国際船舶・港湾保安法に関する裁判例を網羅しています。
国際船舶・港湾保安法の正式名称は、
国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律
平成16年法律第31号
です。
国際海事機関におけるSOLAS条約(海上人命安全条約)を受けたもので、国際航海船舶や国際港湾施設に自己警備としての保安措置義務付けや日本に入港しようとする外国船舶に船舶保安情報の通報義務付けや危険船舶に対して海上保安庁が入港禁止等の措置を行うことを規定しています。
同法は、海事法の1つです。
関連法令として、船舶法、港湾法、船舶油濁損害賠償保障法などがあります。
目次
第1章 港運会社である原告が,被告(国)に対し,国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律等に規定する事項を対馬海上保安部に通報した後,県条例で義務付けられる岸壁の港湾施設使用許可を対馬市から受けた段階で,同使用許可を受けたと再通報をする義務のないことの確認を求めた事案。裁判所は,本件船舶が,厳原港に入港し,その後出港していることから,再通報に係る目的を既に達成し,原告には再通報義務不存在について確認の利益を欠くとして,訴えを不適法とし,却下した。
第2章 本件は,船舶代理業を営む原告が,厳原港に入港を予定する船舶の船長を代理して,国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律(以下「法」という。)44条1項に基づく通報を行ったにもかかわらず,対馬海上保安部の海上保安官が,上記通報がないまま上記船舶を厳原港に入港させた法違反があるものとして上記船長に対する警告を行ったことが国家賠償法上違法であり,上記船舶所有者から船舶代理料金の支払を受けられないという損害を被ったとして,被告に対し,船舶代理料金等の支払を求めている事案である。