特定多目的ダム法に関する裁判例を網羅しています。
特定多目的ダム法
(昭和32年法律第35号)
同法は、多目的ダムの建設・管理に関して、河川法(昭和39年法律第167号)の特例を定めるとともに、ダム使用権を創設し、もって多目的ダムの効用をすみやかに、かつ、十分に発揮させることを目的とする法律です。
通称・略称は、特ダム法。
同法は、行政法、環境法、災害法の1つです。
関連法令として、河川法などがあります。
目次
第1部 民事訴訟事件・最高裁判例
第1章 徳島県が指定した多目的ダムの操作規則、操作細則が水害当時合理性を欠いていたとはいえないとして、ダムの設置・管理に瑕疵はないとされた事例
2 洪水時における多目的ダムの管理事務所長の操作に過失がないとされた事例
第2部 民事訴訟事件・地裁判例
第1章 1、多目的ダムの洪水調節容量が昭和47年7月時点で4200万立方メートルのままであったことをもって、ダムの設置または管理に瑕疵があったとは認められないとした事例
2、洪水時において多目的ダムの洪水調節容量の2分の1程度まで毎秒900立方メートルの一定量放流とする方式に合理性があったとした事例
3、多目的ダムの管理者が放流により下流水位の急上昇を見る場合にサイレン吹鳴等の周知義務を怠ったとしても、地方自治体による立退指示が適切になされているため、右懈怠と損害との間に相当因果関係がないとした事例
第2章 2級河川厚東川の水害について、ダムの放流量調節に過誤があったとの主張は排斥されたが、ダム操作規則所定の放流の通知、周知に怠りがあり、右懈怠はダムの管理の瑕疵にあたると認められた事例
第3章 新成羽川ダム水害訴訟につき、損害賠償請求が棄却された事例
第4章 紀伊半島に上陸した台風11号の豪雨によって,床上浸水等の被害が生じ,ダムの設置及び管理に瑕疵があったとする,損害賠償請求を認めなかった事例
第5章 ダムの試験貯水で地滑りが起き,移転を強いられた元住民らの国に対する損害賠償請求訴訟
第3部 行政訴訟事件・高裁判例
第1章 3つの事業からなる国営の土地改良事業(農業用用排水事業、区画整理事業及び農地造成事業)の変更計画に対し、土地改良法87条の3第1項に定められた3条資格者の3分の2以上の同意が得られていないとして、3事業のうち農業用用排水事業及び区画整理事業に関する変更計画が違法であるとされた事例
第2章 建設大臣(当時)がした1級河川木曽川水系徳山ダム建設工事及びこれに伴う附帯工事に関する事業認定処分は,その裁量に濫用・逸脱は認められず適法であり,また,これを前提としてγ1がした権利取得裁決及び明渡裁決も適法であるとして,これらの取消請求がいずれも否定された事案
第3章 東京都水道局長が八ツ場ダムに関して特定多目的ダム法7条1項及び同法施行令11条の3の規定に基づく国土交通大臣による納付通知を原因として行った同法に基づく建設費負担金の支出が,財務会計法規上の義務に違反する違法なものとは認められない
第4章 設楽ダム公金支出差止等請求,ダム公金支出差止請求各控訴事件
第5章 千葉県の住民である控訴人らが,国を事業主体として着工中の八ツ場ダムは,千葉県の水道事業に不要で,負担金の支出等は地方自治法等に違反すると主張し,建設費負担金等の支出の差止め等を求めた控訴審の事案。
第6章 利根川水系におけるダム建設の3事業に関し,栃木県内の住民等である控訴人・1審原告(以下「控訴人」)らが被控訴人・1審被告(栃木県知事・以下「被控訴人」)に対し,利水負担金,治水負担金等の各支出が違法な公金の支出に当たるとして,差止め等を求めた事案の控訴審。
第7章 1 地方公営企業管理者がダム使用権設定申請を取り下げる権利の行使を怠る事実が違法であることの確認を求める訴えが不適法であるとして却下された事例
