薬剤師法に関する裁判例を網羅しています。
目次
第1部 民事訴訟
第1章 薬局(1審原告)が医院(1審被告)に対して,医院が外来患者に投薬の必要がある場合に院外処方が可能であれば処方箋を発行すべき契約上の義務を履行しなかったため,薬局の閉鎖を余儀なくされたとして損害賠償(債務不履行または不法行為)を求めたところ,原審が原告の請求を一部認容したため双方が控訴した事案
第2章 医師による診療報酬の不正・不当請求に対する、地方自治体との診療業務委託契約上の善管注意義務違反に基づく損害賠償請求
第3章 医師法違反教唆で捜査,起訴され無罪となった原告と同人が理事長である原告医療法人が,同法人に採用され医師法違反の有罪判決を受けた医師である被告に対し,医療行為の継続を促されたとの虚偽供述を繰り返したとして不法行為により,被告東京都に対し,捜査に違法があるとして国家賠償法1条1項により,被告国に対し,捜査を尽くさず起訴した違法があるとして同項により損害賠償を求めた事案。
第4章 本件本訴は,原告が,被告との間でA調剤薬局つつじヶ丘店(以下「本件店舗」という。)に係る事業譲渡契約(以下「本件事業譲渡契約」という。)を締結し,本件店舗の引渡し等を受けたところ,本件店舗において本件事業譲渡契約に定められた表明保証条項に違反する取扱いがあった旨主張し,被告に対し,表明保証違反に基づき,合計1120万0948円(損害の合計額2228万6232円から原告が相殺に供した下記284万2642円の代金債務分を控除した残額1944万3590円の一部)の損害賠償および遅延損害金の支払を求める事案である。
第2部 医療過誤
第1章 筋肉注射により乳幼児が筋拘縮症に罹患したことにつき、注射剤を製造販売した製薬会社に対し、医師に対する警告義務を怠ったとして損害賠償責任を肯定し、右注射剤の製造を承認した国に対しては、薬事法上の医薬品安全確保義務および医師法上の指示義務違背はないとして賠償責任が否定された事例
第2章 アスピリン系解熱鎮痛剤ヴェノピリンの注射によるショック死事故につき、開業医に過失がないとされた事例
第3章 生後4週間の新生児に処方・調剤した薬について、薬中の副作用を引き起こす成分の含有量が常用量を大幅に上回る処方をしたことにつき医師と薬剤師に過失があるとして、薬により呼吸困難、チアノーゼを発症した新生児に対する損害賠償が認められた事例
第4章 担当医の常用量を上回る処方指示について,調剤・監査を行った薬剤師が疑義照会義務を怠った場合,薬剤師にも不法行為責任が認められる
第3部 薬害
第1章 キノホルムがスモンの唯一の病因であるとした事例
第2章 スモン訴訟カルテ提出命令事件抗告審決定
第3章 福岡スモン訴訟
第4部 労働事件
第1章 雇用契約において時間外労働等の対価とされていた定額の手当の支払により労働基準法37条の割増賃金が支払われたということができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
第2章 被告甲府市の市立病院放射線技師・亡訴外人の妻原告が,訴外人につき退職手当支給制限処分を受けたためその取消しを求める事案。
第5部 行政訴訟事件
第1章 1、薬剤師の薬局開設に対する許可制と憲法第22条
2、薬剤師と医師とについての調剤の規制の差異と憲法第14条
第2章 薬事法6条2項、4項(これらを準用する同法26条2項)と憲法22条1項
第3章 医薬品ネット販売の権利確認等請求事件
第4章 無診察診療,振替請求,診療録の改ざん等を理由として行われた保険医療機関の指定,保険医の登録の各取消処分について,処分の対象となった原告らが,処分を行った被告に対し,上記各処分の取消しを求めた事案において,被告の処分には違法はないとして原告らの請求をいずれも棄却した事例。
第5章 健康保険法65条1項に基づく保険薬局の指定申請に対し,当該薬局は保険医療機関からの構造上の独立性を欠き,保険薬局が保険医療機関と一体的な構造とすることを禁止する保険薬局および保険薬剤師療養担当規則(昭和32年厚生省令第16号)2条の3第1項1号に違反し,同法70条1項の保険薬局の責務に反したものであるから,同法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するとして地方厚生局長がした指定拒否処分の取消請求および同局長に対する前記指定の義務付け請求が,いずれも認容された事例
第6章 本件は,薬剤師である原告が,大阪府知事から平成22年7月6日付けで一般用医薬品(うち第1類医薬品)および医療用医薬品のインターネットを利用した販売を中止することなどを内容とする業務改善命令(以下「本件業務改善命令」という。)を受けたにもかかわらず,上記医薬品のインターネットを利用した販売をし,もって本件業務改善命令に違反したとして,薬事法(平成25年法律第84号による改正前の薬事法をいう。以下,特に断らない限り同じ。)違反の罪により罰金20万円に処せられ,薬剤師法5条3号に該当することとなったことを理由に,厚生労働大臣から,平成26年10月27日付けで同年11月10日から3か月間の業務停止命令(厚生労働省発薬食0第0号。以下「本件業務停止命令」という。)を受けたため,被告を相手に,主位的に本件業務停止命令の取消しを求め,予備的にその無効確認を求める事案である。
