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2020年12月25日
『悪臭防止法に関する裁判例』をアマゾンで出版しました。

悪臭防止法に関する裁判例を網羅しています。

悪臭防止法(昭和46年法律第91号)は、工場やその他の事業場における事業活動に伴って発生する悪臭を規制することにより、悪臭防止対策を推進し、生活環境を保全、国民の健康の保護に資することを目的とする法律。1971年(昭和46年)6月1日に公布された。

1967年に公害対策基本法(昭和42年法律第132号)が制定された。悪臭は、典型公害の1つとして規定されたが、規制基準は定められなかった。これは、悪臭が感覚的公害であり、直接的に健康被害を引きおこすおそれがないと考えられてきたこと、また、悪臭物質の把握及び測定、被害との量的関係の推定等が困難であったこと、悪臭公害防止のための技術開発が遅れていたことが要因であった。

このため、悪臭に関する研究および悪臭防止技術の開発の進展、悪臭の防止に対する国民の世論の高まりを背景に1971年に悪臭防止法が制定され、特定悪臭物質の濃度による規制が始まった。

しかし、物質の濃度による規制では、未規制の物質や複合臭気に対して充分な効果をあげられないため、平成8年(1996年)に法改正が行われ、嗅覚測定法による臭気指数の規制基準が導入された。

目次

第1部 民事事件

第1章  公害予防を理由とする豚舎建築禁止の仮処分申請が却下された事例

第2章  塩化水素・窒素酸化物・ばいじん等の有害物質の排出により、健康上・財産上の損害を受けることを理由とするごみ焼却場建設差止仮処分申請が、認容された事例

第3章  石油タンク建設差止め仮処分申請が却下された事例

第4章  1、魚あら処理工場から排出される悪臭による生活妨害などを理由とする付近住民の損害賠償請求が認められた事例

2、いわゆる一括請求方式で、また家族の被った被害をも考慮して損害額を算定した事例

第5章  牛舎からの悪臭の発散防止のため牛舎の窓の開放禁止を求める仮処分申請の却下事例

第6章  養鶏業者と付近住民との間で締結された公害防止協定は有効であるとし右協定に違反した業者の違約金支払義務が肯定された事例

第7章  公害発生を理由とする下水道終末処理場建設差止請求が棄却された事例

第8章  し尿海洋投棄中継所撤去等仮処分申請事件

第9章  市のごみ焼却場建設につき、付近住民からの差止めを求める仮処分申請が却下された事例

第10章 建物の解体工事等業者の産業廃棄物の野焼きによる悪臭・煤煙等の被害が受忍限度を超えているとして右業者に損害賠償の支払いが命じられた事例

第11章 1 ごみ焼却施設建設に関して地方公共団体と住民団体との間で交わされた文書の法的拘束力が否定された事例

2 行政上の確約の法理に基づくごみ焼却施設建設の差止めが否定された事例

第12章 肥料製造工場の排出される煤煙により養鶏場の鶏の産卵量が減少したことにつき、右工場の経営会社に公害防止協定違反の債務不履行があるとして損害賠償責任が認められた事例

第13章 焼鳥屋から出る臭気が、受忍限度を超えるとは認められないとされた事例

第14章 原告らは,清掃工場を設置,管理運営する被告に対し,清掃工場からダイオキシンを初めとする大気汚染物質が排出され,これらにより原告らの生命,身体等の安全が侵害されるおそれがあるとして,人格権に基づき,その操業の差止めを求めたが,棄却された例

第15章 土地建物の売買契約実行後、買主が売主に対し、土地中に埋設物及び汚染土壌が存在したとして瑕疵担保責任に基づく損害賠償および説明義務違反の債務不履行に基づく損害賠償を求めたところ、これが認容された事例

第16章 売買の目的物である宅地(約3万平方メートル)の中に埋設物が存在した場合において、その埋設物が建物建築の基礎工事の支障となり、これを除去しなければならないときは、当該埋設物の存在は民法570条にいう「隠れた瑕疵」に当たる

第17章 廃プラスチックの選別・圧縮等施設及び廃プラスチックのリサイクル等施設から排出された有害化学物質により,受忍限度を超えた健康被害が生じたとして求めた両施設の操業差止めの請求がいずれも棄却された事例

第18章 菓子製造工場の発する騒音及び悪臭は違法であるとして,近隣住民の損害賠償請求が一部認容された事例

第19章 寝屋川市の住民である控訴人(1審原告)らは,被控訴人(1審被告)Aの施設(プラスチック製容器包装廃棄物及びペットボトルの中間処理工程)及び被控訴人(1審被告)Bの施設(プラスチック製容器包装廃棄物の再商品化処理工程)の操業により,有害化学物質,特に揮発性有機化合物が大気中に排出され健康被害が発生するとして,人格権に基づく操業差止めを求めた事案で,健康被害が生ずると認められる証拠はないとして,1審及び控訴審が請求を棄却した事例

第20章 建物を被告から賃借していた原告が,受忍できない程度の悪臭が発生したことから,被告に対し,飲食店営業に重大な影響が生じたとして損害賠償を求めた事案

第21章 愛知県知事から廃棄物処理施設の設置許可を受けこれを建設した業者が、施設完成後に知事による違法な改善命令及び設置許可取消処分を受けたことにより損害を被ったとして、県に対して求めた国家賠償請求が認容された事例

