津波対策推進法に関する裁判例を網羅しています。
津波対策推進法の正式名称は、
津波対策の推進に関する法律
(平成23年6月24日法律第77号)
です。
国や自治体に対し、津波対策の推進、防波堤や避難施設の整備、迅速な避難の確保、観測体制の強化などを求める法律です。
同法は、行政法、災害法の1つです。
関連法令として、災害対策基本法などがあります。
目次
第1章 福島第一原発事故による放射性物質により汚染されたとして,同県及び隣接3県に居住していた原告ら3800余名が,被告ら(国・東電)に対し,①原状回復請求(空間放射線量を本件事故前の値以下に),②民法709条・国賠法3条1項等に基づく損害賠償,③ふるさと喪失による慰謝料等を求めた集団(生業)訴訟。
第2章 伊方原発3号機運転差止めの仮処分申立却下決定に対する即時抗告事件において,「原子力発電所の火山影響評価ガイド(火山ガイド)」は原子力規制庁がまとめた「原子力発電所の火山影響評価ガイド(火山ガイド)における設計対応不可能な火山事象を伴う火山活動の評価に関する基本的な考え方について」を踏まえて解釈適用する以上は合理性があるなど,原子力規制委員会の新規制基準及び同基準への適合性の判断には合理性があり,被保全権利の疎明はないとして,抗告を棄却した事例
第3章 本件は,平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(以下「本件地震」という。)に伴う津波(以下「本件津波」といい,本件地震及び本件津波による災害を総称して「東日本大震災」という。)の影響で,被告東電が設置運営する福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)において,建物・設備が損壊し放射性物質が放出されるという事故(以下「本件事故」という。)が発生したために,放射能汚染が広範囲に広がり,居住地からの避難を余儀なくされたとする原告らが,被告らにおいて,福島第一原発の敷地高を超える津波を予見することが,主位的には遅くとも平成18年頃までに,予備的に平成20年1月ないし4月頃までには可能であったところ,上記各時点で必要な津波防護対策を施していれば,本件事故を回避することが可能であったと主張して,①被告東電については,原子力損害の賠償に関する法律(以下「原賠法」という。)3条1項又は民法709条に基づき(選択的主張),②被告国については,規制権限の不行使を理由として国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき,それぞれ損害賠償責任が生じ,両者は不真正連帯債務の関係にあるとして,被告らに対し,原告らに生じた損害(精神的損害として,避難生活に伴う慰謝料1人当たり月額35万円,いわゆるふるさと喪失・生活破壊慰謝料1人当たり2000万円,財物損害として不動産損害〈全期間固定金利住宅ローンであるフラット35利用者の不動産取得費の全国平均額を基準とするもの〉,家財損害〈損害保険料率算定機構の算定に基づく世帯構成別の家財所有額の全国平均額を基準とするもの〉,その他の各種損害の合計額)の一部金(明示の一部請求)及びこれらそれぞれの請求額に対する本件事故発生日である平成23年3月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求めた事案である。
第4章 東京電力福島第一原発事故で福島県内の避難指示区域外から千葉県内等に自主避難した原告らが,被告東電に対しては,敷地高さを超える津波の発生等を予見しながら,安全対策を怠ったとして,主位的に民法709条,予備的に原賠法3条1項により,被告国に対しては,被告東電に対し規制権限を行使しなかったことが違法であるなどとして,国賠法1条1項により,損害賠償金の連帯支払を求めた事案。
第5章 被告東京電力が運営の本件原発から放射性物質が外部放出された事故の発生で,福島県から山形県に自主避難するなどした原告らが損害を被ったとして,①東電には,主位的に不法行為,予備的に原賠法に基づき,②被告国には,国賠法に基づき,各賠償を求めた事案。