外為法違反罪に関する裁判例を網羅しています。
外為法の正式名称は、
外国為替及び外国貿易法
昭和24年法律第228号
経済刑法、特別刑法の1つです。
目次
第1部 最高裁判例
第1章 1、関税法111条1項所定の無許可輸出罪と同法113条の2指定の虚偽申告罪との罪数
2、関税法の無許可輸出罪の公訴事実中に税関吏に対し虚偽の申告をした旨の記載があるが同法の虚偽申告罪の起訴はなかつたものとみるのが相当であるとされた事例
3、当初の無許可輸出罪の訴因につき第1審で無罪とされ、検察官が控訴したが、控訴審でも罪とならないとされ、ただ、外国為替及び外国貿易管理法の無承認輸出罪の成立する余地があるとして破棄差し戻した判決に対し被告人のみが上告した場合には、上告審が職権調査により右訴因を有罪とすべきものとして破棄差し戻し、または、みずから有罪の裁判をすることは許されない。
第2章 外貨をもって支払を受けることができる債権の意義
第3章 1 いわゆる刑事免責を付与して得られた供述を録取した嘱託証人尋問調書の証拠能力
2 内閣総理大臣が運輸大臣に対し民間航空会社に特定機種の航空機の選定購入を勧奨するよう働き掛けることと賄賂罪における職務行為
第4章 関税法111条3項,1項1号の無許可輸出罪につき実行の着手があるとされた事例
第2部 下級審裁判例
第1章 国際希少野生動物種であるオラウータンなどを密輸入したほか、同様の希少野生動物を有償で譲り渡したとして、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律等違反の罪に問われた被告人に対して、実刑判決が言い渡された事例
第2章 船舶運行等を業とする会社を経営する被告人が,Gらと共謀の上,インドネシア共和国を仕向地に仮装し,通産大臣の輸出承認を得ることなく,イカ釣り漁船を大韓民国経由で北朝鮮に密輸した事案
第3章 船舶の売買,仲介を業とする会社の取締役である被告人A及び同社の社員である被告人Bが,Gらと共謀の上,通産大臣の輸出承認を得ることなく,イカ釣り漁船を北朝鮮に密輸出することを計画し,暫定船籍証明書及び暫定計測証明書を偽造して行使し,仕向地を偽った輸出申告をし,通産大臣の承認を受けないで,上記漁船を大韓民国経由で北朝鮮に輸出したという事案
第4章 無許可で産業廃棄物を圧縮梱包する中間処理を行い,圧縮処理した産業廃棄物の最終処理先に窮し,無許可の業者に処分を委託し,更に,不正に海外へ産業廃棄物を輸出した事案につき,罰金と懲役4年を処した事例
第5章 地下銀行の送金側営業担当者について、銀行法違反、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律違反等の成立を認め、実刑が言い渡された事例
第6章 外国為替及び外国貿易法70条適用における罰金額上限の特定
第7章 A建設会社の違法献金事件で,政治資金規正法違反罪などに問われた同社元副社長に対し,A建設会社側が,平成9年以降に行ったB政党前代表者側への献金のかなりの部分が,実体のない政治団体名義で行われ,和歌山県選出の衆議院議員が代表を務める政治団体のパーティ券購入についても,実体のない政治団体名義によると認定した上で,政治活動の公明と公正を確保しようとした法の規制をことさら免れたなどとして,禁錮1年4月,執行猶予3年を言い渡した事例
第8章 経済産業大臣の許可等を受けないで,中古のタンクローリー等を北朝鮮に輸出するための経由地として,大韓民国又は中華人民共和国に向けて輸出をし,外国為替及び外国貿易法違反などの罪に問われた会社と,その代表取締役の罪責
第9章 原判決の法令の適用及び量刑理由の説示は,本件各関税法違反として認定した「罪となるべき事実」と整合せず,罪となるべき事実を基礎に法令の適用及び量刑判断が行われていないといわざるを得ないとして,本件各関税法違反の内容を正解せず,審理し,判決に至った原審の訴訟手続には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるとされた事例
第10章 経済産業大臣から輸出許可の申請をすべき旨の通知(インフォーム)を受けた被告会社の被告人が,インフォームを受けていないA社のB及びC社のDと共謀の上,輸出者名義をA社とすることで,被告会社に対する輸出許可を受けることなく貨物を輸出しようとした事案
第11章 平成21年改正前の外為法69条の6第1項2号,2項(未遂の場合),48条1項が規定する無許可輸出罪につき,「インフォームを受けた」という身分を持つ者による無許可輸出行為のみが犯罪になる刑法65条1項の身分犯であるとした事例
第12章 被告人が,仕向地を韓国と偽って,ベンツ3台を北朝鮮に不正に輸出した外国為替及び外国貿易法違反,関税法違反の事案
第13章 シャムワニの養殖個体等は,外国為替及び外国貿易法による輸入規制の対象となるか
第14章 共犯者と共謀し,無登録でFX取引という外国為替証拠金取引に関する投資を業とした金融商品取引法違反,貿易業を営むA社の取締役と共謀し,輸出が原則禁止されている北朝鮮に対し,香港を経由地とした迂回輸出をした関税法違反,外為法違反の事案
第15章 被告人らは,共犯者と共謀の上,被告会社の業務として,中国産と偽って北朝鮮産生松茸を輸入したとする外国為替及び国際貿易法・関税法違反事案
第16章 2回にわたって,日用品等の貨物を,最終仕向地が北朝鮮であるのにシシンガポールである旨虚偽の申告をし,経済産業大臣の承認を受けずに輸出して,関税法違反,外国為替及び外国貿易法違反に問われた事案
第17章 被告会社は,貿易業等を営むもの,被告人Aは,被告会社の従業員としてニット生地の輸出等を担当していたものであるが,被告人Aは,北朝鮮を仕向地としてニット生地を不正に輸出しようと考えたとして起訴されたが,無罪となった事例
第18章 1 外国為替及び外国貿易法48条1項に基づき経済産業大臣の許可を要する貨物として定められた重合体繊維から他の繊維を製造する装置の「部分品若しくは附属品」は,当該「装置」の部分品ないし附属品としての用途以外の用途に用いられるものに該当しないこと(専用性)を要する
2 当該貨物である不融化炉及び炭化炉の各炉殻が,前記装置の部分品として用いられることを前提に特に設計・製作され,これが他の用途に転用される可能性が具体的,現実的なものとはいえないなどの本件事実関係(判文参照)の下では,当該貨物は前記装置の「部分品」に該当し,これらを経済産業大臣の許可を受けないで輸出した行為につき平成29年法律第38号による改正前の外国為替及び外国貿易法69条の6第2項2号の罪が成立する
第19章 被告人Y1は,D1,I1及びJ1と共謀の上,法定の除外事由がないのに,あらかじめ輸入の内容等の事項を財務大臣に届け出ないで,平成29年9月27日,千葉県成田市所在の成田国際空港及び大阪府所在の関西国際空港において,中華人民共和国(香港特別行政区)から航空機で本邦に入国する際,日本銀行券合計1500万円を隠匿携帯して入国し,もって支払手段を輸入した。
第20章 被告人は,C1,K1及びL1と共謀の上,法定の除外事由がないのに,あらかじめ輸入の内容等の事項を財務大臣に届け出ないで,平成29年9月27日,千葉県成田市所在の成田国際空港及び大阪府所在の関西国際空港において,中華人民共和国(香港特別行政区)から航空機で本邦に入国する際,日本銀行券合計1500万円を隠匿携帯して入国し,もって支払手段を輸入した。