売春防止法に関する裁判例のうち、同法を根拠条文とする最高裁判例を網羅しています。
売春防止法
(昭和31年5月24日法律第118号)
同法は、売春を助長する行為等を処罰するとともに、性行・環境に照らして売春を行うおそれのある女子に対する補導処分と保護更生の措置を講ずることによって、売春の防止を図ることを目的としています。
通称・略称は、売防法。
同法は、刑法、特別刑法、刑事政策、ジェンダー法の1つです。
関連法令として、風俗営業法、児童ポルノ禁止法、性病予防法、婦人補導院法などがあります。
目次
第1章 売春は人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであるから、売春が行われないようにすることは正当なことであり、そのために、売春を助長する行為を刑罰を以て禁止することは、結局人の尊厳を保ち、性道徳を維持し、社会を健全ならしめるために必要なことであって、公共の福祉に適うものというべきである。
第2章 売春防止法第17条による補導処分と拘留。
第3章 補導処分が競合した場合
第4章 売春防止法第12条の合憲性
第5章 児童福祉法第60条第1項の罪と売春防止法第12条の罪が想像的競合となる事例
第6章 売春防止法第5条の趣旨
第7章 売春防止法第14条のいわゆる両罰規定の法意
第8章 売春防止法第6条第2項第1号にいわゆる勧誘にあたるとされた事例。
第9章 売春防止法第11条第2項の「売春を行う場所を提供することを業とした者」にあたるとされた事例
第10章 売春防止法第12条と憲法第14条。
第11章 売春防止法第14条により法人を処罰するには行為者が処罰されることを要件とするか。
第12章 売春防止法13条2項によって懲役刑に罰金刑を併科し更に家賃相当額を追徴することの可否と追徴額の算定
第13章 本件のようないわゆる営業犯において,反復された同種行為が一罪として評価されるか否かは,その行為の時間的,場所的関係その他諸般の事情を目的論的見地に立って考察し,社会通念上同一の営業活動と認められる限度内にあるか否かによって決するのが相当であり,被告人が有罪判決を受けた事実と本件事実を別罪とした原判断は相当であるとした事例
第14章 売春防止法第10条にいう「売春をさせることを内容とする契約」の意義
第15章 売春防止法第12条のいわゆる管理売春の罪が成立するとされた事例
第16章 売春防止法第12条にいう「居住させ」の意義
第17章 売春防止法10条1項違反の罪と11条2項違反の罪が併合罪の関係にあるとされた事例
第18章 売春防止法10条の法意
第19章 売春防止法13条1項所定の「情を知って」と確定的認識の要否
第20章 売春防止法5条3号前段の「客待ち」に当たるとされた事例
第21章 遊客において周旋行為の介在を認識していなかったことと売春防止法6条1項の周旋罪の成否