国家公務員倫理法に関する裁判例を網羅しています。
国家公務員倫理法(平成11年8月13日法律第129号)
目次
第1部 最高裁判例
第1章 広島県府中市議会議員政治倫理条例事件
第2部 高裁判例
第1章 北九州市が支出した食糧費のうち1人当たり5000円を超える部分は違法な支出であるとされた事例
第2章 地方自治法242条の2の規定が,平成14年に改正された趣旨は,これまで住民訴訟で,私人である職員個人に対し多額の賠償請求が認められることがあったので,その負担から職員個人を解放することにあるとした事例
第3章 収賄,議院における証人の宣誓および証言等に関する法律違反の罪に問われ実刑に処せられた被告人からの事実誤認,法令適用の誤りや量刑不当等を理由とする控訴が棄却された事例
第4章 控訴人が,初診日を特定日とする障害等級2級の障害基礎年金および障害厚生年金の裁定請求をしたところ,社会保険審査官が,上記裁定請求に基づく年金を支給しない処分をしたが,同処分には誤りがあるとして,①被控訴人国に対し,行政事件訴訟法(以下,法)3条2項および同条6項2号に基づく,同処分の取消しおよび上記裁定請求に基づく年金支給の義務付けを求め,②被控訴人らに対し,国賠法1条1項に基づく慰謝料等の支払を求めたところ,原審は,一部却下,一部認容等したため,控訴人が控訴した事案。
第5章 控訴人が設置する市立斎場で火葬業務に従事する地方公務員である被控訴人らが,火葬業者からの金銭受領を理由にした懲戒免職処分および退職手当支給制限処分を違法と主張し,その取消しを求め,原審が,各処分を取消す旨の判決をしたのに対し,控訴した事案。
第3部 地裁判決
第1章 1 奈良県東京事務所における官々接待等に公金を支出したことが違法とされ、当該支出の専決権者である奈良県東京事務所長および代決権者である同次長に対する地方自治法242条の2の第1項4号による奈良県住民からの損害賠償請求の一部が認容されるとともに、奈良県知事が、同損害賠償請求権を同所長および同次長に対し行使しないことが、同法242条の2第1項による怠る事実として、その違法確認請求が認容された事例
2 右違法とされた公金の内、奈良県職員のみの飲食代や夜食代金の支出が、いわゆる給与条例主義に違反するものとして、金額の多寡にかかわらず、すべて違法と判断された事例
第2章 兵庫県芦屋市助役であった被告人が,懇意にしていた建設会社代表者3名から,自己の職務または職務密接関連行為に関して,現金250万円の賄賂を収受したという事案について,懲役2年6月,執行猶予5年,追徴金250万円に処した事例
第3章 滋賀県大津市が,新旧学区自治連合会長との懇談会において,食糧費を支出した行為につき,懇談会は大津市の事務の遂行と関連するものと認められ,支出自体が直ちに全て違法となるとはいえないが,懇談会の趣旨,目的,出席者の地位等の事情を併せ考えれば,1人当たり単価6000円までをもって相当な支出というべきであり,これを超える支出は,特段の事情のない限り,違法といわざるを得ないとして,大津市を代位する原告らの被告大津市市長らに対する損害賠償請求を一部認容した事例
第4章 郵便配達業務に従事していた者の配達中の郵便物を横領したことを理由とする懲戒免職処分を相当であるとした事例
第5章 A町町長の職にあった被告人が,町が発注するD新築工事の指定競争入札に関して,建設会社の取締役から,入札業者に指名されるように入札予定価格設定および落札後の利益確保のために工事の一括発注の依頼を承諾し,謝礼として賄賂を受け取り,同社が同工事を落札できるよう指名競争入札業者の組み合わせの面で便宜を図ることを承諾し,謝礼として賄賂を受け取ったという事案
第6章 税務調査における課税庁係官の違法な言動により精神的な苦痛を受けたとの納税者の主張が、課税庁係官の言動は税務調査に関連して質問、発言等がなされたものであって、格別、その内容自体に納税者を威嚇、脅迫または侮辱するような表現が含まれていたり、発言等の際に、納税者を威嚇、脅迫または侮辱するような態度を伴っていたような状況は窺われないとして排斥された事例
第7章 被告大学文部科学事務官であった原告が,私立大学の医学部に入学を希望する者の入学をあっ旋するとの名目で医師から金員を騙し取ったこと,国家公務員法で禁じられた兼業禁止義務違反を理由として,被告大学長がした原告に対する懲戒免職処分の取消を求めた事案
第8章 懲戒免職処分を受けた厚生労働事務官であった原告が,非違行為事実の不存在,同一非違行為での2重処分,処分手続の違法等を主張し,同処分の取消しを求めた事案
第9章 国家公務員であった原告が,利害関係者から供応接待を受けたことなどを理由としてなされた懲戒免職処分の取消しを求めた事案
第10章 懲戒免職処分を受けた国家公務員の原告が,人事院に対し同処分に対する審査請求をしたところ,同処分を承認するとの判定を受けたため,処分と判定の各取消しを求めた事案。