技能実習法に関する裁判例を網羅しています。
技能実習法の正式名称は、
外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律
平成28年11月28日法律第89号
です。
同法は、入管法、労働法の1つです。
技能実習制度は、1993年(平成5年)に入管法で創設されました。
2017年(平成29年)に根拠法となる技能実習法が立法・施行されました。
目次
第1章 Y3組合は,茨城県内における実習実施機関の監理団体の1つである。そして,Aは,形式的にはY3組合の相談員であるが,実質的にはY3組合の経営者であり,Y3組合において理事長と呼ばれ,自らもそう呼んでいた。
X1は,平成26年11月26日,Y3組合の職員で,X2の後任のY1方の巡回指導担当である丁原四郎(現在のY3組合代表者)に対し被告Y2のセクハラ行為で被害を受けている旨伝え,損害賠償を求めた。Aは,平成26年11月28日,X2とともに,X1とセクハラの問題について話し合った。この時,X1は,セクハラによる損害賠償と大葉巻き作業についての残業代の支払いを求めた。
Aは,平成26年11月30日午後7時か8時頃,Y3組合の職員であるTとともに,Y1方で,技能実習生らに対しY1方での技能実習は終了となることを説明した。その技能実習生の一人であるFはいったんY3組合の研修センターに移動することに応じたが,翻意し,Tが呼びにいって移動するよう促したが,これに応じなかった。X2は,同日午後10時41分頃,行方警察署に電話をして,女性の技能実習生が男に拉致されそうという旨の説明をした。その後警察が出動したが,警察によっても拉致の事実がないことが判明した。
第2章 最初の1年間は外国人研修生として,その後は外国人技能実習生として,控訴人X社の縫製作業に従事していた被控訴人中国人5名(Yら)につき,Yらの外国人研修生期間についても労働者として最低賃金法の適用があるとして,研修生期間における時間外研修にかかる時間外手当と最低賃金額との差額請求を認めた1審判断が維持された例
第3章 1 外国人研修・技能実習制度のもとで研修生および技能実習生の受入れ,短期間の雇用契約または雇用保険上の名義として用いられたにすぎない第2次受入機関は,実質的に指揮命令をして労務の提供を受け,賃金を支払う主体となり得る実態を有していなかったのであるから,被控訴人X1らとの関係では使用者であったと認められない一方,X1らから労務の提供を受け,賃金を支払っていたまたは賃金を支払うべきものといえる控訴人Y1は,研修期間および技能実習期間を通じてX1らの使用者であったといえるとした1審判決が維持された例
2 X1らが研修期間中に行った作業は,労務の提供として賃金の支払いを受けるにふさわしいものであり,研修期間中においても,労働契約法および最低賃金法上の労働者に当たるとした1審判決が維持された例
3 平成22年8月18日以降のX1らの不就労は,X1らの意思によるものであり,Y1の責めによるものとは認められず,Y1は同日以降の未払賃金を支払う義務を負わないとした1審判決が維持された例
4 研修期間中も含めた最低賃金法所定の最低賃金,時間外等割増賃金の請求および付加金の支払請求が認められた例
第4章 技能実習制度の研修生として来日後に,技能実習生となった被控訴人らが,第2次受入機関であったA社の元代表者の控訴人Y1と元取締役の控訴人Y2らに対し,共同不法行為に基づく賠償を請求し,原審が,請求の一部を認容したのに対し,Y1,Y2が控訴した事案。
第5章 外国人研修・技能実習制度を利用して日本に入国した外国人がその研修期間中に従事した作業について,労働基準法および最低賃金法の適用を認めた事例
第6章 1 外国人研修・技能実習制度に基づき来日した中国人研修生・実習生につき,日本人従業員との賃金格差は労基法3条(均等待遇)に違反する等としてされた差額賃金支払請求が認められなかった事例
2 研修期間における研修手当と最低賃金との差額分の賃金支払請求が認められた事例
3 技能実習期間中に賃金から控除された寮費の額と日本人従業員の寮費の額との間には許容し難い著しい格差があり,当該控除は労基法3条に違反し無効であるとして,差額分の賃金支払請求が認められた事例
4 第2次受入機関がしたパスポートおよび通帳の保管等が不法行為に該当するとされた事例