マタニティーハラスメントに関する裁判例を網羅しています。
目次
第1部 最高裁判例
第1章 1、労働者が生理休暇を取得することにより精皆勤手当等の経済的利益を得られない結果となる措置と労働基準法(昭和66年改正前)67条
2、精皆勤手当の算定に当たり生理休暇取得日数を出勤不足日数に算入する措置が労働基準法(昭和66年改正前)67条に違反しないとされた事例
第2章 前年の稼働率によって従業員を翌年度の賃金引上げ対象者から除外する旨の労働協約条約の一部が公序に反し無効とされた事例
第3章 賞与の額を欠勤日数に応じて減額することを内容とする計算式の適用に当たり産前産後休業の日数等を欠勤日数に含めた所定の減額を行わずに賞与全額の支払請求を認容した原審の判断に違法があるとされた事例
第4章 女性労働者につき妊娠中の軽易な業務への転換を契機として降格させる事業主の措置の,「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」9条3項の禁止する取扱いの該当性
第2部 下級審裁判例
第1章 採用時に若年定年制が存していても、その当時これが労働者に告知されなかった以上、その後に使用者においてこれを適用して労働契約を終了させることはできないとされた事例
第2章 女子労働者の結婚退職制の効力
第3章 結婚を理由とする女子労働者解雇の効力
第4章 市吏員が庁内吏員と結婚する場合いずれか一方が退職する旨の誓約書を市に差入れたとき右誓約書の効力
第5章 男子55才、女子30才停年制を定めた労働協約が合理性なき男女の差別待遇として民法90条により無効とされた事例
第6章 1、女子従業員の結婚退職制を定めた労働協約が無効とされた事例
2、右結婚退職制が第1子出産までの雇用延長制を採用することによっても、その不合理性が是正されないとして、出産を理由とする雇用契約の更新拒否を無効とした事例
第7章 労働基準法4条に違反して女子につき賃金上の差別的取扱をした事例
第8章 男子職員を勤務成績や能力に基づく選考をせず、勤続年数を唯一の基準として一律に昇格させる措置をとりながら、同一の昇格要件を満たしていた女子職員には右昇格措置を講じなかったことが男女差別であるとして、不法行為を理由とする差額賃金相当額、慰藉料及び弁護士費用の損害賠償請求が認容された事例
第9章 被告において、原告を婦長から平看護婦に2段階の降格をしなければならないほどの業務上の必要性があるとはいえず、本件降格がその裁量の範囲を逸脱した、無効・違法なものとされた例
第10章 原告幼稚園教諭が未入籍状態で妊娠したことをきっかけとする退職勧告に基づく労働契約の合意解約につき,その成立が否定された例
第11章 原・被告間の労働契約は,期間の定めのない労働契約として存続していたものであるから,原告は育児・介護休業法2条1項にいう「労働者」に該当し,本件解雇には解雇権濫用の法理が適用されるとされた例
第12章 期間を定めた労働契約が、期間の定めのない労働契約と実質的に異ならない状態になっていたとして、育児介護休業法に基づき育児休業を請求しうる立場にあったとされた例
第13章 深夜業免除制度を定める育児・介護休業法は,就労を免除された深夜時間帯の勤務についてすら有給であることを保障しておらず,ましてや追加コスト等の面で過大な負担を課す結果となることを使用者に義務づけていると解することは到底できないとして,原告ら指摘の,より多くの労務を深夜業免除者に対して割り当てるための各種方策を実施することまで被告会社に義務づけられているということはできないとされた例
第14章 産前産後・育児休業の取得とその後の育児に関連してなされた原告看護師に対する師長解任,夜勤のある病棟勤務への異動命令,深夜業制限請求の拒否,自宅待機命令,病棟への職場復帰などにつき,原告勤務の本件病院を運営する被告による上記各行為は,債務不履行および不法行為に当たるものではないとして,慰謝料および師長解任による減給分等の損害賠償請求などがいずれも退けられた例
第15章 産前産後休業とこれに続く育児休業からの復職後,平成21年度(平成21年6月16日以降の1年間)の原告Xの役割グレードをB-1からA-9に引き下げ,役割報酬を550万円から500万円に減額させるとともに,同日以降の成果報酬をゼロと査定して,Xの年俸を,産休,育休等の取得前の合計640万円から復職後は520万円に引き下げたことは,人事権の濫用に当たり無効であるとして,役割報酬の減額に伴う差額請求が認容された例
