兼営法に関する裁判例を網羅しています。
兼営法の正式名称は、
金融機関の信託業務の兼営等に関する法律
(昭和18年3月11日法律第43号)
です。
同法は、金融法、信託法の1つです。
目次
第1章 A事件は貸金債権の残元本の支払を求めたのに対し,上記貸金は詐欺取消によりその効力は消滅したと主張し,B事件は有価証券を譲り受けたというが,本件有価証券は錯誤等により無効であるとして,その返還を求め,C事件は不動産につき設定された各根抵当権につき,上記貸金債権は残債権放棄により消滅したとして,所有権に基づき,本件根抵当権設定登記の抹消登記手続を求めた事案で,有価証券の引渡を命じ,根抵当権設定登記の抹消登記手続を命じ,その余の請求を棄却した事例
第2章 不動産仲介業者である甲と買主である乙との間で不動産の持分2分の1の売買の媒介契約が成立したが、媒介手数料の支払いに係る報酬合意が存在しない場合において、商法512条所定の「相当な報酬」の額について、当該不動産の残余の持分2分の1の買主である丙との間で合意されていた媒介手数料と同額が算定された事例
第3章 1 公有地に係る土地信託契約において、受益者に対する費用補償請求権を定めた旧信託法(平成18年法律第109号による改正前のもの)36条2項本文の適用を排除する旨の合意が成立していたとは認められないとされた事例
2 公有地信託の受託者である信託銀行について、事業計画の提案、遂行、報告・説明等の義務を怠ったものとは認められないとされた事例
3 信託銀行が提出した提案計画が市交通局により最優秀提案に選定された時点で、①信託事業の結果として地方公共団体に借入金債務等の負担を及ぼさない旨の合意、および、②同計画に基づいた一定の経済的利益が地方公共団体に与えられる旨の合意を含む基本契約が成立したとは認められないとされた事例
第4章 不動産の信託受託者として所有権を有する信託銀行との間で「定期建物賃貸借契約兼管理業務委託契約」を締結して当該不動産の転貸および保守管理をしていた者が,当該不動産の屋上部分からの漏水事故について,民法717条1項の占有者に該当するとされた事例
第5章 1 厚生年金基金から私募不動産ファンド特化型の単独運用指定金銭信託を受託した運用受託機関につき,当該厚生年金基金の基金資産全体に対する分散投資についての助言義務およびそれに基づく受託拒絶義務がいずれも否定された事例
2 厚生年金基金から私募不動産ファンド特化型の単独運用指定金銭信託を受託した運用受託機関につき,当該厚生年金基金に対する私募不動産ファンドに関するレバレッジリスクの説明義務が否定された事例
第6章 原告(大阪市)が被告ら(銀行3行)との間で締結した信託契約(学校跡地上に施設を建設し,賃貸により,管理運営をする信託目的)につき,被告らの義務不履行等により損害を受けたと主張して,賠償を求めた事案。
第7章 遺言能力が否定された遺言の作成に関与した信託銀行の過失の有無(消極)
第8章 1 公有地信託事業に係る信託契約において,受託者である信託銀行が,信託に係る建物にフィットネスクラブ導入を計画していることを説明し,同建物に振動障害が生じないかどうか設計事務所または建設業者に質問し,回答を得ておく等の義務を負っていたとは認められないとされた事例
2 公有地信託事業に係る信託契約において,受託者である信託銀行が,信託に係る建物のテナント誘致に際し,事業計画に記載されたとおりの入居率を実現する義務を負っていたとは認められないとされた事例
第9章 東京都による株式会社新銀行東京(以下「新銀行東京」)への出資金が回収不能になったとして,原告ら(東京都の住民)が,計画を推進した元東京都知事と旧経営陣ら5人(以下「本件相手方ら」)に対し,損害賠償を請求するよう東京都に求めた事案(住民訴訟)。
第10章 公共工事の発注者が同工事の受注者に対する違約金債権および余剰前払金返還請求権を自働債権とし、同受注者から公共工事代金信託契約に基づき発注者に対する請負代金債権の信託譲渡を受けた受託者に対する当該請負代金債権を受働債権とする相殺がその後に受注者に破産手続が開始された場合において認められた事例
第11章 1 年金特定信託契約の受託者において、投資先の運用手法等の事項に関して説明義務の懈怠が生じる場合
2 年金特定信託契約の受託者が監査報告書を入手して確認しなかったことについて善管注意義務違反が認められないとした事例
第12章 曾祖父が信託銀行に対してひ孫に対する非課税となる教育資金の贈与を信託するために必要な金員を預け入れた後に死亡した場合と非課税となる教育資金贈与信託契約の成否(消極)