人質強要行為処罰法に関する裁判例を網羅しています。
人質強要行為処罰法の正式名称は、
人質による強要行為等の処罰に関する法律
昭和53年5月16日法律第48号
です。
同法は、人質を用いて強要行為を行う犯罪を処罰する。
通称・略称は、人質強要行為処罰法。
同法は、刑事法、特別刑法の1つです。
関連法令として、刑法、ハイジャック防止法などがあります。
目次
第1章 銀行支店店舗内で女性客に刃物を突きつけて人質に取り、人の呼出、物の提供等を要求した行為が、人質による強要行為等の処罰に関する法律1条1項の罪に当たるとした事例
第2章 前科前歴のない被告人による被殺者1名の殺人,わいせつ略取,人質による強要行為等の処罰に関する法律違反,強姦および拐取者身の代金取得等被告事件につき,検察官の死刑求刑に対して被告人を無期懲役とした1審判決について,死刑をもって臨むのもやむを得ない事案であり,1審判決は量刑判断を誤ったものであるとしてこれを破棄し,被告人に死刑を言い渡した事例
第3章 金銭に窮した被告人が,保育園に侵入した上,園児の身代わりになった女性保育士を人質に取り,現金を取得する際に凶器として用いるための包丁等を要求したという建造物侵入,人質による強要行為等の処罰に関する法律違反の事案について,弁護人の量刑が重いとの主張に対し,園児らに怪我のないこと等の情状を酌量し,強盗罪の法定刑と比較すると原判決は重いと認定して,原判決を破棄し,懲役4年に処した事例
第4章 被告人が,被害者Dを強姦すると共に自己の妻子との面会を強要するための人質にする目的で,略取した上監禁して,強姦し,逃走しようとした同女を殺害等した後,同女の両親に身の代金を要求交付させたというわいせつ目的略取,人質による強要行為等の処罰に関する法律違反,強姦,殺人,窃盗および拐取者身の代金取得等の事案で,無期懲役に処し,終生被害者の冥福を祈らせつつ,自ら,その罪を償う道を歩ませることが相当であるとした事例
第5章 被告人が,報道機関の支店に侵入し,受付係の女性に包丁を突きつけて人質にし,責任者との面会を要求し,その際,正当な理由なく包丁を携帯した事案
第6章 乗客ら合計34名を人質としたいわゆるバスジャック事件について,懲役4年の実刑判決が言い渡された事例
第7章 停車中の路線バス車内で,乗客女性に対し,携帯の果物ナイフの刃先を向け示すなどして,乗客女性と運転手をバス車内に監禁して人質にとり,義務のない行為を要求する等した人質による強要行為等の処罰に関する法律および銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件で,弁護人は犯行当時被告人は心神耗弱の状態にあったとして争った事案。
第8章 被告人は,走行中の路線バス内で,運転手・乗客合計10名を監禁した上,その内4名を人質にして,警察官らに対し,義務のない行為をすることを要求したとする人質による強要行為等の処罰に関する法律違反被告事件。
弁護人は,被告人の責任能力につき争った。
第9章 被告人が,被害者(女性)を人質として居宅に立てこもったなどとして人質強要処罰法違反などの罪に問われた事案。
弁護人は無罪を主張して争った。
第10章 正当な理由がないのに,店長Cが看守する建物に1階店舗部分出入口から侵入し,午前8時31分頃から午後2時26分頃までの間,同建物3階居宅部分において,D(当時6歳)の身体を背後から抱え込みながら持っていた柳刃包丁(刃体の長さ約28.5センチメートル)および出刃包丁(刃体の長さ約18.3センチメートル)を同人に突き付け,同人およびE(当時3歳)の動静を監視するなどして同人らを不法に逮捕監禁し,その間,福岡県a警察署警察官Fらに対し,「あいつを呼べ。呼ばんと子供を殺すぞ。」「いいから,あいつを呼んでこい。呼ばんと本当に殺すぞ。1人刺し殺されても,もう1人は助けられるかもな。」などと言い,DおよびEを人質にして同人らの父であるBを同建物3階居宅部分に連れて来ることなど義務のない行為をすることを要求し,前記逮捕監禁の際,柳刃包丁および出刃包丁を突き付けたことによりDに加療約10日間を要する右手指(第3指・第4指)切創,左手部切創,後頚部切創の傷害を負わせた事案。