株主総会決議不存在確認請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和42年(オ)第867号
【判決日付】 昭和45年1月22日
【判示事項】 1、取消差戻の控訴審判決を得た控訴人と上告の利益の有無
2、議決権行使の代理資格を株主に制限した定款の定めと議決権行使許容の仮処分の効力
【判決要旨】 1、取消差戻の控訴審判決を得た控訴人は、裁判所法4条所定の拘束力が生ずる右判決の判断の違法をいうときにかぎり、右判決に対して上告の利益を有する。
2、定款により株主総会における議決権行使の代理資格を株主に制限している株式会社において、株主名簿上の株主でない甲に乙名義株式の議決権行使を許容した仮処分がされても、右仮処分は、甲に乙以外の株主の議決権を代理行使する資格を与えるものではない。
【参照条文】 民事訴訟法393
裁判所法4
商法239
民事訴訟法760
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集24巻1号1頁
「およそ、社員として有する権利の行使の停止またはかかる権利行使許容の仮処分決定においては、裁判所が右仮処分によりみだりに会社の経営権争奪に介入することがないよう厳に戒しむべきものであることはいうまでもなく、右仮処分の申請はその必要最少限度においてのみ認容せらるべきものといわなければならない。そして、この種の仮処分決定は、右の趣旨に照らし、その決定中に明示された部分に限りその効力を生ずるものというべきである。したがつて、原審の認定した本件仮処分決定中いわゆる社員権行使許容を命じた部分は、右仮処分申請人である被上告人Aに対し、D名義の同決定判示の株式一五〇〇株についてのみ、株主としての権利行使を許しただけであつて、定款により株主総会における議決権行使の代理資格を株主に制限している被上告会社において、被上告人Aに株主Eの本件株主総会における議決権を代理行使する資格をも与えたものと解することはできないものといわなければならない。してみれば、右仮処分決定が右の効力をも有するものとし、被上告人AのしたEの議決権の代理行使を有効とした原審の判断は違法である。」
会社法
(議決権の代理行使)
第三百十条1項 株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。 この場合においては、当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない。