地方独立行政法人法に関する裁判例を網羅しています。
地方独立行政法人法
平成15年7月16日法律第118号
地方独立行政法人の運営の基本などの制度の基本事項を定め、制度の確立、地方独立行政法人が公共上の見地から行う事務、事業の確実な実施を目的としています。
同法は、行政法、行政組織法です。
関連法令として、地方独立行政法人法施行令、地方独立行政法人法施行規則、地方自治法、独立行政法人通則法、国立大学法人法などがあります。
目次
第1部 民事訴訟事件
第1章 生体肝移植を受けた患者にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の感染徴候が見られたにもかかわらず,適時に細菌培養検査をせず,抗生物質の投与を再開するのが遅れたとして,被告に責任があるとされた事例
第2章 心機能障害を有し,真珠腫性中耳炎に罹患した患者に対する説明義務違反及び経過観察義務違反を認めた上で,同義務違反と死亡との間の因果関係を肯定した事例
第3章 公立大学(名古屋市立大学大学院)の在学契約の予約における学生の意思表示に要素の錯誤があったとして在学契約の予約を無効とした事例
第4章 被告大学の准教授の地位にあった原告が,被告がなした懲戒解雇処分を無効として,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め,処分が有効であるとしても,退職金を支給しないことは違法であると主張し,その支給を求めた事案について,判決は,セクシュアル・ハラスメントを懲戒事由とする本件懲戒解雇処分には客観的に合理的な理由があり,原告に永年の功労があったとしても,ハラスメントはこれを抹消してしまうほど著しく信義に反し,退職金不支給規定が適用されるべきであるとして,請求を棄却した。
第5章 本件は,原告(被告大学教授)が,被告大学の女子学生に対するセクハラ等を理由に被告から諭旨解雇されたことを不服として,雇用契約上の地位にあることの確認,未払賃金及び未払賞与の支払,不法行為(名誉毀損)による損害賠償などを請求した事案である。裁判所は,原告には女子学生に対するセクハラなど懲戒事由が存在し,本件諭旨解雇は,権利濫用とはいえないなどとした上で,懲戒事由が公表され,原告の社会的評価が低下したとしても,何ら違法性を有するものではないとして,各請求を棄却した事例
第6章 1 公立病院の医師が病院長による退職勧奨行為及び他病院への配転命令は違法であるとして提起した国家賠償請求が棄却された事例
2 公立病院の病院長による地元医師の加入するメーリングリストに対する投稿行為が国家賠償法1条1項の「職務を行うについて」に当たるとして,病院長個人に対する損害賠償請求が棄却された事例
第7章 タクシー(Y1運転,Y2使用者)と,原付自転車(X1運転)の衝突事故で,X1が負傷し,搬送されたY3病院で受けた手術に過誤があり後遺障害が残ったとして,X1と両親が,Yらに対し,損害賠償を求めた事案
第8章 被告大学の教授として勤務していた原告が,被告がした停職処分及び准教授への降任処分は違法として,処分の無効確認,平成23年度の講義,演習の指導担当者の地位確認及び損害賠償を求めた事案。
裁判所は,原告の女子学生に対する一定のセクハラ行為を認め,就業規則上の懲戒・降任事由に該当するとしたが,准教授への降任処分は,社会通念上相当とは言えず,人事権濫用とした。但し,降任処分等は,適切な調査と審議を経ており,不法行為は構成しないとし,准教授への降任処分の無効確認と,それにより減じられた給与及び賞与の請求のみを認容した事例
第9章 控訴人(1審被告)公立大学法人都留文科大学の職員であった被控訴人(1審原告)らが,退職手当を一方的に減額したとして,未払退職金及び不法行為に基づく慰謝料の支払を求めた事案の控訴審
第10章 D学長およびE学部長ならびにY法人としての解雇の意思表示を議決した懲戒等審査委員会は,本件解雇に至るまでに,大学教員であるXが引き起こした問題の背景にアスペルガー症候群が存在することを前提として,解雇事由の判断を審査したり,Xに必要な配慮の調査,解雇以外に雇用を継続するための努力の検討がなされていないことから,Xに対して行ってきた配慮がY法人の限界を超えていたと評価することは困難であるとされた例
第11章 被告京都市から京都市立病院院内保育園の運営を委託されていた運営委員会との間で保育士として雇用契約を締結していた原告らが,保育園の運営委託先が新たな民間業者に変更された際に採用されなかったとして被告らに対し損害賠償を求めた事案