2 地方公営企業管理者のダム建設のための建設費負担金の支出及び知事のダム建設に係る受益者負担金等の支出の違法性が否定された事例
第8章 埼玉県の住民ら(控訴人ら)が,八ツ場ダム建設工事について,同ダムは治水上及び利水上の必要性がなく,同事業に関する各種負担金等の支出が違法であるなどとして,被控訴人埼玉県公営企業管理者らに対し,各種負担金の支出の差止め及び違法の確認並びに損害賠償等を求めた事案の控訴審
第9章 木曽川水系連絡導水路事業公金支出差止請求控訴事件
第4部 行政訴訟事件・地裁判例
第1章 1、土地収用法第20条の事業認定と取消訴訟
2、特定多目的ダム法第4条の基本計画の欠如と土地収用法第20条の事業認定
3、土地収用法第20条各号の要件の存否と自由裁量
4、事業認定の本質と準備行為の省略
5、土地収用法第22条、第23条の事前手続の欠如と事業認定
第2章 土地収用法第47条第2号にいう「事業認定申請書に添附された事業計画書に記載された計画と著しく異なるとき」に当たらないとされた事例
第3章 土地収用法による事業認定の違法を後の収用委員会の裁決に対する抗告訴訟において主張することの可否
第4章 河川法56条1項に基づき建設大臣のした河川予定地指定行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか
第5章 特定多目的ダム法4条1項に基づき建設大臣が作成した多目的ダムの建設に関する基本計画は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか
第6章 二風谷ダム事件
第7章 1 土地収用法20条3号の要件該当性の判断基準
2 土地収用法20条3号の要件該当性に関する事業認定者の判断が違法となる場合
3 土地収用法20条4号の審査に当たり考慮される事情
4 事業計画が土地収用法20条3号及び4号の要件を満たしているとした建設大臣の判断に裁量権の逸脱濫用がなく,事業認定が適法であるとされた事例
第8章 国土交通省が建設を進める八ツ場ダムをめぐり,利水・治水上の必要性がないのに負担金を支出するのは違法であるとして,群馬県企業管理者に対し,負担金支出負担行為等差止及び同ダム使用権設定申請取下権行使を怠ることの違法確認,知事に対する繰出金支出差止及び同ダム建設事業に関する支出を行った県企業管理者又は県知事らに損害賠償を求めた住民訴訟の事案で,水害防止のためにダムの必要性を肯定することができ,ダム建設は適法な事業と認められるとして,違法確認の訴えは不適法であるから却下し,その余の請求を棄却した事例
第9章 滋賀県の住民らが,河川法16条の2所定の河川整備計画が策定されていない芹谷ダム及び北川第1ダム事業を実施することは,違法であると主張して,被告に対し,芹谷ダム及び北川第1ダム事業に関する公金の支出,契約の締結又は債務等の義務の負担の差止めを求めた住民訴訟の事案
第10章 国が他県に計画するダム建設事業負担金をめぐり,ダム使用権設定予定者として,県が支出するのは違法として住民の県知事らに対する負担金の返還等請求住民訴訟において,ダムによる水源の確保が必要との判断は合理的な裁量範囲で,治水上の利益がないとは言えず県の負担金支出を適法とし,原告らの請求を棄却した事例
第11章 設楽ダム公金支出差止等請求事件(甲事件)、ダム公金支出差止請求事件(乙事件)
第12章 国が建設予定の八ツ場ダムに利水・治水上の利益はなく,関係都県ごとに定められた負担金の支出は違法であるとして,知事らに対する負担金支出差止と支出済み分の損害賠償請求住民訴訟において,原告らの主張は1つの評価に過ぎず,負担金の支出は合理性を著しく欠いているとは認めらないとして,請求を棄却した事例
第13章 「成瀬ダム」公金支出差止等請求事件,同参加事件
第14章 天ヶ瀬ダム再開発事業公金支出差止等請求事件