第22章 被告の自宅及び庭で野良猫に寝床や餌を用意して周囲に居着かせ,隣接する原告宅の庭に野良猫の糞尿被害を発生させた事例

第23章 原告が,自宅の1階床下に排水管が開口したまま放置されていた瑕疵により,補修されるまでの約2年間にわたって悪臭に悩まされ続けた等として,建築工事の請負業者及び下請業者に対し,損害賠償等を求めた事案。

第24章 マンション管理組合の管理者の原告が,区分所有者の被告に対し,賃借人の営業する台湾料理店が悪臭を生じさせているとし,区分所有法57条1,3項に基づき,同料理店の使用差止めと共有部分の看板,ごみ箱の無断設置の使用料相当損害金等の請求をした事案。

第25章 本件は,マンションの管理組合の理事長(管理者)である原告が,他の区分所有者からの授権を受け,同建物の区分所有権を有する被告に対し,被告がペットの管理を適切行わない,共有部分に私物を放置する,管理費等を滞納する,定期的な検査等に非協力的であるなどと主張して,建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)59条1項に基づき被告の区分所有権及び敷地利用権の競売の請求をするとともに,被告が区分所有権を有する部分の使用禁止及び共用部分である玄関ドアの補修作業を妨害しないことを求め,加えて,被告の上記行為が他の区分所有者に対する不法行為に当たるとして,共用部分の補修費用や慰謝料等の損害の賠償を求める事案である。

第2部 知的財産事件

第1章 被告が販売するろうそくの新商品について,従来商品と比べ,すすの量が90%,消しにおいが50%減少している旨の表示はいずれも虚偽であるので,被告の行為は不正競争(不正競争防止法2条1項13号)に当たる。しかし,競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽事実の告知(同法同条同項14号)には当たらない。

第2章 脱臭装置の販売に関し競争関係にあるXが,Yらに対し(本訴),Yの商品の品質,性能に関する表示(以下「本件表示」という。)等が不競法2条1項13号「不正競争」に該当するとして,①本件表示の広告宣伝物等への使用及び本件表示をした商品等の販売等の差止め,②同商品の廃棄等,③合計約1億8210万円の損害賠償を求め,YがXに対し(反訴),XがYの取引先にXが作成した報告書を配布し,「Y商品は・・脱臭性能がない」などと口頭で告知した行為が,「不正競争」に当たるとして,④同報告書の配布・閲覧及び上記告知の差止め,⑤同報告書の廃棄,⑥合計1500万円の損害賠償を求めた事案。

第3部 行政訴訟事件

第1章  東京都立川市の住民である原告らが,東京たま広域資源循環組合が行っているエコセメント事業は違法であって,立川市が組合に対し支出した負担金のうち,エコセメント事業に係る部分は違法な公金の支出であるとして,被告に対し,その支出の差止を求めるとともに,立川市長であるA個人に対し,損害賠償金の支払を請求するよう求めた事案

第2章  新潟県新発田市(しばたし)のA地区において養豚業等を営む原告が,豚舎に通じる道路の一部を敷設するため,新発田市公共用財産管理条例及び同施行規則に基づき,通路の途上にある被告の管理する水路の一部を使用することの許可を処分行政庁に申請したところ,処分行政庁がこれを不許可とする処分をしたため,被告に対し,本件不許可処分の取消を求めるとともに,処分行政庁が本件申請を許可すべき旨を命ずることを求めた事案

第3章  産業廃棄物処分場の周辺住民が,県知事に対し,生活環境の保全上支障が生じ,又は生じるおそれがあるとして,処分場の事業者に対し前記支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることの義務付けを求めた事案

第4章  旧B町(現在,A市)の町長が,C組合に対し,化製場設置許可処分・死亡獣畜取扱場設置許可処分・施設設置許可処分(以下,これらを「本件各処分」)をしたところ,これら施設周辺に居住する原告らが,本件各処分の取消しを求めるとともに,予備的にその無効確認を求めた事案。

第5章  本件廃棄物処理施設の周辺住民原告らが被告市に,参加人に対する本件許可処分取消しを求める事案。裁判所は,施設周辺住民のうち,当該施設からの有害物質排出の場合に,これに起因する大気や土壌汚染等による健康等に係る著しい被害を直接的に受ける虞のある者が原告適格を有するとし,それに該当しないと認められた原告らの訴えを却下し,参加人は,本件更新許可により全く新規に許可を受けたわけではなく,本件許可がその期間経過により完全失効したとはいい難く,かかる場合原告らの訴えの利益は失われないとした上,本件施設は,粉じん,悪臭,騒音・振動,低周波音及び汚水の被害並びに搬入搬出道路の有無のいずれの点でも施設基準に適合し,また参加人は,申請者能力基準にも適合しており,廃掃法所定の一般廃棄物処分業の許可基準を満たしており,本件許可に取消事由があるとはいえないとして,請求を棄却した事例

第4部 刑事事件

第1章  1 人の健康に係る公害防罪の処罰に関する法律3条1項にいう「工場又は事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を排出し」の意義

2 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律3条の罪が成立しないとされた事例

 

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