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2021年08月12日
令和3年4月1日施行高年齢者雇用法改正

少子高齢化が急速に進展し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境の整備を目的として、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が改正され、令和3年4月1日から施行されています。

※この改正は、定年の70歳への引上げを義務付けるものではありません。

 

70歳までの就業機会の確保のために事業主が講ずるべき措置(努力義務)等について~

65歳までの雇用確保(義務)に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務を新設。(令和3年4月1日施行)

① 70歳までの定年引き上げ

② 定年制の廃止

③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入

(特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)

④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入

a.事業主が自ら実施する社会貢献事業

b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

※対象事業主:当該労働者を60歳まで雇用していた事業主

○ 60歳未満の定年禁止 (高年齢者雇用安定法第8条)

事業主が定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上としなければなりません。

○ 65歳までの雇用確保措置 (高年齢者雇用安定法第9条)

定年を65歳未満に定めている事業主は、以下のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じなければなりません。

① 65歳までの定年引き上げ

② 定年制の廃止

③ 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)を導入

継続雇用制度の適用者は原則として「希望者全員」です。

※ 平成25年4月1日までに労使協定により制度適用対象者の基準を定めていた場合は、その基準を適用できる年齢を令和7年3月31日までに段階的に引き上げなければなりません(平成24年度改正法の経過措置)。

※対象事業主:当該労働者を60歳まで雇用していた事業主

高年齢者雇用確保措置の実施に係る公共職業安定所(ハローワーク)の指導を繰り返し受けたにもかかわらず何ら具体的な取り組みを行わない企業には、勧告書の発出、勧告に従わない場合は企業名の公表を行う場合があります。

高年齢者雇用安定法は、少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図る法律です。

 

Ⅰ 高年齢者雇用安定法について

改正のポイント ~70歳までの就業機会の確保(努力義務)~

これまでの高年齢者雇用安定法 ~65歳までの雇用確保(義務)~

高年齢者雇用安定法第11条に基づく高年齢者雇用推進者(*)の業務に、高年齢者就業確保措置の推進も追加されます。また、名称も高年齢者雇用等推進者に変更になっています。

*各企業で選任することが努力義務とされている、作業施設の改善その他の諸条件の整備を図るための業務を担当する者。

Ⅱ 高年齢者就業確保措置について

高年齢者就業確保措置の努力義務を負う事業主:

定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主

65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く。)を導入している事業主

以下の①~⑤のいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講ずるよう努める必要があります(努力義務)。

過半数労働組合等とは?

労働者の過半数を代表する労働組合がある場合にはその労働組合、そして労働者の過半数を代表する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者を指します。

<過半数を代表する者を選出する際の留意事項>

・労働基準法第41条第2号に規定する監督または管理の地位にある者でないこと

・創業支援等措置の計画に関する同意を行うことを明らかにして実施される投票、挙手等

の方法による手続きで選出された者であって、事業主の意向に基づき選出された者でないこと

 

Ⅱ 高年齢者就業確保措置について

留意点1:対象者基準について

高年齢者就業確保措置は努力義務ですから、対象者を限定する基準を設けることが可能です(P2の①②を除く)。ただし、対象者基準を設ける場合には、次の事項に留意する必要があります。

○ 対象者基準の内容は、原則として労使に委ねられるものですが、事業主と過半数労働組合等との間で十分に協議した上で、過半数労働組合等の同意を得ることが望ましいこと。

○ 労使間で十分に協議の上で設けられた基準であっても、事業主が恣意的に高年齢者を排除しようとするなど法の趣旨や、他の労働関係法令・公序良俗に反するものは認められないこと。

※H24年改正法の経過措置に基づく対象者基準も同じ考え方です。

【不適切な例】

・会社が必要と認めた者に限る⇒ 基準がないことと等しく、改正の趣旨に反する

・上司の推薦がある者に限る ⇒ 〃

・男性(女性)に限る ⇒ 男女差別に該当

・組合活動に従事していない者に限る ⇒ 不当労働行為に該当

○ 高年齢者就業確保措置の5つの措置のうち、いずれの措置を講ずるかについては、労使間で十分に協議を行い、高年齢者のニーズに応じた措置を講じていただくことが望ましいです。

○ P2に記載の①~⑤のいずれか一つの措置により70歳までの就業機会を確保することのほか、複数の措置により70歳までの就業機会を確保することも可能です。

個々の高年齢者にいずれの措置を適用するかについては、当該高年齢者の希望を聴取し、これを十分に尊重して決定する必要があります。

○ 過半数労働組合等の同意が必要または望ましい手続きは、以下のとおりです。

留意点2:労使で協議すべき事項

必要 ・創業支援等措置のみを講ずる場合の実施に関する計画

望ましい ・創業支援等措置と雇用の措置の両方を講じる場合の創業支援等措置の実施に関する計画

・対象者基準を設ける場合の基準の内容 (上記留意点1)

○ 高年齢者が定年前とは異なる業務に就く場合には、新しく従事する業務に関して研修、教育、訓練等を行うことが望ましいです。特に、雇用による措置(①定年引き上げ、②定年制の廃止、③継続雇用制度の導入)を講じる場合には、安全または衛生のための教育は必ず行ってください(創業支援等措置を講じる場合にも安全または衛生のための教育を行うことが望ましいです。)。

○ 労働災害による休業4日以上の死傷者数のうち、60歳以上の労働者の占める割合が増加傾向であることも踏まえて、高年齢者が安全に働ける環境づくりのため、高年齢者就業確保措置(創業支援等措置を含む)により働く高年齢者について、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」を参考に、職場環境の改善や健康や体力の状況把握とそれに応じた対応など、就業上の災害防止対策に積極的に取り組むことが望ましいです。

○ 継続雇用制度、創業支援等措置を実施する場合において、以下の事項等を就業規則や創業支援等措置の計画に記載した場合には、契約を継続しないことが認められます。(※65歳までの継続雇用制度も同様の考え方です。)

・心身の故障のため業務に堪えられないと認められること

・勤務(業務)状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責(業務)を果たし得ないこと

○ シルバー人材センターへの登録や、再就職・ボランティアのマッチングを行う機関への登録などは、高年齢者の就業先が定まらないため、高年齢者就業確保措置を講じたことにはなりません。

○ 就業確保措置(創業支援等措置を含む)において支払われる金銭については、制度を利用する高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮して、適切なものとなるよう努めることに留意する必要があります。(65歳までの継続雇用制度における賃金も同様の考え方です。)

 

留意点3:その他

【参考】高年齢労働者の安全衛生対策について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/

roudoukijun/anzen/newpage_00007.html

パンフレット「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」

https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000623027.pdf

 

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