ハーグ条約実施法に関する裁判例のうち、最高裁判例・高裁判例を網羅しています。
ハーグ条約実施法の正式名称は、
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律
平成25年6月19日法律第48号
同法は、民法、家族法、身分法、親子法、離婚法、国際私法の1つです。
目次
第1部 最高裁判例
第1章 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき子の返還を命じた終局決定が同法117条1項の規定により変更された事例
第2章 1 国境を越えて日本への連れ去りをされた子の釈放を求める人身保護請求において,意思能力のある子に対する監護が人身保護法及び同規則にいう拘束に当たるとされた事例
2 国境を越えて日本への連れ去りをされた子の釈放を求める人身保護請求において,拘束者が国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づく子の返還を命ずる終局決定に従わないまま子を監護することにより拘束している場合における,拘束の顕著な違法性
第3章 ハーグ条約実施法の規定する子の返還申立事件に係る家事調停における子を返還する旨の定めと同法117条1項の類推適用
第2部 高裁判例
第1章 ハーグ条約実施法28条1項4号及び5号の返還拒否事由の主張を排斥し,子の常居所地国(アメリカ合衆国)への返還を命じた事例
第2章 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,子のトルコ共和国への返還を命じた原決定を取り消して,同法28条1項4号の返還拒否事由を認めて,子の返還申立てを却下した事例
第3章 相手方による不法な留置の開始がハーグ条約実施法施行後であると認定した上,同法28条1項3号の返還拒否事由の主張等を排斥して,子の常居所地国(カナダ)への返還を命じた事例
第4章 子の常居所地国であるシンガポールにおいて,両親に共同監護権を与えつつも,母が子を日本に転居させることを許す条項を設けた離婚判決につき,当該条項の削除を求める裁判手続が係属していた状況で,母が子とともにシンガポールから日本に転居した事案
第5章 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である抗告人が,母である相手方に対して,子をその常居所地国であるフランス共和国に返還するよう求めた事案
第6章 父が,母に対し,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,子をその常居所地国であるオーストラリア連邦に返還することを求めた事例
第7章 子の常居所地国を米国と認定した上で,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律28条1項5号の返還拒否事由の主張等を排斥して,子の米国への返還を命じた事例
第8章 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である相手方が,母である抗告人に対して,子をその常居所地国であるシンガポール共和国に返還するよう求めた事案
第9章 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である抗告人が,母である相手方に対して,子をその常居所地国であるシンガポールに返還するよう求めた事案において,法28条1項3号(留置についての同意又は承諾)及び同項4号(重大な危険)の各返還拒否事由があると認められることから,子の返還申立てを却下した原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例
第10章 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である相手方が,母である抗告人に対して,子をその常居所地国であるロシア連邦に返還するよう求めた事案において,原決定後にロシア国内の裁判所が,子の居住地を抗告人の下とし,抗告人が子を連れてロシアから日本へ出国することを許可する決定をしたことにつき,法28条3項ただし書に基づき,同決定の理由が,子の返還事由の判断に影響しないかを検討した上で,返還拒否事由があるとは認められないことから,子の返還を命じた原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例
第11章 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である相手方が,母である抗告人に対して,子をその常居所地国であるブラジル連邦共和国に返還するよう求めた事案において,同国が子の常居所地国であると認めた上で,法28条1項3号(子の連れ去りの同意又は承諾),同項4号(重大な危険)等の返還拒否事由があるとは認められないことから,子の返還を命じた原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例
第12章 本件は,本件子の父である抗告人が,母である相手方に対し,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,本件子をスリランカに返還するよう求める事案である。
第13章 本件は,子(以下「本件子」という。)の父であり,アメリカ合衆国(以下「アメリカ」という。)に居住する抗告人が,本件子の母である相手方は,アメリカを常居所地国とする本件子を日本国に留置し,そのため,抗告人の本件子についての監護の権利が侵害されたなどと主張して,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(以下「法」という。)26条に基づき,相手方に対し,アメリカに本件子を返還することを命ずるよう家庭裁判所に申し立てた事案である。
原決定は,本件子の返還を命ずると相手方が自殺を企図する可能性が高く,本件子を母との死別という耐え難い状況に置くことになる重大な危険があるなどとして,抗告人の申立てを却下したので,これを不服とした抗告人が即時抗告をした。
第14章 本件は,子(C,本件子)の父である相手方(昭和48年■月■■日生)が,本件子の母である抗告人(昭和56年■月■■日生)に対し,抗告人による日本国への連れ去りにより本件子についての監護の権利を侵害されたと主張して,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(法)に基づき,本件子をフィリピン共和国(フィリピン)に返還するよう求めた事案である。
これに対し,抗告人は,本件子の常居所地国はフィリピンではなく,これが認められたとしても,常居所地国に子を返還することによって,子の心身に害悪を及ぼすことその他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があることという返還拒否事由(法28条1項4号)があると主張した。
第15章 本件は,本件子の母である相手方が,本件子の父に対して,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(法)に基づき,本件子を米国に返還するよう求める事案である。原審は,本件子の常居所地国が米国であると認め,米国に返還することにより本件子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があるとは認められないとして,本件子を米国に返還することを抗告人に命じる決定(原決定)をした。抗告人はこれを不服として即時抗告をした。
第16章 本件は,夫婦間で婚姻中に別居し,又は離婚して別居した結果,未成年の子と別居している親(以下「別居親」という。)の立場にある,又はその立場にあった控訴人ら(原審原告ら)が,憲法上保障されている別居親の子との面会交流権の権利行使の機会を確保するために立法措置を執ることが必要不可欠であり,それが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたり立法措置を怠ってきたことは,国家賠償法1条1項上の違法な行為に該当すると主張して,被控訴人(原審被告)に対し,各50万円又は100万円の慰謝料の支払及びこれらに対する不法行為後の日である訴状送達の日の翌日(平成30年4月11日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。