会計知識一般論ではなく、弁護士が 訴訟場面、訴訟場面外問わず、“紛争解決”をするために、 自己の案件で主張・立証の根拠となる決算書の読み方が事件類型ごとにわかる唯一の書。
定価
3,300円
(本体:3,000円)
編著者名
広島弁護士実務研究会 編著
最初の規制
発刊年月日 2021-05-10
判型 A5判/C2032
ページ数 256
商品概要
弁護士が知っておきたい決算書の読み方や財務諸表の入手方法等といった「財務会計に関する基礎知識」を前半の総論で解説したうえで、後半の各論部分では、個別の事件処理に決算書がどのように活用できるのか、8つの事件類型ごとに、具体的なケースを想定したQ&A形式で解説。
総論部分で、会社法の事件、各論で8つの事件類型に言及している。
離婚事件の財産分与、婚姻費用・養育費、遺産分割、破産、私的整理、交通事故事件、労働・整理解雇、民事執行、事業承継
事件類型別の各論に期待して購入したが、以下のような問題意識についても言及してほしかった。
会社法・金融商品取引法の事件では、会社に対する取締役の損害賠償責任(株主代表訴訟を含む)、粉飾決算の第三者に対する取締役の損害賠償責任なども問題になる。
取締役に計算書類・会計帳簿の閲覧謄写権を認めない場合の弊害と対抗手段
減価償却費および役員報酬と借入金との関係
整理解雇で、東京地裁労働部は、会社側に、書証として法人税申告書3期分の提出を求めているが、債権者に過ぎない労働者の事件について、そのような訴訟指揮が適切か(計算書類・会計帳簿閲覧謄写権の対象の範囲との関係)
目次
Ⅰ 総論
1 財務諸表の基礎知識
(1) はじめに~「決算書」と聞いてイメージするものは? ~
(2)実務の中で「決算書」と呼ばれることがある会計書類
COLUMN 簿記の勉強は必要?
(3)会社における「決算書」の作られ方
ア 会計帳簿を構成する1 つひとつの「仕訳」
イ 会計帳簿を構成するもの
ウ 会社法に基づいてつくられる「計算書類」
(4)財務三表の機能
(5)「決算書」の見方・扱い方
(6)決算書と会計帳簿等の保存義務
COLUMN 個人事業が「法人成り」をする理由
2 決算書と法人税申告書別表等の読み方
(1)法人税申告書別表・法人事業概況説明書
ア 法人税申告書別表
イ 法人事業概況説明書
(2)決算書を読み解く勘所
ア 決算書を疑え
イ 簿価と時価
ウ 勘定科目内訳書をみてみよう
エ 資産科目で留意すべきポイント
オ 負債科目で留意すべきポイント
COLUMN 個人事業が「法人成り」しているときの留意点
3 証拠としての財務諸表
(1)決算書から何が読み取れるのか
ア 決算書に書いてあることとその役割
イ 決算書に記録されたもの-作成者の認識-
ウ 決算書を利用する者にとって必要な補足や修正
(2)決算書のどこを証拠として提出するのか
ア 証拠として必要な部分と信用性を支える部分
イ 提出を求めるべき範囲
(3)要証事実との関係性
ア 決算書は報告文書である
イ 決算書の作成者は誰か
(4)証書としての提出のしかた
ア 書類の全部を提出するとき
イ 書類の一部を提出するとき
ウ 書類の一部を全部であるかのように誤信させる行為
エ 書証として提出したものを第三者に閲覧されたくない場合
(5)決算書の信用性と証明力
ア 決算書の信用性
イ 決算書の証明力と具体例
COLUMN 弁護士等の実務法曹が会計知識を身につけていく方法!?
4 財務諸表の入手方法
(1)相手方が決算書を出さないとき
ア 株主としての権利(会計帳簿等閲覧謄写請求権)
COLUMN 取締役等の役員に会計帳簿等の閲覧謄写権限はあるか
イ 株主・利害関係者としての権利(計算書類等閲覧謄写請求権)
ウ その他の方法により裁判外で決算書を入手する方法
エ 裁判上の手続によって相手方から決算書を提出させる方法
オ 裁判上の手続によって相手方以外から相手方または第三者の決算書を入手する方法
COLUMN 資本金の決め方
Ⅱ 各論
1 離婚事件
(1) 財産分与
(2) 婚姻費用・養育費
COLUMN 保険積立金
2 遺産分割
(1) 遺産に株式がある場合
(2) 遺産に会社に対する貸付金がある場合
(3) 被相続人が会社の保証人だった場合
COLUMN 役員の報酬と退職慰労金
3 破産
申立代理
4 私的整理
私的整理における決算書の検討
COLUMN 過年度の赤字を疑え
5 交通事故事件
(1)会社役員の交通事故
(2)個人事業主の交通事故
6 労働
整理解雇
7 民事執行
民事執行における決算書等の説明
8 事業承継
事業承継における決算書の検討