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2021年03月08日
『事業場外のみなし労働時間制に関する裁判例』をアマゾンで出版しました。

事業場外のみなし労働時間制に関する裁判例を網羅しています

労働基準法38条の2による事業場外労働のみなし労働時間制

事業場外みなし労働時間とも略称されます。

目次

第1部 最高裁判例

第1章  市立小学校または中学校の教諭らが勤務時間外に職務に関連する事務等に従事していた場合において,その上司である各校長に上記教諭らの心身の健康を損なうことがないよう注意すべき義務に違反した過失があるとはいえないとされた事例

第2章  募集型の企画旅行における添乗員の業務につき,労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たらないとされた事例

第2部 高裁判例

第1章  阪急トラベルサポート第1事件

第2章  阪急トラベルサポート第3事件

第3章  ①1審被告の社員として勤務し,不正な営業活動をしたとして自宅待機の上懲戒解雇された1審原告が,残業代や基本給等の残金等を請求,②1審被告が,1審原告の不正な営業活動による損害賠償請求をした事件

第4章  就業規則の日当に関する部分について,最高裁判決等で労基法38条の2第1項の適用が排除されたとしても,平成20年就業規則の事業場外労働みなし制の規定が無効となるにとどまり,当然に「変更後の就業規則の内容の相当性」がないとはいえないとされた例

第3部 地裁判例

第1章  判決は、被告は、書籍の展覧会の展示販売について、被告がプロモーター社員らの労働時間を算定することが困難な場合とは到底言うことができず、労働基準法38条の2の事業場外みなし労働時間制の適用を受ける場合ではないとされた事例

第2章  生活協同組合の従業員について、タイムカードに打刻された出勤・退勤時間に従って時間外、休日労働に対する割増賃金の支払を命じた事例

第3章  時間外割増賃金の不払いは,それ自体において悪質な行為との推定が働くのであって,不払いが使用者の責めに帰すべきでない特段の事情がない限り,労基法114条による付加金の支払命令を免れることはできないとした事例

第4章  被告会社では,原告らについては勤務時間を定めており,基本的に営業社員は朝被告会社に出社して毎朝実施されている朝礼に出席し,その後外勤勤務に出,基本的に午後6時までに帰社して事務所内の掃除をして終業となるが,営業社員は,その内容はメモ書き程度の簡単なものとはいえ,その日の行動内容を記載した予定表を被告会社に提出し,外勤中に行動を報告したときには,被告会社においてその予定表の該当欄に線を引くなどしてこれを抹消しており,さらに,被告会社は営業社員全員に被告会社の所有の携帯電話を持たせていたのであるから,被告会社が原告ら営業社員の労働時間を算定することが困難であるということはできず,原告らが労働基準法38条の2第1項の事業場外みなし労働時間制の適用を受けないことは明らかであるとされた例

第5章  業務推進手当が月45時間分の残業代に該当するものであることが,原告と被告ら(転籍元会社と転籍先会社)との間の各雇用契約の内容となったものとは認められず,業務推進手当は職責手当の1つとして職務と遂行能力に基づいて支給されるものであるとされ,その支払いをもって時間外労働に対する割増賃金の一部支払いと認めることはできないとされた例

第6章  「業務推進手当」の支払をもって残業代の一部支払であると認めることはできないとされた事例

第7章  時間外割増金および付加金の請求を認めた事例

第8章  在勤中の時間外労働およびそれに対応する割増賃金および未払賃金の支払請求を認め、賃金債務の消滅時効の主張は認めなかった事例

第9章  就業規則の変更による賃金規定の変更は不利益変更で効力が生じないとして,原告(従業員)が,被告に対し,従前の賃金と改定後の賃金との差額および未払時間外勤務手当の支払を求めた事案。

第10章 Xの時間外手当等の請求につき,Y社は,タイムシートを従業員に作成させ,実際の始業時刻や終業時刻等を把握していたこと,電子メール等の連絡手段を通じて業務上の連絡を密にとっていたものと認められること等からすると,Xについて事業場外のみなし労働時間制の適用はなく,また移動時間,自宅での作業時間についても時間外労働時間に含めるべきであるとしたうえで,時間外労働手当の請求が一部認容された例

第11章 平日の労働時間について事業場外労働のみなし労働時間制を適用されているXらの,休日労働における報告書作成時間の算定について,一定の算定方法に基づき,概括的に報告書作成時間等を算定することにも合理性が存するとされた例

第12章 生命保険会社の契約選択業務に係る確認作業を受託している被告に雇用されている業務職員である原告らが,休日労働をしたと主張し,既払の休日労働手当との差額および付加金等の請求をした事案。

第13章 原告が,雇用者であった被告に対し,①時間外,深夜および休日の割増賃金の支払,②被告(被告の従業員ら)が組織ぐるみで肉体的暴力や精神的虐待を加え続けるなどして退職せざるを得なくさせたとして損害賠償を求めた事案。