第16章 Y組合(使用者)のX1らに対する不利益取扱い(賞与・賃金減額,本件降格,本件配転命令)が既婚女性従業員への差別であるとの主張について,配転命令には業務上の必要性があったと認められ,他方,不当な動機目的があったとは認められないこと,Y組合事務局にはX1らの他にも女性従業員が在籍しているが,特にこれらの者から同様の苦情等が出ているとはうかがわれないことなどからすると,Y組合のX1らに対する不利益取扱いが既婚女性従業員への差別であるとまでは認められないとされた例
第17章 3か月間の育児休業を取得した男性看護師である原告Xについて,翌年度の職能給の昇給を行わなかったことは育児介護休業法10条に定める不利益取扱いに該当しないとした1審判決を変更し,被告Yの就業規則の不昇給規定を根拠に昇給させなかったことは,不法行為法上違法と判断され,平成23年度,24年度の給与および賞与差額8万9040円の請求が認められた例(退職金については損害なし)
第18章 育児短時間勤務制度の利用を理由とする昇給抑制の違法性
第19章 被告Y1社が経営するデイサービスのA営業所で介護職員として勤務していた原告Xに対して,妊娠を理由とする業務軽減に関する面談時に被告Y2が行った発言につき,嫌がらせの目的は認められないにしても,相当性を欠き,社会通念上許容される範囲を超えたものであって,妊産婦労働者の人格権を害するものとされた例
第20章 解雇がなければ有給休暇および産休を取得していたことが認められ,就労能力を保持していなかったものと推認されるとして,その期間の賃金請求を棄却した事案
第21章 本件解雇は,就業規則に定める解雇事由に該当するためされたものであり,Xが妊娠したことを理由としてされたものではないことは明らかであるから,雇用機会均等法9条3項に違反するものではないとされた例
第22章 妊娠判明後の退職合意の存否
第23章 育児休業からの復帰に際しての解雇の効力
第24章 使用者が出産のため休業中の労働者から退職の意思表示がないのに、退職扱いして、育児休業の取得を妨げた事案
第25章 育児時短勤務申出時の無期契約から有期パート契約への変更
第26章 育児休業終了日に正社員である原告Xが被告Y社との間で,期間1年,1週間3日勤務の契約社員となる有期労働契約を内容とする本件合意をしたことにつき,本件合意は,本件正社員契約を解約するとともに,これと別途の契約である本件契約社員契約を締結する合意であると解するのが相当であるので,本件正社員契約は,本件合意において,合意解約されているとされた例
第27章 1審原告(原告)が,1審被告ら(歯科医院の院長,副院長ら)から育休等取得に関して嫌がらせを受けうつ病を発症して休職に至ったのに,一般退職扱いとしたのは労基法違反として地位確認,未払賃金等の支払を求めた事案の双方控訴(原審は,退職扱い,嫌がらせにつき,慰謝料を各一部認容)。
第28章 被告Y社が本件コース別人事制度を導入して以降,令和2年5月までに採用された総合職全員が男性である一方,一般職は全員女性であることからすれば,男性を総合職,女性を一般職として男女で賃金や昇格等につき異なる取扱いをしているとの疑念を抱かせるものであり,同制度の運用面での女性に対する差別的取扱いの有無を検討する必要があるとされた例
第27章 1審原告(原告)が,1審被告ら(歯科医院の院長,副院長ら)から育休等取得に関して嫌がらせを受けうつ病を発症して休職に至ったのに,一般退職扱いとしたのは労基法違反として地位確認,未払賃金等の支払を求めた事案の双方控訴(原審は,退職扱い,嫌がらせにつき,慰謝料を各一部認容)。
第28章 育児休業取得労働者に対する昇給抑制の違法性
第29章 正社員から契約社員への切り替え
第30章 出産後1年を経過しない女性労働者に対する解雇の効力等
第31章 被告Y社が本件コース別人事制度を導入して以降,令和2年5月までに採用された総合職全員が男性である一方,一般職は全員女性であることからすれば,男性を総合職,女性を一般職として男女で賃金や昇格等につき異なる取扱いをしているとの疑念を抱かせるものであり,同制度の運用面での女性に対する差別的取扱いの有無を検討する必要があるとされた例