第7章 要指導医薬品指定差止、要指導医薬品指定取消請求控訴事件
第8章 1通の申請書により、1つの資格に係る登録事項の変更の登録を受ける場合の登録免許税の課税標準である登録件数は、当該登録を受ける登録事項の数に関わらず1件となるとした事例
第6部 知的財産事件
第1章 胃潰瘍治療薬のカプセルおよびPTPシートの色彩構成が不正競争防止法2条1項1号所定の「商品等表示」に当たらないとされた事例
第2章 判決は,原告配色は,客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているとはいえず,特定の事業者の出所を表示するものとして周知性を備えていたということもできず,同法2条1項1号所定の「商品等表示」には該当しないとして棄却した。
第3章 判決は,原告カプセルおよび原告PTPシートの色彩構成には自他商品識別機能ないし出所表示機能はなく,「商品等表示」(同条同項同号)に該当しない等として,請求を棄却した。
第4章 胃潰瘍治療薬のカプセルおよびPTPシートの色彩構成が不正競争防止法2条1項1号所定の「商品等表示」に当たらないとされた事例
第5章 判決は,原告形態が原告商品と密接に結びつき,原告商品を見ればそれだけで原告の商品であると判断されるようになったものとまで認めることはできず,原告形態が原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているということはできないとして棄却した。ただし,同医薬品につき,先発医薬品に類似した外観を採用することは,不正競争防止法の観点からは,決して望ましいことではなく,要件が整えば,医薬品の取り違えから生ずる健康被害を防止するため販売名等の確認が不可欠とされている点を併せ考慮しても,不正競争防止法2条1項1号の要件を満たすことは十分あり得ると付言した。
第6章 判決は,(1)控訴人商品の配色に,不正競争防止法2条1項1号の商品等表示性を認めることはできない,(2)被控訴人商品の配色を控訴人商品の配色と酷似させているのは不法行為に該当するとの主張は,採用することはできないとして棄却した。
第7章 判決は,(1)控訴人商品の配色に,不正競争防止法2条1項1号の商品等表示性を認めることはできない,(2)被控訴人商品の配色を控訴人商品の配色と酷似させているのは不法行為に該当するとの主張は採用することはできないとして棄却した。
第8章 判決は,(1)控訴人商品の配色に,不正競争防止法2条1項1号の商品等表示性を認めることはできない,(2)被控訴人商品の配色を控訴人商品の配色と酷似させているのは不法行為に該当するとの主張は採用することはできないとして棄却した。
第9章 異なる医薬を単に併用する行為は,それらの医薬を「組み合わせてなる医薬」の「生産」には当たらないから,それらの医薬を単体として製造,販売する行為についても特許法101条2号の間接侵害は成立しない
第10章 控訴審は,Yが使用しているのはY各商標ではなくY各全体標章であり,また,Y各全体標章は本件商標権2に係る指定商品の原材料を普通に用いられる方法で表示するものにすぎないから,同商標権2の効力が及ぶものではないとして,交換的変更に係る請求をいずれも棄却した事例
第11章 控訴審は,被控訴人商品で「ピタバ」の文字部分が強調されているのは,有効成分の特徴的部分を強調することで,他種の薬剤との混同を防止する意義を有するに過ぎず,独立の商標と捉えられるものではなく,医師,薬剤師,患者などにとって,「ピタバスタチン」「ピタパスタチンカルシウム」「ピタバ」は,出所識別機能を有しておらず,被控訴人標章が,本件商標の使用に該当するとは認められないとし,控訴を棄却した事例
第12章 控訴審は,Y標章の表示が本件商標の使用に該当するとは認められないとした上で,YがY各商品の包装にY標章を付してY各商品を販売したことは,商標的使用ではなく,Yの行為は,本件商標権を使用する権利の侵害行為には該当しない等とし,原判決は相当であるとして,控訴を棄却した事例
第13章 控訴審は,Y標章の表示が本件商標の使用に該当するとは認められないとした上で,YがY各商品の包装にY標章を付してY各商品を販売したことは,商標的使用ではなく,Yの行為は,本件商標権を使用する権利の侵害行為には該当しない等とし,原判決は相当であるとして,控訴を棄却した事例