第12章 被控訴人が,控訴人に対し,①停職処分の無効確認,②雇用契約に基づき,未払給与,期末調整手当及び勤勉手当の支払,③停職処分に関し,不法行為に基づき,慰謝料の支払,④授業等禁止命令に関し,不法行為に基づき,慰謝料の支払を各求めた事案。
控訴審は,原審と異なり,停職処分が相当性を欠き違法であるが故意及び過失は認めず,授業等禁止命令は,その裁量を逸脱又は濫用したものとは評価できないとし,結論において原審と同様に各請求につき判断し,原判決は結論において相当として,控訴及び附帯控訴を棄却した事例
第13章 公立大学法人S市立大学教授であるXが,同大学理事長Y2及び理事兼事務局長Y1による研究活動妨害やパワハラにより精神的に不安定となり,適応障害を発症するなどの損害を被ったとして,Y1,Y2に対し(本訴),Y1が本訴提起は何ら根拠のない濫訴であるとして,Xに対し(反訴),それぞれ不法行為による賠償を求めた事案
第14章 被控訴人から雇止めとなった控訴人が,労契法19条に基づき契約が更新されたとして,雇用契約上の地位確認及び雇止め後の給与等の支払を求めた事案
第15章 原告ら(県の開設した病院の産婦人科の勤務医師)が,県が有する債務を承継して地方独立行政法人として設立された被告に対し,宿日直勤務等に従事した時間の割増賃金等の支払を求めた事案
第16章 原告ら(県又は被告の開設した病院の産婦人科の勤務医師)が,県が有する債務を承継して地方独立行政法人として設立された被告に対し,宿日直勤務等に従事した時間の割増賃金等の支払を求めた事案
第17章 被告設置・運営の大学の准教授であった原告が,被告から受けた懲戒解雇,2度の普通解雇の各意思表示による解雇は無効として,①雇用契約上の権利の地位確認,②賃金等の支払,③不法行為による損害賠償を各求めた事案
第18章 大阪市を設立団体とする地方独立行政法人である研究所の研究室長であった原告らが,就業規則の変更に伴う原告らの各降格ついて,規則変更は不利益変更として無効であり,各降格も無効として,同研究所と別の研究所が合併して設立された被告に対し,1名を除く原告らは,各降格がなかった場合の雇用契約上の地位にあることの確認を求め,うち被告を退職した1名は,不法行為に基づく損害賠償として降格がなかった場合との差額の支払を求めた事案
第19章 5年の更新上限を設け例外的に更新することを定める就業規則に基づき,更新基準を満たさないとしてなされた雇止めが違法とされた例
第2部 行政訴訟事件
第1章 過去に北広島市が実施した北広島市芸術文化ホールの管理業務委託に係る指名競争入札の予定価格調書に記載された予定価格を示す情報が,北広島市情報公開条例6条1項5号所定の非公開事由である「入札の予定価格・・・・・・に関する情報であって,公開することにより,当該事務事業の目的を失わせ,又は将来の同種の事務事業の公正若しくは円滑な執行に著しい支障が生ずると認められるもの」に該当するとした事例
第2章 A病院の売店業務運営事業者の公募による選定に際し,運営事業者に選定されなかった原告が,山梨県情報公開条例に基づき,決定業者の提案内容全般,各業者の評価・点数一覧等について行政文書開示請求を行ったところ,山梨県知事が一部開示とする旨の決定をしたにとどまったことから,これを不服として,一部不開示とする旨の決定の取消とその不開示部分の開示決定の義務付けを求めた事案
第3章 県立大学大学院教授の原告が,セクハラ行為等を理由に懲戒免職処分を受け,①処分取消し,②国家賠償法による損害賠償を求める事案
第4章 府中市等に居住する原告らが,府中市立甲病院が平成24年4月1日に廃止されたことに関連して,①被告広島県に対し,主位的に,広島県知事が地方独立行政法人法7条に基づいてした地方独立行政法人府中市病院機構設立の認可の取消しを,予備的に,同法89条4項に基づき同機構に対して必要な措置をとるべきことを命ずることを広島県知事に対して義務付けることを求め,②被告府中市に対し,主位的に被告府中市が,同機構の設立に伴う関係条例の整備に関する条例の制定をもってした上記病院の廃止が行政処分であるとして,その取消しを求め,予備的に,同法89条1項に基づき同機構に対して必要な措置をとるべきことを命ずることを府中市長に対して義務付けることを求めた事案
第5章 県が開設する病院に医師として勤務した被控訴人らが,宿日直勤務及び宅直当番につき,割増賃金の未支給分及び付加金の請求をし,原審の一部認容判決に対し,県が控訴した事案
第6章 原告ら(脱退被告県が開設した病院の産婦人科の勤務医師)が,脱退被告県を訴訟承継した引受参加人(病院を経営する県立病院機構)に対し,宿日直勤務等に従事した時間の割増賃金等の支払を求めた事案