第14章 小規模な税理士法人の部長の肩書きを持つ従業員の管理監督者性が否定され,時間外労働に対する割増賃金および解雇予告手当ならびに各付加金の請求が認められた事例

第15章 労働基準法38条の2が定める事業場外労働のみなし制度が適用されるためには,例えば,使用者が通常合理的に期待できる方法をつくすこともせずに,労働時間を把握・算定できないと認識するだけでは足りず,具体的事情(当該業務の内容・性質,使用者の具体的な指揮命令の程度,労働者の裁量の程度等)において,社会通念上,労働時間を算定しがたい場合であるといえることを要するというべきであるとされた例

第16章 事業場外のみなし労働時間制度を適用されていた営業担当の従業員であった原告X2につき,X2の業務は,社会通念上,労働時間を算定しがたい場合であるとは認められず,また,所定労働時間(8時間)を超えて勤務することが恒常的であったことから,みなし制度を適用して所定労働時間以上の労働実態を当然に賃金算定の対象としないことは同制度の趣旨に反するとして,休日労働・時間外・深夜労働にかかる未払賃金の支払請求が認められた例

第17章 出張(事業場外労働)の前後に事業場内においても業務従事がなされた場合に,当該事業場外の労働が1日の所定労働時間の一部を用いて行われているときには,当該事業場内・外を併せて労基法38条の2第1項が適用されて「所定労働時間労働したもの」とみなされるとされた例

第18章 原告Xが出張ないし直行直帰した際において,Y社の具体的な指揮監督が及んでいるとはいえず,労働時間を管理把握して算定することはできないから,事業場外労働のみなし制が適用されるとされた例

第19章 裁判所は,原告は被告の工事部門に所属して施工現場での業務を担当し,工事現場では工事行程を管理していたことから作業の進度や休憩時間以上に自由時間をとることを自由に決め,毎日現場に直行,現場から直帰することも多く,被告において原告の出社時刻や退社時刻の確認はなされず,原告に日報の提出を求めたことも1度もなかったことが認められるので,原告の労働が労基法38条の2第1項に規定する事業場外労働であり,労働時間の算定は極めて困難であったと認められるので同項のみなし労働時間制の適用があるとして請求をいずれも棄却した事例

第20章 原告が,雇用者の被告に対し,①解雇無効を主張して,労働契約上の地位確認および解雇日の翌日以降の賃金(賞与を含む)の支払,②未払時間外手当および付加金の支払を各求めた事案。

第21章 被控訴人が控訴人に対し,時間外労働等に係る未払賃金の支払を求め,裁判所が,始業時刻前,終業時刻後の時間外労働,また,労働時間が算定できるとして外回り営業への従事についてそれぞれ請求を認容した事例

第22章 裁判所は,原告の主な業務は事業場外の取引先への営業および納品であるが,被告は,原則として直行直帰を認めず,タイムカード等により出退勤時刻管理をし,事業場外の時間管理も営業日報で出来たとし,労働基準法38条の2第1項の事業場外みなし労働時間制の適用を否定した事例

第23章 転職紹介業者の求人情報により応募した原告は,被告の従業員としてインドネシアに被告が設立した会社に勤務していたが,原告の業務遂行が会社の求めるレベルに達していないとして,被告から期間満了により雇用契約の終了を通知されたため,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに,未払賃金,帰国後、本判決確定までの海外主張手当,割増賃金,付加金,賞与などの支払を求めた事案。

第24章 裁判所は,原告は,催事開催の際,商品の搬入,搬出等を行い,これに要した時間が労基法32条の労働時間に該当すると主張するが,本件全証拠を検討してみても,原告の該行為が被告の指揮命令下に置かれていたというべき事情は認められず,労基法32条の労働時間に該当するとは言えないとし,請求を棄却した事例

第25章 原告が,被告(会社)による能力不足を理由の解雇は無効として,①地位確認,②賃金・賞与,③家賃補助金,④割増賃金の支払等を求める事案。裁判所は,①につき,原告に改善見込みがないと判断するのに必要な期間および改善指導がされたとはいえず,改善可能性がないとはいえないから,就業規則所定の解雇理由に当たらず解雇は無効として請求を認容し,②は,未払賃金および夏季・冬季の賞与はいずれも理由があるとし認容し,期末賞与はそれを基礎付ける証拠がないとし棄却し,③は,未払分および合意による補助終了日までの分の限度での請求には理由があるとして,一部認容し,④は,被告における営業職に対する割増賃金は,一定時刻までの分は営業手当として支払っており,実割増賃金から営業手当を控除した残額を支払うべきところ,原告の内勤での時間外労働は認められないとして請求棄却した事例

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