船舶職員法に関する裁判例を網羅しています。
船舶職員法の正式名称は、
船舶職員及び小型船舶操縦者法
(昭和26年4月16日法律第149号)
同法は、船舶職員として大型船舶に乗り組ませるべき者の資格ならびに小型船舶操縦者として小型船舶に乗船させるべき者の資格及び遵守事項等を定めることによって、船舶の航行の安全を図ることを目的としています。
2002年の船舶職員法改正で小型船舶操縦者の規定を設けたことに伴い、現在の法律の題名になった。
通称・略称は、船舶職員法、船舶操縦者法。
同法は、行政法、海事法の1つです。
関連法令として、船員法、船舶法などがあります。
目次
第1部 民事訴訟事件・最高裁判例
第1章 注文者が労働安全衛生法30条2項前段による指名をしなかったことと作業員の死亡事故との間に相当因果関係がないとされた事例
第2章 漁船が操業中に沈没し全損したとして,その所有者が保険組合及び保険会社に対し,各保険金の支払を求め(本訴),保険組合が支払った一部保険金の返還を求め(反訴),1審は本訴認容・反訴棄却。2審は本訴棄却・反訴認容。所有者が上告した事案
第2部 民事訴訟事件・下級審判例
第1章 1、曳船契約の法律上の性質
2、浚渫船のように自力航行の能力がない船舶を曳引する曳船々長の注意義務
3、商法580条の法意
第2章 1、法定の船舶職員の4分の3が欠けている場合と堪航能力欠缺の有無(積極)
2、船舶保険普通保険約款における不堪航の事実についての被保険者の過失の要否(消極)
第3章 1、狭い運河を回頭出航中の航海船に、平水船が前方注視、減速、衝突後の機関停止の注意義務を怠ったため衝突し損害賠償を命ぜられた事例
2、航海船と平水船との衝突にも商法690条の適用ありとした事例
第4章 内航海運業者の無資格者に対する名義貸し等に関する契約が公序良俗に反して無効であるとされた事例
第5章 1、航海士の航行上の過失による海難事故につき国際海上物品運送法に基づく免責が認められないとされた事例
2、航行中の船舶と曳航される船舶との衝突事故につき曳航される船舶側に過失が認められなかった事例
第6章 責任能力のある17才8か月の未成年者が小型漁船を操縦していて起した過失致死事故につき監督義務者である両親、代理監督義務者である祖父の監督義務違背との間の相当因果関係が認められた事例
第7章 河川を航行中に船舶が地方公共団体の管理する可動橋に接触し損傷を与えたことによって生じた損害に基づく債権について、船舶責任制限手続の開始が認められた事例
第8章 1級河川の荒川で大学端艇部の学生がエイトの練習中、無免許操縦の競艇用モーターボートとの衝突事故により死傷した事故につき、事故発生現場付近における右モーターボートの走行等は、河川の自由使用の範ちゅうを越えるものでなく、河川管理権の対象に含まれないから、建設大臣にはその走行等を規制する権限や義務はないとして、国の国家賠償法1条及び2条の責任を否定した事例
第9章 船舶沈没事故による保険金請求について故意に招致された事故であるとして棄却した事例
第10章 平成元年改正前の電波法所定の第1級無線通信士、平成3年改正前の船舶職員法定の1級海技士(通信)の資格を有し、業務に従事していた者等が、右各改正によって船長等の他の職種の者において容易な資格を取得して通信士を兼務することが可能になったことにつきした、憲法29条に基づく損害賠償請求が棄却された事例
第11章 船舶を小型船舶と信じて購入した原告が,真実は小型船舶ではなかったため,船籍票の検認を受けることができず,この船舶は原告にとって無価値なものとなって損害を被ったとして,補助参加人に賄賂を贈って虚偽の船籍票を交付させた被告Y2及び被告会社に対し,不法行為に基づき,元被告東京都の職員であった補助参加人の行為につき,被告東京都に対し,国家賠償法に基づき,損害賠償を求めた事案
第12章 貨物を積載して釜山港に向けて出航した船が,荷崩れを生じて傾き,航行不能の状態に陥った事故
第13章 被告運転の2人乗り水上バイク(以下,被告バイク)と訴外C運転の2人乗り水上バイク(以下,原告バイク)とが衝突し,原告バイクに同乗していた原告が負傷した事故の損害賠償請求事件で,被告の過失及び過失相殺の可否,原告の損害が争点とされた。
第14章 被告が無資格で操船する水上オートバイが,訴外Aが操船するプレジャーモーターボートに衝突し,同ボートに同乗していた原告が海に投げ出されて後遺障害が残存する傷害を負った事故で,原告が被告に対し,損害賠償等を求めた事案である。
