 阪神淡路大震災後起きた火災によって,その占有する事業場内の動産類が全焼したと主張する原告らの,火災保険契約の保険者である被告らに対する,火災保険金の支払請求について
第6章 阪神淡路震災により,住居等が焼損したと主張する火災保険や火災共済の契約者及び相続人らが,保険会社や生活協同組合連合会の承継人である被告らに対し,火災保険金や火災共済金を請求した事案
第7章 火災保険契約は附合契約によるべき典型的な契約類型であり,普通保険約款に従って保険契約がなされた場合は,当約款に含まれる地震免責条項の適用があると解すべきであり,また,地震免責条項の有効性は,火災保険発生時から認められてきたもので,内容において異常でも非慣行的でもなく,「不意打ち」とはいえないとして,火災保険金の支払いを求めた原告の請求を棄却した事例
第8章 地震保険契約締結の際の説明義務・情報提供義務
第9章 店舗総合保険契約に適用される普通保険約款中に,保険の目的が受けた損害に対して支払われる水害保険金の支払額につき上記損害に対して保険金を支払うべき他の保険契約があるときには同保険契約に基づく保険給付と調整する旨の条項がある場合における,同条項にいう「他の保険契約」の意義
第10章 個人財産総合保険契約の個人賠償責任総合補償特約約款における地震免責条項の解釈
第11章 控訴人が,本件建物に付保した地震保険契約後,東日本大震災に被災し「半損」に当たる損害を受け2000万円の保険金の支払を受けられるのに,被控訴人から「一部損」に当たるとして200万円しか支払われなかったことから残額1800万円の請求をした事案。