第14章 本件は,原判決別紙商標権目録IおよびII記載の各商標権(本件各商標権)を有するとともに,発明の名称を「薬剤分包用ロールペーパ」とする発明についての特許権(特許第4194737号。本件特許権)を有していた1審原告が,1審告らに対し,1審被告らの製造・販売する製品が本件特許権および本件各商標権を侵害したと主張して,①商標法36条1項,2項に基づく販売等の差止めおよび製造設備等の廃棄を求めるとともに,②民法709条および719条2項ならびに特許法102条2項または商標法38条2項に基づく損害賠償として,主位的に,(i)1審被告ネクストに対して,1審被告ネクストが販売した被告ネクスト製品に関し,損害金5676万円の一部である5000万円および遅延損害金の支払,(ii)1審被告らに対して,1審被告ヨシヤが販売した被告ヨシヤ製品に関し,損害金1億1352万円の一部である5000万円および遅延損害金の支払(重なり合う部分について連帯支払)を求め,③上記各損害賠償請求の予備的請求として,民法703条および704条に基づく不当利得返還請求として,1審被告ネクストについては不当利得金1179万3600円,1審被告ヨシヤについては不当利得金335万6640円の返還およびこれらに対する遅延損害金の支払を求める事案である。
第7部 刑事事件
第1章 処罰規定の新設と所持罪
第2章 医薬品販売業の登録制を規定した旧薬事法(昭和23年法律第197号)第29条第1項の合憲性
第3章 1、薬事法2条1項にいう医薬品にあたるとされた事例
2、同法12条1項にいう業としての医薬品の製造の意義
第4章 薬事法2条1項2号または3号の医薬品にあたるとされた事例
第5章 「医薬品」の意義と憲法21条等
第6章 1 薬事法12条1項所定の医療用具の小分け行為にあたるとされた事例
2 薬事法12条1項、64条、55条2項の各規定を適用しても憲法22条1項に違反しないとされた事例
第7章 被告人らが,共謀の上,業として危険ドラッグを所持したとされる薬事法(当時)違反の事案について,被告人らに規制薬物であることの未必的認識
第8章 高血圧の治療薬の臨床研究の結果につきイベント数を水増しした図表等を大学所属の研究者らに提供し、論文を作成させ、学術雑誌に掲載してもらった行為について、外国製薬会社日本法人(被告会社)と元社員(被告人)が(旧)薬事法66条1項違反に問われた事案
第9章 被告会社は,医薬品等の製造・販売等を営む株式会社,被告人は,被告会社のサイエンティフィックアフェアーズ本部担当部長として,別紙1記載の臨床試験「A Study」およびその結果に基づいて行うサブ解析または補助解析について,臨床データの解析等の業務を担当していたものであるが,被告人は,被告会社の業務に関し,
(1) 補助解析の結果を被告会社の広告資材等に用いるため,A Studyの主任研究者であるD1および同研究者であるD2らとともに,高血圧症治療薬であるカルシウム拮抗薬(以下「CCB」という。)とB剤との併用効果に関するA Studyの補助解析論文である別紙2記載の論文を記述するに当たり,平成22年11月頃から平成23年9月頃までの間に,別紙3記載のとおり同論文に掲載する虚偽の図表等を作成した上,そのデータをD2らに提供し,同人らをして,同図表等のデータに基づいて,別紙4記載のとおり同論文原稿の本文に英語で虚偽の記載をさせて同図表等および同文章を同論文原稿に掲載させ,同年1月頃から同年10月頃までの間,D2をして,京都市内またはその周辺から,インターネット回線を用いてグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国に本店を置くE社が発行するE誌に同論文原稿を投稿させ,同年10月頃,同社のホームページに同論文を掲載させて,インターネット回線を用いて不特定多数の者が閲覧可能な状態にし、
(2) サブ解析の結果を被告会社の広告資材等に用いるため,D1およびサブ解析の研究者であるD3らとともに,冠動脈疾患を有する高リスク高血圧患者におけるB剤の追加投与の効果に関するA Studyのサブ解析論文である別紙5記載の論文を記述するに当たり,平成23年8月頃から同年10月頃までの間に,別紙6記載のとおり虚偽の数値を記載した図表等を作成した上,そのデータをD3らに提供し,同人らをして,同図表等のデータに基づいて,別紙7記載のとおり同論文原稿の本文に英語で虚偽の記載をさせて同図表等および同文章を同論文原稿に掲載させ,同年10月頃から同年12月頃までの間,D3をして,京都市内またはその周辺から,インターネット回線を用いてオランダ王国に本店を置くF社が発行するF誌に同論文原稿を投稿させ,平成24年2月頃,同社が管理するウェブサイトに同論文を掲載させて,インターネット回線を用いて不特定多数の者が閲覧可能な状態にし,もってそれぞれ医薬品であるB剤の効能または効果に関して,虚偽の記事を記述した。