第15章 被告において観光船舶の船長,機関長等として船舶の運航に従事していた原告ら13名が,被告に対し,残業代等,慰謝料,付加金の各支払を求める事案。
第16章 港内において、未明に無灯火で操船中の漁船に対して、航行中の漁船が後方から衝突した事故につき、双方に過失を認め、過失割合を7対3とした事例
第17章 訴外人(当時15歳)が乗船するエンジンを切った状態で漂泊中の水上オートバイに被告(当時15歳)が操縦する水上オートバイが衝突した死亡事故につき,亡訴外人の両親の原告らが,被告とその親の被告に対し損害賠償を求めた事案
第2部 行政訴訟事件
第1章 1 夜、仮停泊中のサルベージ船から転落し、死亡した事故につき、右転落は休憩時間中に、酔ったうえで、甲板の開口部から小用をたそうとした際に生じたものであり、業務起因性は認められないとされた例
2 右死亡が業務災害にあたらないとした社会保険庁長官の処分が適法なものとされた例
第2章 会社が船通労組所属の通信士を近代化船に配乗させないことを不当労働行為に当たらないと判定した船労委命令が取り消された例
第3章 日本電信電話株式会社が無線電報サービスセンタの廃止等を決めたことにつき、同社社員及び通信業務を行う船員らが、その廃止等は電気通信事業法(平成11年改正前)14条1項及び18条1項の規定により郵政大臣の許可を受けなければならないと解されるから、同大臣はこれを受けるよう同社に対し行政指導をすべき義務があり、また、仮にその廃止等が許可を要しないとしても、郵政大臣は、条理上その廃止等を中止ないし延期するよう行政指導をすべき義務があったのにこれを怠ったとして、国家賠償法1条1項に基づき国に対し慰謝料の支払を求めた事案
第4章 傭船した船舶を自己所有として減価償却費を計上していた内国法人と当該船舶を提供したM国法人との契約は、法形式及び契約内容から当該船舶の所有権留保付割賦売買契約ではなく、裸傭船契約(船舶賃貸借契約)であると認められるから、支払傭船料は国内源泉所得として源泉徴収課税すべきであり、当該船舶の減価償却費の計上は認められないとした事例
第3部 刑事事件・最高裁判例
第1章 原審の確定した事実関係のもとにおいては、被告人は、船舶職員法2条1項所定の本邦の各港間を航行する日本船舶以外の船舶の所有者として、同法18条1項に規定する船舶所有者に該当するとした原判示は正当である。
第2章 懲役刑の執行終了後に処せられた罰金刑の言渡が失効した場合と懲役刑の消滅
第3章 密漁に使用した漁船の船体等の没収が相当とされた事例
第4部 刑事事件・下級審判例
第1章 法人の両罰規定につき、免責事由の存在を認めなかった事例
第2章 新潟港内における油槽船(タンカー)の覆没事故につき、同船の船長に対し業務上過失艦船覆没罪が成立するとされた事例
第3章 1、船員法37条所定の雇入契約の公認は船舶職員法20条による運輸大臣の承認に替りうるものではなく、右公認があったからといって船舶職員法18条違反の罪が成立する
2、船舶職員法関係法令実施のための通達の誤解は同法違反罪の故意を阻却しない
3、公判期日外での書証の取調べは許されず、そのような取調べによる書証を証拠とするのは違法である
第4章 特異な窃盗事件につき被告人の犯行可能な時間帯を特定しそれとの関連で他の供述証拠の信用性を検討し被告人を犯人とする証明がないとして無罪を言い渡した事例
第5章 1 船舶安全法18条2項にいう「船長」及び同条3項にいう「船長以外ノ船舶乗組員」の意義
2 船舶職員法18条1項本文にいう「海技従事者を乗り組ます」の意義
3 船舶職員法19条本文にいう「その他やむを得ない事由」の意義
第6章 船舶所有者が,所定の海技従事者としての資格がないのに,その所有船舶に船長として自ら乗り組んだ場合の「資格のある者を乗り組ませない罪」と「無資格乗り組みの罪」との罪数関係を観念的競合と認定した事例
第7章 被告人Aに対する漁業法違反,北海道海面漁業調整規則違反,船舶安全法違反,船舶職員法違反,被告人B,被告人C,被告人D,被告人E,被告人F及び被告人Gに対する漁業法違反,北海道海面漁業調整規則違反各被告事件
第8章 プレジャーボートと衝突した漁船の男性が死亡した事故で,業務上過失致死罪等に問われたボート操船の被告人に対し,被害者の過失の程度は,被告人よりも大きく,1審判決の量刑は重過ぎるとして,禁錮刑に処した1審判決を破棄し,罰金50万円を言い渡した事例
第9章 無免許で水上オートバイを操船し,その操作を誤ってゴムボートに衝突させ,ゴムボートに乗っていた4人のうち2人を死亡させ,他2人にも重傷を負わせた事案