国家公務員が書いた原稿は、原則として、職務著作となり、著作権・著作者人格権は国に帰属します(著作権法15条)。
(職務上作成する著作物の著作者)
第十五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
著作権侵害差止請求控訴事件
【事件番号】 東京高等裁判所判決/昭和52年(ネ)第827号
【判決日付】 昭和57年4月22日
【判示事項】 1、旧憲法下において勅令に基づかずに設置された大蔵省の付属機関たる「在外財産調査会」の国家機関性
2、旧著作権法11条1号にいう「官公文書」の意義
3、官公庁の発行する文書が著作権の目的となり得るか(積極)
4、旧著作権法下において国は団体著作物の著作権を原始所得し得るか(積極)
5、著作権に基づく国の出版差止請求が権利の濫用に当たらないとされた事例
【判決要旨】 1、官制大権に基づく勅令によつて設置されたものでない在外財産調査会といえども、その活動が国民の権利義務に直接関連するものでない以上、旧憲法下において適法な国家機関として存立し、また、現行憲法下においても適法な国家機関として存続したものと解するのが相当である。
2、旧著作権法11条1号にいう「官公文書」とは、官公庁が公務上作成する文書のうち一般公衆に公示するために作成した文書をいう。
3、官公庁の発行する文書でも、一般に周知徹底させることのみを意図せず、高度に学術的意義を有するものは著作権の目的となり得る。
4、国家機関たる在外財産調査会が発意し、所部の職員に職務上執筆作成させて編さんした著作物の著作権は、各職員個人を著作者とする旨の別段の約定が認められない限り、国が原始的に取得したものと解するのが相当である。
5、〈略〉
【参照条文】 旧憲法10
憲法41
行政官庁法12
憲法21
旧著作権法1
旧著作権法11
著作権法2
著作権法13
旧著作権法6
著作権法15
憲法29
国有財産法2
旧著作権法30
著作権法1
著作権法51
著作権法57
著作権法105
著作権法112
著作権法114
著作権法119
【掲載誌】 無体財産権関係民事・行政裁判例集14巻1号193頁
訟務月報28巻8号1521頁
東京高等裁判所判決時報民事33巻4号46頁
判例時報1039号21頁
【評釈論文】 別冊ジュリスト85号188頁
別冊ジュリスト91号96頁
別冊ジュリスト128号110頁
特許管理34巻12号1583頁
法律のひろば35巻11号75頁
主 文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
例えば、最高裁調査官の解説、法務省の「一問一答シリーズ」などは、どうでしょうか。
なお、公務員は、職務専念義務があります。副業は禁止されています。