書籍コード 19-22
判型 A5判
頁数 422頁
本体価格:2,571円 (税抜)
販売価格:2,828円 (税込)
著者 司法研修所・編
発行元 法曹会
発刊日 2007/11/13
本研究は,民事訴訟における事実認定の実務を研究するものである。
この分野における司法研究の先例としては,「民事裁判における『推定』について」(昭和29年度司法研究・司法研究報告書第8輯第6号)と「裁判における心証形成の諸問題」(昭和35年度司法研究・司法研究報告書第14輯第8号)がある。前者は推定をテーマとしたものであり,後者は,民事,刑事共通のテーマとして心証形成を扱ったものである。今回の司法研究は,民事事実認定の分野としては四十数年振りのものであり,かつ事実認定全般を幅広く対象とするものである。
このようなことから,研究の対象として取り上げるべき課題は多岐にわたるものがあるが,今回は,事実認定に関する判例法理を整理・検討するとともに,裁判実務において培われ,受け継がれてきた様々な事実認定の技法や考え方をできるだけ明確に言語化し,法曹全体の共有財産とすることを目指すこととした。具体的な研究の方法は序章に記載したとおりであるが,特に事実認定の技法等については,インタビュー,アンケートを通じて,裁判実務に携わる多くの先輩,同僚裁判官から聴き取りを行い,実務の知恵と経験を集積することに努めた。
東京,大阪,名古屋をはじめとする全国各地の高裁,地裁の裁判官には,本研究の趣旨に御理解を頂き,御多忙中にもかかわらず,判決の収集,インタビュー,アンケートに格別の御協力をいただいた。インタビューに応じていただいた高裁の裁判官は,東京高等裁判所 赤塚信雄判事,同 岩井俊判事,同 江見弘武判事,同 鬼頭季郎判事,同 横山匡輝判事,大阪高等裁判所 井垣敏生判事,同 小田耕治判事,同 松山恒昭判事,同 柳田幸三判事,名古屋高等裁判所 中込秀樹長官,同 青山邦夫判事,同 熊田士郎判事,同 田中由子判事,同 野田武明判事(所属・官職はインタビュー当時のもの)の14名である。これらの裁判官には,事実認定の技法,在り方,裁判に対する姿勢,思いを語っていただいたのみならず,我々研究員に対して貴重な助言と暖かい励ましのお言葉をいただいた。ここに特にお名前を記してお礼を申し上げたい。また,司法研修所,最高裁判所事務総局民事局,各研究員所属の裁判所には,本研究全般についての御援助と,研究環境についてのご配慮をいただいた。ここに改めて深甚の謝意を表するものである。(はしがきより)
【感想】
総論として、民事の事実認定が論じられています。
各論として、保証、売買、消費貸借が論じられています。
東京・大阪・名古屋の高等裁判所の部長・裁判官へのインタビューは、控訴審で「逆転裁判」となった具体例にも言及するもので、興味深い。
続編として、請負を扱った、司法研修所『民事訴訟における事実認定―契約分野別研究(製作及び開発に関する契約) 』法曹会・2014年があります。